Wed 140219 長崎のホテルが軒並み満室 諫早の「道具屋」に宿泊 北御門のウナギに感激
3月8日、北海道から帰ったばかりのサト助は、五十鈴バーチャンやホッキ貝バーチャン、「北斗星」の一夜の熱い思い出を胸に、今度は西に向かってビューンとひとっ飛び、長崎県諫早で仕事をすることになった。
諫早と言えば、サト助の記憶にあるのは高校ラグビーの名門・諫早農ぐらいである。平成の長崎県では、長崎北陽台と長崎北が急激に強豪化し、それに長崎南山が加わって、全国ベスト8の常連になりつつある。
こんなに強豪がシノギを削っている状況では、諫早農はなかなか花園の全国大会に出られないけれども、何を隠そう、花園で準優勝の輝かしい歴史もある。ただしそれは1969年のこと。前年にはメキシコオリンピックがあって、マラソンで君原選手が銀メダルに輝いた。おお、三丁目の夕陽の残照がまだ明るかった頃である。
(長崎県諫早、名店「北御門」のウナギ)
そういう長崎県諫早で、今井君はこの10年で3回もお仕事をしてきた。もうすっかりお馴染みである。いつもなら、長崎に宿をとって、諫早にはクルマで移動するのであるが、諸君、2014年3月8日、長崎のホテルは言語道断に混雑していた。
どのぐらい混雑していたかというに、12月下旬の段階で、めぼしいホテルはすでに全て「満室」になっていた。長崎でホテルと言えば、まずはANAクラウンプラザ。12月下旬、パリに滞在していたサト助は、パリのホテルから果敢にネット予約にチャレンジしてみたが、その段階ですでに「ご希望にそえるお部屋は見つかりません」という表示が出た。
ついで、ちょっと値が張るが「長崎ガーデンプラザホテル」。夜景の美しさで有名な稲佐山に位置し、メインのホテル棟以外に、超豪華な離れの部屋もある。ビジネス客が1人で宿泊するのには豪華すぎるけれども、ANAクラウンプラザが満員なんじゃ、これもまたチャレンジする値打ちはあった。
しかし諸君、これもまたマコトに無慈悲に「満室」。パリの今井君は、長崎のホテルの冷酷さに驚嘆の声を上げるばかりであった。残るは、長崎駅から徒歩10分の「ベストウェスタンホテル」。ここは2005年までプリンスホテル・グループで、そのころは長崎で一番のホテルと言えばここだった。
(長崎県諫早での宿泊は「道具屋」と決まった)
しかし今や、ここはベストウェスタンのグループである。うーん、日本のことはよく分からないが、欧米で「ベストウェスタン」と言えば、2流or3流ホテルの代名詞。2~3年前の人気TVドラマ「ゴシップガール」の中で、主役の1人・ブレアが
「何なの? この安っぽいグラジオラスの花束は。ベストウェスタンホテルのエントランスじゃないのよ」
と激しい口調でメイドさんを叱りつける。その発言に対する日本語の字幕は、
「何なの? この安っぽいグラジオラスの花束は。安っぽいホテルのエントランスじゃないのよ」
である。うにゃ、「ベストウェスタン」を「安っぽい」とパラフレーズすれば、それだけで翻訳ができあがるということらしい。
そういうわけだからかどうなのか、4~5年前にサト助が宿泊したベストウェスタン長崎は、修学旅行生のメッカと化していた。いかにも粗暴な感じの男子高校生たちが奇声を上げながらロビーを駆け回り、女子高校生たちがエレベーターの中で超厚塗りの化粧を直していたりした。
さすがのサト助もそういう雰囲気はイヤなので、長崎での宿泊はあれ以来ANAクラウンプラザに一本化している。しかしそのベストウェスタンも、12月下旬の段階で「満室」。おお、パリのサト助は3月8日の宿泊の件で進退きわまることになった。
