Sun 181202 北海道鵡川のシシャモ祭/シシャモ嫌悪/シシャモ20匹とその結果 3763回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 181202 北海道鵡川のシシャモ祭/シシャモ嫌悪/シシャモ20匹とその結果 3763回

 時系列的には前後してしまうけれども、1122日のワタクシは、北海道鵡川の町を訪問していた。混乱がないようにキチンと縦軸を確認しておこう。

 

 22日に羽田から新千歳空港に到着、新千歳から鵡川へ。その日のうちに札幌のホテルにチェックインして、翌朝10時から16時半まで札幌のお仕事を満喫。そのまま午前1時まで3段重ねの祝勝会、これも満喫。翌24日7時にチェックアウトして音威子府に向かった。

 

 音威子府で雪まみれオジサンになったあとは、音威子府から名寄ゆき、名寄から旭川ゆき、それぞれ1両編成の各駅停車に乗り、途中で野生のシカの群れを発見して絶叫。旭川から札幌行きの特急に乗り換え、札幌で快速エアポートにまた乗り換え、要するに丸1日のテツ男君ぶりを発揮して、22時の羽田に飛んで帰った。

 

 以上が今回の北海道出張における今井の行動の縦軸である。いやはや元気じゃないか。その間に貪ったものも、ジンギスカン・創作中華料理・居酒屋和食・音威子府の黒い蕎麦に、列車の中でのお酒のつまみとして鮭とば・ホタテ貝柱と続けば、だんだん肉体に北海道のカホリが充満する。

(北海道日高本線・鵡川駅。ワタクシにとっても初の日高本線であった)

 

 しかしその前に、実は「鵡川のシシャモ20匹」という大量消費が隠れていた。22日、新千歳空港に到着した今井君は、素直に「快速エアポート」に乗り込んだりなんかしない。新千歳から1駅の南千歳で南方向の電車に乗り換えて苫小牧へ。苫小牧から日高本線のディーゼルカーで、「シシャモ祭り」真っ最中の鵡川(むかわ)に向かった。

 

 諸君、実はワタクシはシシャモについて、たいへん苦い思い出をもっている。むかしむかし30歳になるかならないかの頃、シシャモを食べ過ぎてシシャモを見るのもイヤになり、飲み屋で友人がシシャモを注文すると、そのシシャモの匂いだけで吐き気をもよおし、注文した友人にも嫌悪を感じるほどになった。

(苫小牧駅。日高本線の1両編成ディーゼルカーが出発する)

 

 要するにアホンダラである。「何故そんなにシシャモばかり食べたの?」と言うに、魚焼き器のついたガス台を買ったのが余りにも嬉しくて、毎朝毎晩なにか魚を焼かずにはいられなくなり、しかし大っきなお魚は焼くのが面倒だから、毎週日曜日にシシャモを大量購入、日々これを食して生きていたのである。

 

 すると諸君、ある一定の時期が経過した頃から、なんだかシシャモのカホリを感じただけで不機嫌になるようになった。だから毎朝たいへん不機嫌な顔で予備校の教壇に立った。

 

 最初はPretty塾、次にどうすんだい?(おなじみの仮名でございます)、生徒諸君は、まさか目の前のサトイモ男が「シシャモのせいで不機嫌だ」とは予想もしなかっただろう。

(日高本線、車内はいたってシンプル。昭和のままの雰囲気だ)

 

 そこで諸君、あれから幾星霜、今井はシシャモを敬して遠ざけ、可能な限り鼻腔にシシャモのカホリが入り込まないように、まるでシシャモのために鼻栓でもするような気分で、ビクビク臆病に生きてきたのである。

 

 もっとも、シシャモが原因の不機嫌の頃に今井の人気は急上昇し、やがて沸騰し爆発したのであるから、むしろシシャモには感謝しなきゃいけないのかもしれない。

 

 それというのも諸君、ワタクシはもともと余りにもご機嫌のいい陽気すぎるサトイモなのであって、機嫌がよすぎてつい脱線しまくるし、ふと限度を逸脱して話は際限なく面白くなる。

 (鵡川のシシャモ祭り。湿雪の中で大繁盛していた 1)

 

 すると生徒のうちの何%は、「こんなに楽しすぎる授業じゃ、学力がつかないんじゃないうか」と思い始めるようなのである。200人が腹を抱えて大爆笑していても、その中に5つか6つ、ギュッと腹を立てているらしい顔が混じることがある。

 

 完全に勘違いであって、楽しければ楽しいほど実力がつくし、笑えば笑うほど集中力も磨かれるのであるが、残念なことに日本には、KUSOがつくほどマジメな発想があって、「授業中に笑うなんてけしからん」とコドモのころからチョー厳しく躾けられているらしい。

 

 いやはやそれは困った躾け方であるが、そういう生徒が5人も6人も混じっている教室では、さすがの今井君も若干の自重が必要だ。面白くならないように。面白すぎないように。自重に自重を繰り返す。

 

 その種の自重はたいへん困難であって、今井の頭上に重く重くのしかかるのであるけれども、そこを諸君、そこにシシャモのカホリが手助けしてくれたわけである。シシャモの不機嫌が、今井の授業を面白過ぎないように抑制し続けてくれたのだ。

 (鵡川のシシャモ祭り。湿雪の中で大繁盛していた 2)

 

 あれから幾星霜、すでに今井のシシャモ嫌悪は消滅した。シシャモで酒も飲めるし、シシャモを注文した友人を嫌悪の目で睨みつけるような愚挙も行うことはなくなった。

 

