Wed 200923 スガスガしい気分でスガ…／接続詞「ただ」への違和感 3966回
花火が上がって祝賀ムード一色に染まるは、連休の観光客がスガさんの故郷を訪ねたりして、スガさんの地元・秋田県湯沢市は、今や前代未聞の大騒動。2018年夏・金足農業の大フィーバー以来、またはザギトワどんへの秋田犬プレゼント以来、我がふるさと秋田が久方ぶりに盛り上がっている。
秋田県人としてワタクシも嬉しい限りであって、スガまんじゅうだろうと、スガ煎餅だろうと、スガどら焼きにスガかりんとうだろうと、何でもいいからもっともっと盛り上がってほしい。
ワタクシも小学生時代の冬には、湯沢市近郊のスキー場を毎週のように訪れた。田沢湖や青森県大鰐のスキー場に比較すれば、リフトたった１本の湯沢スキー場はマコトに規模が小さかったが、国鉄のスキー部長だった父・三千雄が、何故か週末のスキーにここを選択した。
帰りに湯沢駅の売店でコカコーラを１本買ってくれるのである。青森県大鰐の時にはシャイニーのリンゴジュースだが、湯沢や田沢湖の帰りはコカコーラ。その１本を大事に大事に飲みながら、小４の今井君は大人しく帰りの列車を待った。
そういう記憶もあるから、「ヒイキの引き倒し」に近いほどスガ総理の誕生が嬉しいのである。スガスガしい気持ちすら感じるのである。「よかった」「よかった」と、情けない熱い涙さえ流れるのである。あの丸出しの朴訥な秋田訛りが、嬉しくてならないのである。
（９月20日、富山の夕焼け。ふと一昨年のオスロの夕焼けを思い出し、ムンクの晩年を思う）
あまりにも高い支持率は、就任直後のご祝儀相場に過ぎないにしても、新首相就任以来、多くの国民がフシギな安心感に浸っているのではないか。
「パンケーキ好き」「たたきあげ」「キマジメな愛妻家」みたいな話は、全て真っ昼間のワイドショーに任せるとして、この安心感はきっと「アベ君に代わりまして、キャッチャーのスガ君がピッチャー」という選手交代の妙なのである。
背番号２。８年近くもマジメな女房役に徹して、７回裏までピッチャーを支えた。エース・アベ君は力投型で、不用意なランナーをしょっちゅう出すのだが、背番号２の地味な名捕手が何とかピンチを凌いできた。確かにアベ君は好投手だが、ニコニコしているつもりが観衆からはニヤニヤにしか見えず、スタンドの声援も減少気味だった。
日本の政治状況は、「試合中盤を終えて２点差でリード。しかし１アウト満塁のピンチ」というアリサマ。３塁走者・森友加計君。２塁走者・元法相君。１塁走者・桜見会クン。不用意な四死球とブザマなエラーのランナーがたくさん出て、真夏の日差しに汗みどろ、それでも続投の意欲満々だったところへ、以前から心配していたキツい腹痛が襲ってきた。
それなのに諸君、リリーフ投手の準備ができていない。キシダ君は、球速不足。「そんな優しい上品な投球じゃ、海外強力打線のエジキになりますよ」という状況。メディアが絶賛だったイシバ君なんか、歯医者さんと床屋さんで自己メンテナンスばかり、ピンチのマウンドに本気で上がるつもりがなかったみたいだ。
そこで諸君、背番号２の名捕手がマウンドに歩み寄り、おもむろにレガースとプロテクターを外すと、マコトに見事な質実剛健の秋田弁で「今はとにかく、オレが投げるべ」と宣言した。大観衆から驚きの歓声が上がるのも当然である。
2018年金足農の名捕手・菊池亮太君のことを、このブログでベタ誉めしたことがあった（Wed 180822 小さな大捕手／ダブル菊地君・斎藤君・打川君／10年後のこと 3703回）。考えてみたまえ、捕手というのは、１つの試合の中で投手の次に多くのボールを投げるポジションだ。投手に投げ返すのがほとんどとは言っても、だからこそピッチャーが疲れないように、「相手が取りやすいボール」を投げ続ける。
だから要求されるのは、安定した正確なコントロール。相手の弱点も心理も知り尽くし、味方の強さも弱さも知り尽くして、ゲームを戦略的にコントロールしている点では、投手をはるかに上回る。相手を威圧する大きな体躯を持たなくても、今の状況を熟知した静かな戦略的微笑は、意気阻喪した仲間たちを立て直すのに十分だ。
いまマウンドに立った背番号２は、多彩な変化球も投げないし、胸のすく豪速球を投げるわけでもないが、低め低めに安定したストライクを投げ続けるはずである。四死球がなければ味方選手の心理は安定し、不用意なエラーは激減するはずである。
（９月21日、大混雑の富山駅「越中茶屋」で、ランチに白海老の素揚げをいただく。詳細は次回の記事で）
そういう状況だから「代わり映えしませんね」という批判もあたらない。疲労と持病で乱調気味だった背番号１が退いて、キャッチャーミットをグラブに代えたスガ捕手が、落ち着いて投球練習を終えたところだ。
