Mon 171016 大阪に滞在中/新講座用に万年筆がほしい/久しぶりに「燗の美穂」 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 171016 大阪に滞在中/新講座用に万年筆がほしい/久しぶりに「燗の美穂」

 せっかく大阪に宿泊したんだ、今井君が黙って帰京するはずはない(スミマセン、昨日の続きです)。常に「しゃぶり尽くす」というのがワタクシの信条。楽しいことはどこまでもしゃぶって、相手の骨が溶けて透明になっても、それでもまだしゃぶる。

 それがもし「秋の京都」なら、まずメシと蕎麦と酒であって、天ぷらと寿司とうなぎである。夏なら「鮎料理」なんてのが加わるし、冬なら七条「わらじや」の「うぞうすい」で温ったまるのもいい。厳寒の京都であえて窓を開け、寒さと熱さを同時に体感できる。

 季節がぴったりいけば、これに桜や紅葉を絡み合わせる。出張スケジュールに「4月上旬」というのはないから、なかなか桜の京都を満喫するチャンスはないが、11月中旬から下旬に関西出張があれば、意地でもモミジをめでていく。

「めでていく」と入力されて「目でテイク」と変換するMac君の才能に思わず感嘆しながら、今井君は今年の秋の紅葉を目でテイク。イチョウはすでに黄色く染まり、間もなくカエデも真っ赤に燃える。来週半ばに岸和田の公開授業がある。おお、このあたりで京都を楽しみますかね。
燗の美穂1
(大阪「燗の美穂」にて)

 京都ではなくて大阪に宿泊したなら、骨までしゃぶる今井君は、何が何でも食欲を優先。今回の1泊目は出張の定番インターコンチだったが、2泊目はあえてヒルトンホテルに移動して、北新地でも心斎橋でも難波でも、旨い店ならどこにでも飛んでいけるシチュエーションを確保した。

 3年ぶりの「与太呂」にも行きたいのである。3年前のブログを読んでみるに、相変わらず今井君は激しい行動を繰り返している。加古川への出張ついでに高野山を電撃訪問したり、2日連続で大阪・高麗橋の名店「与太呂」で天ぷらと鯛めしを貪ったり、ほとんど「やりたい放題」だ。

 詳しくは、「Tue 141014 ラブ昼食 高野山で精進料理を食べそこなう 淀屋橋で天ぷらと鯛めし」とその周辺を参照。何だか分からんがマコトにバイタリティに溢れるサトイモ君が、「これでもか」とエネルギーを発散しながら大阪の街を闊歩している。
燗の美穂2
(午後5時半、夕暮れの「燗の美穂」はすでにほぼ満席だ)

 その記事を読み返しながら、万年筆がほしくなってきた。与太呂のすぐそば、むかしの住友銀行本店の斜向いで、あの時ワタクシは高級文具店のショーケースに並んだ万年筆諸君の勇姿にうっとりトロけてしまったのだった。

 これから2〜3ヶ月の間に収録を進める予定の新講座「E組(仮名)」の中で、ワタクシは万年筆も使用するのである。もちろん今の平凡な国産万年筆もいいが、「今井の代表作」と呼ばせたい新講座に使うなら、2014年以来ワタクシの心を占めているあの万年筆を使いたい。

 新講座は、4技能を徹底的に意識した内容。「えっ?」「4技能なら、タブレットとか双方向とか、ギュッとオカネのかかる世界なんじゃないの?」と思うかもしれないが、何しろ 今井君はどこまでも20世紀的な昭和人間だ。

 たとえ4技能講座でも万年筆を使って、アナログ人間でも余裕をもってついてこられる超わかりやすい授業を作りたい。ライティングでは板書。リスニングではタッチパッド。スピーキングは黒板の前に立つが、リーディングでは万年筆を使いたいのだ。
お酒
(熱燗の風景)

 こうして今や今井君は万年筆のトリコ。もちろん丸善とか伊東屋とかでもいいが、銀座の伊東屋や日本橋の丸善なんかに行けば、おそらく万年筆よりも「デリーのカレー」が恋しくなる。

 新講座収録に向けて、84kg(10月5日) ☞ 72kg(12月31日目標)のダイエットに取り組むワタクシにとって、カレー・ラーメン・牛丼の類いは大敵だ。カレーのニオイが漂う地域に出没するのは危険すぎる。

 というか、要するにあの時の大阪で、ショーウィンドーに並んだ美しい万年筆に完全に魅了されたのである。新講座のリーディングでは、「万年筆の赤インクで英文を添削する」というシーンを毎回10分ほど入れてみたい。その時にあの万年筆が使えたら、きっと最高の講座が出来あがる。

