Tue 141014 ラブ昼食 高野山で精進料理を食べそこなう 淀屋橋で天ぷらと鯛めし | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 141014 ラブ昼食 高野山で精進料理を食べそこなう 淀屋橋で天ぷらと鯛めし

 いやはや、先生はたいへんだ。今井君は先生ではなくて、あくまで講師であるから、率先垂範などということとは無縁であって、別に生徒の模範にならなくてもいいが、これがもし「先生」ということになれば、常に生徒の模範になるように、日々の生活を自ら律していかなければならないのである。

 だから、もしボクチンが先生なら「朝ゴハンは食べません」などと発言することは許されない。何しろエラーい先生方はみんな「早寝♡早起き♡朝御飯」。マスメディアもこぞってデータを示し、「朝ゴハンを食べているコドモの方が優秀」と持ち上げているのに、まさか「オレは食ってねえよ」などと放言するわけにはいかないのである。

 その点「講師」は遥かに気が楽であって、自分がダメな人間であり、怠け者の秋のクマであることを公言して、「朝ゴハンはキライです」と正直に告白してもかまわない。「反面教師」というコトバがあるが、今井君は「反面講師」なのである。

 だって仕方ないじゃないか。朝ゴハンには、ちっとも面白味がない。というか、朝ゴハン君には、努力が足りないのだ。権威とデータをカサに「ワタクシを食べないだなんて自堕落な人ですね」と、ヤタラにプンプン怒っているだけじゃないか。
鯛飯
(大阪・淀屋橋「与太呂」で鯛めしを味わう)

 そんなに食べてもらいたかったら、朝飯どんはもっと努力をしなきゃいけない。毎日毎日、①納豆に玉子焼きに海苔に梅干し、②トーストにヨーグルトにジュース。とにかく一辺倒で、面白味がなさすぎる。

 メニューにちっとも工夫せずに、「身体に悪い」「頭がよくならない」☞「だから食え」という朝ゴハン君の態度が、今井君はイヤなのである。食べたくない今井君が、俄然ガバッと起き上がって食べたくなるような努力を、朝食クンにもしてほしいのだ。

 「朝カレー」なんてのはなかなか素晴らしい努力であって、それは十分な評価に値する。高野山に向かった朝の「コロッケそば」も、試みとしては悪くない。

 しかし諸君、それが「連日」ということになれば話は別であって、おそらく7~8日後の朝には、カレーのニオイやコロッケのニオイが激しい怒りを誘発することになりそうだ。

 今井君は卑怯未練な反面講師であるから、朝のベッドのなかでヌクヌクしているほうが、納豆やタマゴを無理やり口の中に押し込まれるより、100倍も好きである。

 ベッドの中で昨夜の楽しい記憶を反芻し、「あんなこともあったな」「こんなこともあったな」「あそこでああすればもっと楽しかったかもな」「次回はこんなふうにしてみよう」と、思わずヨダレをたらしたりする。

 そういう楽しい朝のヌクヌクを全て振り切ってまで、ニワトリみたいにコケコケコケッと起き上がり、「頭にいい」「身体にいい」というだけの理由で朝っぱらからムシャムシャやるだなんて、人生最高の楽しみを放棄しているとしか思えない。
苅萱堂
(高野山の思ひ出、苅萱堂)

 こうして今井君は、アンチ朝食 ☞ 昼食ラブなクマであり続けている。昼食君は愛すべき存在であり、ランチちゃんなしには楽しい生活なんか考えられないじゃないか。

 学校でも職場でも「昼飯は何にする?」以上のホッコリが考えられるだろうか。ランチちゃんのレパートリーは、ほぼ無限と言っていい。牛丼、焼き肉、親子丼。天ぷら、お寿司、ラーメン、蕎麦&うどん。お好み焼きや焼き魚定食もいいね。控えめにもできれば豪華にもできる、その臨機応変さが素晴らしい。

 OLさんたちがお財布だけもってブラブラ街を歩いている姿を見ると、「ああ、お仕事が楽しそうだな」と嬉しくなる。上司が部下を誘って「しっかり食えよ」なんてのもいい。ランチの場にまで仕事を持ち込んでいる部下に「メシぐらい黙って食え」とニッコリする上司は、いかにもカッコよく見えるじゃないか。