背番号６をつけてショートを守っていたコーノ君がセンターにまわり、ファーストにいたカトー君がキャッチャー。「落ち着いて、守備からリズムを作っていく」という戦略が、９月の段階では功を奏しているらしい。以上が、秋田県人イマイの贔屓の引きだおし。そのぐらい、いいじゃないか。
ただし朝「の」新聞をはじめとして、さスガにそろそろアラ探しが始まった。「アベ亜流だ」「自助というけれど、頑張れない人もいます」「モリカケサクラは？」とおっしゃるのである。なんだ、「ヤメた」と宣言した割に、今も今井君は朝「の」新聞をトイレでコッソリ読んでいるのである。
ワタクシはこのごろ「ただ」という接続詞の使用法に強い違和感をおぼえるのである。というか、4000回の長きにわたってこんな長大なブログを書き続けていれば、日本語の表現に無用なほど神経質になって、テレビと新聞の言葉遣いにいちいち違和感を感じ、違和感は濃厚な嫌悪感に変質して、メディアとの付き合いがすっかりイヤになってしまった。
しょっちゅう書いてきたことだが、グルメ番組の食レポへの嫌悪感は、もうどうしようもない。「甘いですね!!」の連発に始まり、みんなギョロ目を向いて「やわらかーい♡」「とけちゃった♡」「何だこりゃ？」「臭みもありませんね!!」と懸命にうなずきあう。野性味タップリで、噛みごたえがあって、辛味や苦味を楽しむ大人の食事は、みんな否定されてしまったわけである。
料理番組の「…していきまーす♡」も、大キライ。「切っていきまーす♡」「並べていきまーす♡」「焼いていきまーす♡」「蒸していきまーす♡」。番組の全体が「…していきまーす」の洪水だ。
正しくは、もっと静かに簡潔に「切ります」「並べます」「焼きます」「蒸します」だ。しかし「していきまーす♡」派は歯医者さんや床屋さんにも広がって、「削っていきまーす♡」「洗っていきまーす♡」のアラシ。そのうち試食コーナーで「食べていきまーす♡」「噛んでいきまーす♡」「飲み込んでいきまーす♡」とか言いかねない。
（またまた麻布十番の「堀井」を訪れ、太打ち十割蕎麦の豪快な歯触りを楽しんだ。この噛みごたえ、まさに絶品だ。「噛みごたえがありますね」こそ、大人の食事の原点だ）
これとほぼ同時に、天気予報番組での「ただ」連発が始まった。「西日本は秋晴れです。ただ東日本では…」というヤツだ。その「ただ」の使用が、この10年ほど、あまりに頻繁になり、しかも若干の誤りを含んでいるように思うのだ。まあ諸君、明日から天気予報を見たら「ただ」の回数を数えてみたまえ。
「ただ」とは、「補足の接続詩」。「Ａである。ただ、Ｂにも留意したほうがいい」というのが正しい使い方で、イイタイコトはあくまでＡ。「ただ」の後のＢ部分は、「ホンの少し気になる内容」「気にとめておいてほしい補足」に留めるべきである。
「このクスリ、よく効きますよ。ただ、ちょっと苦いです」
「ここの牛丼、サイコーだね。ただ、太るのが心配だ」
ところがこの「補足の接続詩」、21世紀に入った頃から「補足」のカテゴリーを逸脱して「逆接」の色合いが濃くなった。「逆接」と言ふことになると、「譲歩した上で主張を強調する用法」に転用される。「なるほどＡだよ。しかしやっぱりＢなんじゃないか」「確かにＡだよ。しかしボクはＢだと思う」という論旨の展開だ。
すると狡猾な論者は、あくまで柔らかな「補足」の体裁をとりながら、実は「譲歩 → 主張」という展開に持ち込もうとする。「雇用が増えたとおっしゃる。ただ」「自助とおっしゃる。ただ」。ここは諸君、もっと正直に「なるほど … しかし」の展開で話すべきだ。
捕手がプロテクターを外してマウンドに上がった姿に、一瞬の違和感を覚えた直後、彼の投球練習を見ながらスタンドに歓声があがる。
「いいタマ投げるじゃないか」「棒ダマに見えるけど、低めのストライクがズバズバ行ってるぜ」という感覚だ。ワタクシもムックリ立ち上がって、思わず「オレも頑張るかな」と呟いてみる。そういう日々である。
1E(Cd) Enrico Pieranunzi Trio：THE CHANT OF TIME
2E(Cd) Quincy Jones：SOUNDS … AND STUFF LIKE THAT!!
3E(Cd) Courtney Pine：BACK IN THE DAY
4E(Cd) Dieter Reich：MANIC-“ORGANIC”
5E(Cd) Tuck & Patti：AS TIME GOES BY
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