この混雑の原因は何かというに、この日の長崎で「お医者さまの学会が4つも重なった」ということらしい。今井君は修学旅行シーズンのせいだと早合点していたが、いやはや、お医者さまの集会のせいで、クマ蔵がこんなに四苦八苦することになるとは、神ならぬクマの身の知る由もない。
そういう紆余曲折を経て、今夜の宿泊は「諫早観光ホテル 道具屋」に決まった。旅慣れた今井君としては珍しく進退きわまって、会社の宿泊担当のヒトに頼り切ることにしたのである。「諫早なら、ここ」「かつて天皇陛下もお泊まりになった」という、由緒ある宿屋である。
空港からタクシーに乗って、30分ほど。諫早は長崎空港から意外なほど近い。「道具屋」に到着、午後1時半。「さすがに、早すぎるかな」とも思ったが、思い切ってフロントに足を運び、係の女子社員に「部屋の準備はまだ出来ませんかね?」とオズオズ尋ねてみた。
すると、マコトに突慳貪な答えが返ってきた。「チェックインは午後3時です」「まだ部屋の準備ができてません」「そこのソファで待ってて下さい」というのである。さすが天皇陛下のお泊まりになったホテル。クマなんかがお昼すぎにノコノコやってきても、冷酷な門前払いが待っているだけであった。
ションボリうなだれて、哀れなクマ蔵はお昼ゴハンでも食べに出かけることにした。フロントの女子社員は「1時間半後に戻ってきて下さい」とクマ蔵に一声かけて、「こんなに楽しいことはない」と呟くかのようにニヤリと笑った。
でも、そういうことならクマ蔵は別にかまわない。万が一のことを考えて、「諫早でランチすることになったらどこに行くか」は、前もってだいたい決めてあった。
諫早なら、何と言ってもウナギの「北御門」。「明治16年創業、陶器の中に熱湯を入れ、その蒸気で蒸したやわらかいウナギが絶品」と、ヒトビトは口を揃えて北御門を推奨していた。
幸いなことに「北御門」は、ホテル道具屋から徒歩5分もかからない。諫早を東西に貫いて流れる本明川のほとりに、古式ゆかしい姿のウナギ屋さんがすっくと立って、ションボリ・サト助をあたたかく迎えてくれた。
こういう時、万が一お酒が飲めたら、きっと抜群に楽しいのである。お酒じゃなくても、ビールだってかまわない。お昼のウナギ屋さんに入って、優しい店員さんとウナギの諸君に「大丈夫ですよ、道具屋で冷たくされたって、ワタシらがついてますから」と慰めてもらえれば、クマ蔵はそれだけで十分だ。
そういう優しい応援団にお酒がくっついていたら、もう完全に「画竜点睛」というか、「オニに金棒」というか、今井君は完全に元気に戻れるのである。だが諸君、クマ蔵は19時からのお仕事を控えている。どんなに元気のモトになる飲み物であっても、厳禁であることに変わりはない。
(諫早の名店・北御門。明治16年創業だ)
ウナギ、おいしゅーございました。熱湯の蒸気でまんべんなく蒸されたウナギは、香ばしさが身の奥の奥まで滲みていて、濃いめのタレが白いゴハンとピッタリの相性であった。
もちろんクマ蔵だって「せいろ蒸し」のほうにもグイグイ食指が動いたのだったが、白いゴハンがつくウナギ定食を選んでホントによかったと思う。白いゴハンのサッパリしたおいしさのおかげで、ますますウナギへの食欲が沸き上がる。
もしも仕事が控えていなかったら、
「お酒も冷やで、4合ばかりもらいましょうか」
「ついでに、ウナギ定食をもう1人前ください」
という恐るべきランチになっていたかもしれない。
勘定を済ませたクマ蔵は、「チェックインできる時間まで、まだ30分も残っている」という状況に愕然とする。行くべきところもないまま、川沿いをトボトボ歩いていくと、梅も満開になってすっかり温かそうな川の水の中で、キレイな白鷺が餌を探している。