 食べ過ぎが原因の嫌悪感にも、一番の妙薬は「時」なのであって、諸君、「時」以上に優れたオクスリを発見するのは困難だ。どんな恋の痛みも、彼氏や彼女に2マタをかけられた心の苦痛も激痛も、時が全てを解決してくれる。シシャモへの憎しみも、今や冗談だったかのように消滅した。

 (勇払駅。近くでは有名な製紙工場が元気に操業中)

 

 というわけで今井君は、新千歳空港から苫小牧へ、苫小牧から日高本線で鵡川へ、2度も列車を乗り継いて、シシャモ祭り真っただ中の町にやってきた。今日はシシャモを少なくとも20匹は平らげようと、心も身体も前代未聞に熱く熱く燃えていた。

 

 ただしそれは今井君の側のマコトに勝手な事情であって、鵡川の町の方で「今井先生、ようこそ」の横断幕を広げて迎え入れてくれたというわけではない。1両編成のディーゼルカーは、他の乗客もマバラ、マバラと言うより、正確に言えば他には5人、みんな難しい顔で鵡川を目指していた。

 

 だって諸君、ここはつい最近の大地震で大きな被害を受けた地域である。沿線には大きな製紙工場があり、北海道地震の時に注目を浴びた「苫東厚真発電所」もすぐ近くだ。今そんなに陽気にしていられないのも当然だ。

(苫東厚真発電所。北海道地震の際のブラックアウトで話題になった)

 

 駅に降り立ったのは、今井の他に数人しかいない。あの地震以来、日高本線は鵡川までの運行。この先、様似(さまに)とか静内(しずない)までは臨時のバス輸送に切り替えられていて、鉄道の完全復旧がいつになるのか、予定はハッキリしていない。

 

 駅前の道も、地震の影響でひどい被害を受けている。降りしきる湿雪の中、シシャモ祭りのお店までは徒歩で10分余り。上下に激しく湾曲してしまった歩道を、湿雪に濡れながら用心深く進んだ。

 

 そしてついにたどり着いたシシャモの店が、今日の写真の数々なのである。店先でシシャモの天日干しを購入し、それを店の中のホットプレートでカリカリ焼いて貪る。そういう催しである。

(シシャモの天日干し。ここで好きなシシャモを買って、店内のテーブルで焼いて食べる)

 

 店先でオバサマに尋ねると、「タマゴたっぷりのメスもいいですが、肉の旨味となるとオスのほうが身がしまっておいしいですよ」と力説してくださった。ならばせっかくだ、メス10尾、オス10尾。せっかくの北海道、それもせっかくの日高本線・鵡川だ。グイッと奮発しちゃおうじゃないか。

 

 というわけでシシャモ20匹、思い切って購入してお店の中へ。オカネを払って席について、ホットプレートにシシャモ20匹を並べてから、お酒を注文しようと考えた。今日はお仕事はない。明日10時からの仕事のための「前のり」であって、ビールもお酒も自由に飲める。

 

 ところが諸君、店のオバサマのお言葉が、驚くなかれ「うちはお酒はありません」「ビールもありません」。ホットプレートの上でズンズン焼けていくシシャモを眺めながら、今井君は気が遠くなりそうになった。

      (左がメス10匹、右がオス10匹)

 

 カリカリに焼けたシシャモ、それをサカナにビールをグビグビ、シシャモをサカナに熱燗をチビチビ。今日の行動の全ては、そのグビグビなりチビチビなりが目標だったのであって、焼けたシシャモをお茶やコーラで飲み下す、そんな難行苦行のために、はるばる鵡川まで足をのばしたのではない。

 

 そこから先は、まさに難行苦行、ないしは修行か荒業の世界。焼けちゃったシシャモ20匹を相手に、1匹また1匹、意地でも喉を通していくしかないのである。

 

 しかし諸君、さすが今井君だ。熱い番茶2杯をすすりながら、とうとうシシャモ20匹は全て胃袋の中に消えた。約1時間の出来事であったが、そこから丸1日、腹の中から吹き出すゲップが、全てシシャモ&シシャモ&シシャモ。マコトに魚臭い1日になった。

   (ついでだからシシャモのお寿司も6貫貪る)

 

 それを抑制するために、いろいろな工夫に励んだ。まずは1軒、別の店に駆け込んで生ビールとエビの天ぷら。ますます激しくなる湿雪で完全に笠地蔵になりつつ、札幌にほうほうのていで到着したあとは、サッポロビール園でジンギスカンを貪った(Thu 181122 今、大雪の札幌におります 3758回 参照)。

 

 しかし諸君、シシャモ臭は強し。ジンギスカンなんかに負けはしないのである。ヒツジの肉をたらふく、ビールもたらふく、赤ワインもボトル1本。しかしそれでも、なおもゲップはひたすらシシャモ。翌朝9時、札幌の公開授業会場に向かう朝も、シシャモのゲップはとどまるところを知らなかった。

 

1E(Cd) JandóMOZARTCOMPLETE PIANO CONCERTOS vol.5

2E(Cd) JandóMOZARTCOMPLETE PIANO CONCERTOS vol.6

3E(Cd) JandóMOZARTCOMPLETE PIANO CONCERTOS vol.7

6D(Pl) 11月文楽公演:蘆屋道満大内鑑/桂川連理柵:国立大阪文楽劇場

total m6 y1972  dd24442