Mon 171002 うなぎが食べたい/諫早と柳川のうなぎ/超有名・吉塚うなぎ/はははは | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 171002 うなぎが食べたい/諫早と柳川のうなぎ/超有名・吉塚うなぎ/はははは

 佐世保からの帰りは、やっぱり福岡経由である。長崎空港は、あまりに遠い。タクシー代は長崎市内から10000円、佐世保市内からも10000円。長崎二都物語、その双方に気をつかいすぎて、結局どちらから見ても使いにくい空港になってしまった。

 JRの特急に乗れば、たった2時間で博多に到着する。支払うオカネは3880円。グリーン車に乗ったって5000円に満たない。ヒコーキの数となると、福岡空港が圧倒的に多い。これじゃ諸君、大枚1万円支払って長崎空港にタクシーを飛ばすなんてのは、何だかバカバカしくなってくる。

 10月21日の九州は、重い曇り空から冷たい雨が降り出していた。台風20号がぐいぐい接近中の日であって、焼き物の町・有田でも、林立する窯の煙突が寒そうに雨に濡れていた。

 佐賀からグリーン車内も満員になったが、さすが総選挙前日、列車で博多に移動する前議員もいらっしゃって、さすがに疲れきった表情。今井君の前の席でグッスリ眠っていかれたようである。
うな重
(博多・中洲、超有名店「吉塚うなぎ」のうな重)

 さて、こうして列車が博多に着くと、食いしん坊の今井君はもうソワソワして、黙って素直に空港に行くことなんか出来るはずもない。「河太郎」の活イカもよし、中洲の屋台「栄ちゃん」もよし、お馴染み「華味鳥」で水炊きもいいだろうし、「旭軒」「テムジン」の博多ギョーザも旨い。

 数限りない選択肢の中から、この日の今井君が選んだのは「うなぎ」。福岡はうなぎも有名で、もしもワタクシの気力がムンムン蒸れるほど蒸れ上がっていれば、西鉄電車で柳川へ、「本吉屋」の2段重ねを貪ってもよかった。

 だって諸君、柳川・本吉屋のうな重は、やっぱり別格だ。うなぎ・ごはん・うなぎ・ごはんの4段、湯気が熱くてお重の上にかがみ込むのにも苦労するほどのヤツを、空きっ腹にワッシワシやってみたまえ。「こんなに甘やかされていいんだろうか?」と自責の念に悩むぐらいである。

 しかしさすがに今井君は疲労していた。先週から、沖縄・長崎・佐世保と飛びまわり、九州&沖縄に限定されていればまだ疲労も和らいだだろうが、先週は冷たい雨のそぼ降る東京・町田の駅前で昼前から喋りまくった。

 どんなに元気に見えているサトイモでも、疲労が蓄積した状況では決断力も鈍るものである。西鉄電車で1時間の柳川まで、本吉屋のうなぎのためだけに往復の旅を敢行する、その気力が湧き上がってこない。
キウイ
(博多中洲「吉塚うなぎ」にて、久しぶりに自撮りを試みる)

 そもそも今回の旅で最初に「うなぎ!!」と絶叫したのは、一昨日の諫早駅付近のことである。諫早駅から徒歩15分、うなぎの名店「北御門」を訪問したのは、もう3年前の春のことである。

 詳細は「Wed 140219 長崎のホテルが軒並み満室 … 北御門のウナギに感激」を参照のこと。ただし激しい湯気のムワムワ湧き上がる絶品うな重の写真がイマイチ。もっと旨そうな写真が見たい人は、グーグル先生の画像でも検索してくれたまえ。

 今井君は、せっかく座席を確保した列車の中でさえ、諫早のうな重のことを考えると、席を放棄してでも、「北御門」のうな重を味わいに行きたくなった。

 そして普段なら、そのことに躊躇なんかないのである。食いたくなったら食う。座席なんか、どうってことはない。「電車の座席は常にあれども、諫早のうなぎは常にはあらず」だ。

 むかし高校の漢文の時間に、そんなのを習った気がするが、それは「千里の馬は常にあれども、伯楽は常にはあらず」だ。才能のある若者は常に存在するが、それを発見して育てるような名伯楽は滅多にいない。野球界でもサッカー界でも、それどころか予備校講師の世界でも同じである。

 しかしこの時も、「諫早にはまた近いうちに来ることがあるだろう」「次の長崎出張も近いだろう」「その時にすればいいや」と、何だかウダウダ&もじゃもじゃ言い訳ばかりが先に立って、いつの間にか列車は諫早を遠く離れてしまっていた。
福岡空港
(新しくなった福岡空港、お馴染みの居酒屋。店舗の位置は変わっても、店の雰囲気は変わらない)

