Mon 190311 春シリーズ後半の山場/出題意図の公表/福岡県久留米の大盛況 3811回
3月9日、スケジュールの上では休日になっているが、ワタクシは大きめのカバンをぶら下げて昼前には羽田空港に向かった。1999年にゼニアで購入した「予想の3倍重いカバン」である。
予想の3倍重いということは、中身も予想の3倍充実している。これから今井は西日本5連泊。福岡(3月9日)→ 福岡(3月10日)→ 京都(3月11日)→ 岡山(3月12日)→ 大阪(3月13日)と東奔西走を続け、14日には埼玉県の北部まで一気に東進して、越谷市せんげん台で公開授業を実施する。
だから諸君、我が予想の3倍重いカバンには、5連泊分の衣服が詰め込まれている。「いくら何でもそりゃ無理だんべ」と思う諸君は、まだまだ今井君の濃縮されたオツムの中身がよく理解できていないのだ。
カバンの中身は、=オツムの中身。ギュッと濃縮&凝縮された賢いカバンには、楽々5連泊分の中身が入る。何しろ20年にわたってワタクシに連れそい、国内ばかりか海外でも細やかにメンドーを見てくれたカバン君だ。すでに今井の頭脳と一体化している。
その点、さすがに今年9月に新調した新参のダレスバッグ君には及びもつかない。ダンヒルの新参君は確かにカッコいいけれども、まだキズ1つつかない新参君は、首都圏の日帰り出張のオトモがせいぜい。PCとワイシャツ1枚ぐらいしか収納できないんじゃ、今回の長旅には同伴してあげられない。
いやはや、タクシーの運転手さんもビックリしていらっしゃった。「そんな小さなカバンで5連泊ですか?」と目を丸くしていたのである。しかし諸君、ワタクシはデカいキャリーバッグをゴロゴロ引きずって出張に出かけるのが、どうしても好きになれないのだ。
(福岡県久留米の大盛況。大学の大教室が満員になった)
それにしても、今回の5連泊はあまりにもキツい。同じ5連泊でも、昨年2月(ヒルトン大阪)や11月(インターコンチ大阪)の5連泊のように、同じホテルに5連泊というなら、比較にならないぐらいラクチンなのである。
それに比べて今回は、ほぼ連日ホテルからホテルへの移動である。福岡に2連泊した後は、京都・岡山・大阪と日々ピョコピョコ新幹線で飛び回る。カバン君も、中身を出しては入れられ、出しては詰め込まれ、カバンとしてすでに20歳のご老体をいたわってあげる暇もない。
「20歳」は諸君、もしこれが犬とかネコであれば、奇跡的とも言っていいご老体なのである。ニャゴロワがいくら長生きで表彰されても、彼女はまだ17歳。東日本大震災の直前に重度の腎臓病が発覚し、あれから9年連日の点滴に耐えてきた歴史があるけれども、それでもカバン君からみれば3年も後輩にあたる。
(3月7日、「銀座デリー」で久しぶりの極辛カシミールカレーを満喫した)
羽田への首都高速は、土曜なのに大混雑していた。初台南から中央環状線で羽田に向かったが、「断続渋滞」「故障車あり」「海ほたるまで80分」の表示。運転手さんは、「晴れてポカポカ陽気の土曜日だから、皆さん遊びに行くんでしょう」と苦笑いしていた。
ポカポカ陽気の日本列島を、ヒコーキの窓から眺めて福岡までの2時間は楽しかった。富士山の春の勇姿はマコトに勇ましかったし、浜名湖も琵琶湖もうらうら暖かそうに輝き、京都は東山から嵐山まですみずみ、京都御所もキレイに見えていた。
やがてヒコーキは瀬戸内海に沿って西進し、下関・門司・小倉に至るまで、ほとんど日本地図を上空からナマで確認する思いがした。福岡空港に到着、15時15分。ビックリするほど暖かい福岡で、タクシーの運転手さんが「冷房入れますか?」と尋ねてくれるほどだった。
ホテルのロビーで姜尚中センセに遭遇。こんな有名知識人と同じホテルのカウンターに並んでチェックインするなんて光栄の至りであるが、ま、今井君も彼に劣らず超多忙だ。さっそくお部屋に入って、明日からの準備に励まなきゃならない。
(銀座デリーの絶品カリフラワー料理。これ一皿で赤ワイン1本を飲みほした)
それにしても諸君、有名国立大学が次々と「入試問題の正解公表」「出題意図の公表」に踏み切るんだという。嬉しいじゃないか。思えば1970年代から1980年代にかけて、我が師と仰ぐ「どうすんだい?」の伊藤和夫師が熱く世論に訴えかけてきたことが、ついに実現するのである。
Mac君は意地悪だから「わがしとあおぐ」の入力に「和菓子と煽ぐ」と変換して笑いこけているが、仰げば尊し我が師の恩、伊藤和夫師がいくら熱く訴えても、完全にシカトしてきた国立大学が、ついに出題意図まで公表に踏み切るのである。
ワタクシは1997年に「どうすんだい?」から佐々木ゼミナール(仮名)に移籍、その年に伊藤師は天国に旅立たれた。あれから20数年が経過。カバン君との出会いもその直後であり、ニャゴロワやナデシコとの生活もそこから始まったが、「出題意図と採点基準を公表してほしい」というワタクシの思いは、どんどん熱くなるばかりだった。