川のほとりには眼鏡橋。もとは本明川にかかっていた橋を、洪水の被害から守るために近くの公園の中に移設したのだという。橋のたもとでヒト休みして、「早く3時にならないかなぁ」「早くあの突慳貪なオネーサマに入室許可をもらいたいなぁ」と、哀れなクマは深いタメイキをついたものだった。
1E(Cd) Ricci:TCHAIKOVSKY/VIONLIN CONCERTO・PAGANINI/CAPRICES
2E(Cd) Maazel & Wiener:TCHAIKOVSKY/SUITE No.3 R.STRAUSS/TOD UND VERKLÄRUNG
3E(Cd) Dorati & Washington D.C.:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.4
4E(Cd) Barenboim & Chicago:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.5
5E(Cd) Gergiev & Kirov:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.6
total m111 y266 d13186
諫早と言えば、サト助の記憶にあるのは高校ラグビーの名門・諫早農ぐらいである。平成の長崎県では、長崎北陽台と長崎北が急激に強豪化し、それに長崎南山が加わって、全国ベスト8の常連になりつつある。
こんなに強豪がシノギを削っている状況では、諫早農はなかなか花園の全国大会に出られないけれども、何を隠そう、花園で準優勝の輝かしい歴史もある。ただしそれは1969年のこと。前年にはメキシコオリンピックがあって、マラソンで君原選手が銀メダルに輝いた。おお、三丁目の夕陽の残照がまだ明るかった頃である。
(長崎県諫早、名店「北御門」のウナギ)
そういう長崎県諫早で、今井君はこの10年で3回もお仕事をしてきた。もうすっかりお馴染みである。いつもなら、長崎に宿をとって、諫早にはクルマで移動するのであるが、諸君、2014年3月8日、長崎のホテルは言語道断に混雑していた。
どのぐらい混雑していたかというに、12月下旬の段階で、めぼしいホテルはすでに全て「満室」になっていた。長崎でホテルと言えば、まずはANAクラウンプラザ。12月下旬、パリに滞在していたサト助は、パリのホテルから果敢にネット予約にチャレンジしてみたが、その段階ですでに「ご希望にそえるお部屋は見つかりません」という表示が出た。
ついで、ちょっと値が張るが「長崎ガーデンプラザホテル」。夜景の美しさで有名な稲佐山に位置し、メインのホテル棟以外に、超豪華な離れの部屋もある。ビジネス客が1人で宿泊するのには豪華すぎるけれども、ANAクラウンプラザが満員なんじゃ、これもまたチャレンジする値打ちはあった。
しかし諸君、これもまたマコトに無慈悲に「満室」。パリの今井君は、長崎のホテルの冷酷さに驚嘆の声を上げるばかりであった。残るは、長崎駅から徒歩10分の「ベストウェスタンホテル」。ここは2005年までプリンスホテル・グループで、そのころは長崎で一番のホテルと言えばここだった。
(長崎県諫早での宿泊は「道具屋」と決まった)
しかし今や、ここはベストウェスタンのグループである。うーん、日本のことはよく分からないが、欧米で「ベストウェスタン」と言えば、2流or3流ホテルの代名詞。2~3年前の人気TVドラマ「ゴシップガール」の中で、主役の1人・ブレアが
「何なの? この安っぽいグラジオラスの花束は。ベストウェスタンホテルのエントランスじゃないのよ」
と激しい口調でメイドさんを叱りつける。その発言に対する日本語の字幕は、
「何なの? この安っぽいグラジオラスの花束は。安っぽいホテルのエントランスじゃないのよ」