 11月5日、大阪滞在3日目の今井君は、何しろ「夕暮れまでヒマ」「何もすることがない」という空白のスポットに追い込まれたから、一計を案じて「鯛めしを食べに行こう」と決めた。

 関西の昼飯ほど、レパートリー豊富なものはない。何を食べても旨いし、周囲もみんな楽しそうで、その日一日のクライマックスを満喫している。スペインのランチに匹敵するほどと言っていい。

 スペインのランチタイムは、午後2時ぐらいから。ランチの終わりは4時か5時、ついでに「シエスタ」でのんびりスヤーッとして、その後でちょこっと仕事もこなし、ディナーは9時ぐらいから。何と素晴らしい人生だろう。
大餅投
(11月7日、今日の高野山では「大餅投」がある)

 11月5日の鯛めしにも選択肢がたくさんあって、
① 思い切って淡路島まで行く
② 本場・兵庫県明石で貪る
③ 大阪で名店を探す
など、少なくとも選択肢は3つあった。

 今井君はウルトラわがままな生き物なので、どんな場合でも選択肢が多ければ多いほど幸せであり、選択肢が1つか2つしかないということになると、限りない不幸を感じるのである。

 で、選択したのは③。大阪淀屋橋の名店「与太呂」で、まず大好きな天ぷらを10品ほど揚げてもらい、その後で鯛めしをいただくことにした。天ぷらはコースのみ。「お好みで」ができないのが残念だが、それは致し方ない。今日のところは、とにかく鯛めしさえ味わえればOKということにした。
麩饅頭
(高野山、麩まんじゅう)

 何でそんなにグリーディーになっているかと言えば、昨日の高野山でクマどんはランチを食べそこねたのである。高野山駅にケーブルカーが到着したのが11時半。そこからバスに乗って「奥の院」に着いたのはもう12時過ぎであって、帰りのバスのタイムリミットまで1時間半しか残っていなかった。

 もちろん、チャンと計画を立てていなかった自分が悪いのであるが、何しろ夕方からは兵庫県でお仕事が待ち受けていて、大阪に5連泊しているのも、そのお仕事があるからこそである。「ランチなし」もやむを得ないが、諸君、旅先でのランチなしは、旅好きの今井君としては屈辱的であった。

 高野山と言えば、精進料理である。精進料理を満喫することなしに山を降りれば、グリーディー今井は腹を減らした秋のクマ以上にグリーディーになって、人里で大暴れしかねない。

 危険な自分を抑えるために、「麩まんじゅう」というものを買ってはみたが、「麩まんじゅう」をMac君が「不満中」と変換した通り。クマの体内を不満の血が駆け巡り、「くそー」「くそー」と口をついて不満が噴き出し続けた。
鯛めし
(鯛めし)

 高野山の恨みは、淀屋橋でかえす。「与太呂」のカウンターに陣取って、いかにも頑固そうなオジサマが次々と揚げてくれる天ぷらを、次から次へとサクサクやりながら、鯛めしが炊きあがるのを待った。

 諸君、天ぷらもマコトに旨かったが、この鯛めしは絶品である。優しい笑顔のオバサマが最高のタイミングでよそってくれる。小さなお茶碗ではあるが、勢いよく3回もオカワリして、残りは「お持ち帰り」にしてもらった。

 あんまり楽しかったので、床屋さんに立ち寄って1ヶ月ぶりの散髪も済ませた。梅田・新阪急ホテルの地下2階に、昭和のカホリの静かな床屋さんを見つけたのである。「いま、鯛めしを食べてきましてね」「ほお、よかったですね」。静かな会話が、本当に楽しかった。

1E(Cd) Walton, Marriner:RICHARD Ⅲ
2E(Cd) Tomomi Nishimoto:TCHAIKOVSKY/THE NUTCRACKER(1)
3E(Cd) Sinopoli & New York:RESPIGHI/FONTANE・PINI・FESTE DI ROMA
4E(Cd) Kremer:MOZART/VIOLINKONZERTE Nos.2 & 3
5E(Cd) Sinopoli & New York:RESPIGHI/FONTANE・PINI・FESTE DI ROMA
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