及ばずながら、このブログでもその思いを何度か書き綴った。詳しくは
Mon 080901 大学は採点基準を公表すべきだ ゆがんだモノサシでの戦いについて
を参照していただきたい。すでに11年前の記事であるが、3810回の更新を重ねてきたこのブログの、ホンの初期の時代(まだ100回に満たない頃)の今井の思いが、ボコボコ音を立てて沸騰しているのを感じていただけるはずだ。
幸いこの10年ほど解説授業を担当させてもらっている名古屋大学は、早くから正解例&出題意図の公表を行なっている良心的な大学であるが、東京大学や京都大学がようやく率先垂範してくれるのは嬉しいかぎりである。
(福岡にて。厳しい風雨の中、こんな大教室を満員にしなきゃいけない)
さて3月10日、朝4時に起きて新規テキストの作成に邁進した後は、午前10時半から福岡県久留米市の久留米大学で公開授業である。あいにく、福岡県を含む九州全域は朝から風雨が激しくなって、福岡市には暴風雨警報、久留米の周辺に雷注意報が発令されることになった。
いやはや、マコトに残念である。日曜日でもあり大安も重なって、福岡駅前には結婚式に向かう着飾った女子の姿も目立ったが、こんな激しい吹降りになったんじゃ、結婚式も披露宴も今井の公開授業も台無しじゃないか。
雨が降れば、予定の出席者の2割ぐらいが欠席することを覚悟しなきゃいけない。少なくとも2005年まで在籍した佐々木ゼミナール(仮名)ではそうだった。
東進生のほとんどは驚くほど勤勉だから、「雨が降ったからお休み♡」などという短絡的な反応をする者はまずいないが、一般生というか外部生というか、要するにまだ我々の仲間になっていない諸君にとっては、雨は絶好の言い訳になっちゃうのである。
3月10日午前半からの久留米での仕事の対象は、まさに全員が「外部生」。というか、正確に言えば中3生とその保護者であって、高校入試が終わり、4日後の合格発表と待ち受ける皆さまである。今井なんかに義理は全くない。
(昭和の典型的な大学の教室。「禁煙」の文字が懐かしい)
というわけで、春の豪雨に濡れる福岡の風景を見ながら、今井君はすでにしょんぼりしていた。新幹線に乗り込めば、博多から久留米まではたった20分弱の道のりだ。2011年3月12日、東日本大震災の翌日に全線開業した九州新幹線である。
8年前の開業の日、九州新幹線のテレビCMだって、もちろん全て中止された。今は車両が「いだてん」の中村勘九郎と北野武でラッピングされたりしているが、こうしてみると「めでたさも中くらい」の感を拭えない。
久留米の街も、春の風雨の真っただ中にあった。久留米はブリヂストンの城下町。駅の間近にゴム工場が立ち並び、駅前は風向きによっては強烈なゴムの臭いが街を包み込む。
そして諸君、ワタクシが到着した時は、まさにその「風向きによって」だったのであって、新幹線を降りた瞬間から、今井君の肉体はまるまるゴムの臭いに包み込まれてしまった。
肉体がゴム臭くなれば、精神も頭脳も同じようにゴム臭くならざるを得ない。しょんぼり君はますますしょんぼり、タクシーで会場の久留米大学に向かいつつ、しょんぼりを2乗3乗した超ウルトラしょんぼり里芋は、何だかもう泣きそうな気持ちになっていた。
(博多駅に停車中の九州新幹線「つばめ」。全車両が「いだてん」のラッピング状態だった)
しかし、やっぱり物事は「案ずるより産むが易し」。こんな激しい風雨の中、140名もの参加者が詰めかけて、久留米会場は冒頭の写真でご覧の通りの満員になった。
満員の嬉しさに、肉体はともかく心も精神も頭脳も一気にゴム臭さを払拭したワタクシは、たいへん爽やかに90分間を疾走した。大爆笑は大爆笑を呼んで、毎年のことながら「こりゃまた久留米にたくさんの仲間を作ることができた」という実感とともに、ダブルヘッダーの前半を終えたのであった。
1E(Rc) Walter & Columbia:HAYDN/SYMPHONY No.88 & 100
2E(Rc) Solti & Chicago:R.STRAUSS/DON JUAN ・ALSO SPRACH ZARATHUSTRA・TILL EULENSPIEGEL’S MERRY PRANKS
3E(Rc) Collegium Aureum:HAYDN/SYMPHONY No.94 & 103
4E(Rc) Solti & London:HAYDN/SYMPHONY No.101 & 96
5E(Rc) Collegium Aureum:VIVALDI/チェロ協奏曲集
total m25 y167 dd24777