 こうやって一度でも優柔不断をやってしまうと、優柔不断はネロッとイヤらしい粘液のように心にも肉体にも粘り着いて、なかなか洗い落とせるものではない。19日の今井君がMRこと松浦鉄道一周の旅を諦めたのも、実はその前の諫早での優柔不断が尾を引いたに違いない。

 だから、オジサンからのアドバイスを聞いてくれたまえ。若い諸君もそうでない諸君も、優柔不断は最初から一度でも自分に許してはイケナイ。例え「軽挙妄動」と罵られ&嘲られても、「やらずに後悔するより、やって後悔する方がマシだ」と、ウソブキながら突き進むようにしたまえ。

 こうして諸君、諫早で諦めた「北御門」のうな重、柳川を訪問して貪ることを諦めた「本吉屋」のうな重、うな重がそれこそ5段にも10段にも重なって心にのしかかり、今すぐどこかでうな重を注文しなければ、「今夜はうな重にうなされる」というダジャレのような事態に陥った。

 こりゃどうしても博多の街で、うな重を貪っていかなきゃいかん。候補は、とりあえず2軒ある。まずは、博多中洲で一番有名な「吉塚うなぎ」。タクシーの運転手さんもみんなヒトコトで分かってくれる超有名店だ。

 もう1軒は「柳川屋」。3年前に大相撲九州場所12日目を見に来て、その帰りに立ち寄った。新入幕から間もない「逸ノ城」が、まだ日の出の勢いだった頃のことである。帰りに店にボーシを忘れてきたのも、いい思い出だ。
骨せんべい
(福岡空港の居酒屋で「あなご骨せんべい」をかじる)

 普段の今井君はこういう時、有名度よりも懐かしさを優先する。当然「柳川屋」に決めかけたのだが、残念ながらこの日は「夕方18時から営業」。時計はまだ15時だったし、ヒコーキは18時40分のを予約してあったから、やむを得ず超有名店を選択することになった。

 2階が予約いらずの一般席。3階が予約席。「予約席の方は一日中満員です」とのことで、2階の一般席に闖入することになった。目の前の中川を、傘をかぶった船頭さんが竿で押していく。川下りだか川のぼりだか、雨の中をマコトに優雅に舟が行き来する。

 ビールを1本飲みながら、ゆっくりうな重を待つ。こういう場合、うなぎが焼けるのが早すぎては困るので、ビール1本を飲みきり、店員のオバサマと軽い冗談を交わすぐらいの余裕がほしい。

「おや、うなぎ、まだですか」
「じゃ、お燗した日本酒も1本ください」
「お燗は、熱すぎず、ぬるすぎず、ちょうどよく」
「ぬる燗+5℃程度がいいですな」

 その程度の冗談でオバサマと笑いあって、やがてその酒が運ばれてくる。
「どうですか、そのぐらいの熱さで?」
「はい、求めていたものは、まさにこれです」
「ありがとうございます」
「はははは」
「はははは」
そんな和やかな雰囲気の中、別の若い店員さんが、「うな重でございます」と恭しくお盆を捧げてやってくる。その瞬間こそ、うなぎのクライマックスだ。
ふくろ
(博多「吉塚うなぎ」で、袋に毛の生えたおかしな植物に遭遇)

 ところが諸君、「吉塚うなぎ」のうな重は、あっという間に運ばれてきてしまった。ビールはまだ瓶に半分も残っている。こんなにスパッと運ばれてきたんじゃ、日本酒うんぬんの心の余裕もない。

 重箱のフタを開けてみると、おやおや、うなぎとゴハンとタレが完全に別々になっている。ゴハンは真っ白なまま、客のほうでうなぎをお皿のタレにつけ、ゴハンに乗っけるという手はずになっている。

 確かに、こうした方がうなぎがヨレヨレにならない利点はありそうである。カリカリ&サクサク、ゴハンにはさんで蒸したうなぎとは、食感も大きく違う。タレは、グイッと思い切って甘め。手についたタレがネットリするほど、甘味はたいへん濃厚である。

 気に入ったか、気に入らなかったか、それは書かないことにする。書かないだけで分かってしまうような書き方をしておいて、「書かないことにする」というのも狡猾な話だが、やっぱり今井君は真正の田舎者だから、ごく平凡な普段の柔らかいうなぎがすぐに懐かしくなった。

 福岡空港に向かうタクシーの中で、陽気なオジサマ運転手さんとうなぎ談義で盛り上がった。地元で人気のうなぎ屋、旨いうどん屋、旨い天ぷら屋、いろんなことを教えてもらった。この10年で、一番楽しい運転手サンのうちの1人だった。

1E(Cd) Kirk Whalum:COLORS
2E(Cd) George Benson:IRREPLACEABLE
3E(Cd) Deni Hines:IMAGINATION
4E(Cd) DRIVETIME
5E(Cd) Tuck & Patti:AS TIME GOES BY
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