 しかし諸君、どんな場面でも「軽挙妄動」はギュッと控えなければならない。メールでもLINEでも、ポチッとする前に「ホントにこの文面で大丈夫なのか?」とチェックする。そのぐらいの慎重さがなければ、人前に立って話をする資格はないじゃないか。

 日々の言動や万年筆購入の場合もおんなじだ。今井君は、これでもいちおう社会的な立場もある人間。ブログでアップする文章でも、3回も4回も吟味して、不適切な表現がないか、人に迷惑をかける内容がないか、開設以来9年4ヶ月にわたって綿密に吟味と添削とに努めてきた。

 ホントは諸君、ブログにアップする前の文章のほうが、3倍も4倍も面白いのだ。しかし「迷惑がかからないか?」と吟味するうちに面白さは半減、「誰かが不適切と思わないか?」と添削に努めるうちに、面白さは8分の1になる。

 それでもガマンして、キチンと「大人の男」をやっている。それなのに、人も驚く高価な万年筆を、新講座のリーディング・セクションのためだけにスカッと購入しちゃうなんて、やっぱり軽挙妄動のソシリを免れない。大阪滞在中の今井君は、あえてあの文具屋に接近するのを避けたのである。
つまみの風景
(熱燗とツマミの風景)

 そこでこの日の夕食に選択したのは、南久宝寺2丁目の「燗の美穂」。これで「かんのみほ」と読み、もちろん女優の菅野美穂どんをギュッと意識した店であるが、昭和の純喫茶を改装した古色蒼然たる店の中に、今井君の大好きな日本酒がズラッと揃っている。

 菅野美穂どんは、ついこの間も朝ドラ「ひよっこ」に登場して熱演しておられたが、一方の今井君がこの「燗の美穂」を訪問するのは、ほぼ1年ぶりである。

 前回は、国立文楽劇場で人形浄瑠璃を満喫した直後のことだった。店に入った瞬間、ワタクシぐらいの年齢の人なら誰でも、むかしむかし学部生だった頃の懐かしい記憶が鮮やかによみがえってくるようなカウンター席だけの店である。

「おお、昭和のコーヒーショップだ」
「これとそっくりのカウンターで、渋いマスターと語り合った記憶がある」
「昭和の頃は、サヨクが全盛。朝日新聞や毎日新聞の論調が正論だと、みんなが信じきっていた」
「ソ連を理想国家と呼んでも、誰も偏向報道なんて言わなかった」
そんな記憶がモゾモゾし始める店なのである。

 午後5時半には店にたどり着いたのだが、すでに満席に近い。カウンターのみ、満席でも20名程度しか入らない店だ。平日の午後5時半で満員となれば、なかなか大したものである。
酒
(愛知県の酒「睡竜」。おいしゅーございました)

 様子をうかがうに、いわゆる「初老の男性」が少なくない。「初老って、いくつ?」であるが、そこはあえて問わないことにする。下手をすれば、書いている本人がそのカテゴリーに入ってくる恐れもないわけではない。

 しかし今井君の右も左も初老クンであって、かつてサヨクとして「朝日ジャーナル」や「世界」を定期購読していたタイプの、たいへん上品なオジサマがズラリとカウンターに並んでいる。

 日本酒大好きな人を「左党」と呼ぶ。日本酒は、右手で徳利を持ち、左手でサカズキを持って、その左手からサカズキを離さない。左手ばかり使っているから「左党」なのである。

 どうやら「燗の美穂」には、20歳代でサヨクだったオジサマが、世間の荒波にさらされて幾星霜、サヨクから左党に姿を変えて、上品で疲れた面持ちでズラリと並ぶ店となったようである。

 そんな落ち着いたお店で、今井君も次々とお酒を注文した。山形の「羽前白梅」、石川県の「能登の白菊」、出張で馴染みになったお酒をそれぞれ2合。愛知県の「睡竜」を4合。そのスキマにも別のお酒も2合飲んで、2時間で計10合、要するに1升に達した。

 ツマミも、ホントにおいしゅーございました。中でも〆として御願いした「焼きサンマの土鍋ごはん」が絶品。もう万年筆のことも新収録講座のことも、すっかり忘却した泥酔のワタクシは、秋の深まる大阪の街に意気揚々と歩み出したのである。

1E(Cd) Anita Baker:THE SONGSTRESS
2E(Cd) Anita Baker:RHYTHM OF LOVE
3E(Cd) Anita Baker:RAPTURE
4E(Cd) Bobby Caldwell:BLUE CONDITION
5E(Cd) Boz Scaggs:BOZ THE BALLADE
total m95 y2012 d21958