である。うにゃ、「ベストウェスタン」を「安っぽい」とパラフレーズすれば、それだけで翻訳ができあがるということらしい。
そういうわけだからかどうなのか、4~5年前にサト助が宿泊したベストウェスタン長崎は、修学旅行生のメッカと化していた。いかにも粗暴な感じの男子高校生たちが奇声を上げながらロビーを駆け回り、女子高校生たちがエレベーターの中で超厚塗りの化粧を直していたりした。
(諫早の眼鏡橋。手前に写っているカバンは、もう10年使っているサト助の戦友である)
さすがのサト助もそういう雰囲気はイヤなので、長崎での宿泊はあれ以来ANAクラウンプラザに一本化している。しかしそのベストウェスタンも、12月下旬の段階で「満室」。おお、パリのサト助は3月8日の宿泊の件で進退きわまることになった。
この混雑の原因は何かというに、この日の長崎で「お医者さまの学会が4つも重なった」ということらしい。今井君は修学旅行シーズンのせいだと早合点していたが、いやはや、お医者さまの集会のせいで、クマ蔵がこんなに四苦八苦することになるとは、神ならぬクマの身の知る由もない。
そういう紆余曲折を経て、今夜の宿泊は「諫早観光ホテル 道具屋」に決まった。旅慣れた今井君としては珍しく進退きわまって、会社の宿泊担当のヒトに頼り切ることにしたのである。「諫早なら、ここ」「かつて天皇陛下もお泊まりになった」という、由緒ある宿屋である。
空港からタクシーに乗って、30分ほど。諫早は長崎空港から意外なほど近い。「道具屋」に到着、午後1時半。「さすがに、早すぎるかな」とも思ったが、思い切ってフロントに足を運び、係の女子社員に「部屋の準備はまだ出来ませんかね?」とオズオズ尋ねてみた。
すると、マコトに突慳貪な答えが返ってきた。「チェックインは午後3時です」「まだ部屋の準備ができてません」「そこのソファで待ってて下さい」というのである。さすが天皇陛下のお泊まりになったホテル。クマなんかがお昼すぎにノコノコやってきても、冷酷な門前払いが待っているだけであった。
(かつて天皇陛下もご宿泊になった畏れおおいお部屋「菊」。今夜のクマ蔵はここにシングルユースで宿泊する)
ションボリうなだれて、哀れなクマ蔵はお昼ゴハンでも食べに出かけることにした。フロントの女子社員は「1時間半後に戻ってきて下さい」とクマ蔵に一声かけて、「こんなに楽しいことはない」と呟くかのようにニヤリと笑った。
でも、そういうことならクマ蔵は別にかまわない。万が一のことを考えて、「諫早でランチすることになったらどこに行くか」は、前もってだいたい決めてあった。
諫早なら、何と言ってもウナギの「北御門」。「明治16年創業、陶器の中に熱湯を入れ、その蒸気で蒸したやわらかいウナギが絶品」と、ヒトビトは口を揃えて北御門を推奨していた。
幸いなことに「北御門」は、ホテル道具屋から徒歩5分もかからない。諫早を東西に貫いて流れる本明川のほとりに、古式ゆかしい姿のウナギ屋さんがすっくと立って、ションボリ・サト助をあたたかく迎えてくれた。
こういう時、万が一お酒が飲めたら、きっと抜群に楽しいのである。お酒じゃなくても、ビールだってかまわない。お昼のウナギ屋さんに入って、優しい店員さんとウナギの諸君に「大丈夫ですよ、道具屋で冷たくされたって、ワタシらがついてますから」と慰めてもらえれば、クマ蔵はそれだけで十分だ。
そういう優しい応援団にお酒がくっついていたら、もう完全に「画竜点睛」というか、「オニに金棒」というか、今井君は完全に元気に戻れるのである。だが諸君、クマ蔵は19時からのお仕事を控えている。どんなに元気のモトになる飲み物であっても、厳禁であることに変わりはない。
(諫早の名店・北御門。明治16年創業だ)
ウナギ、おいしゅーございました。熱湯の蒸気でまんべんなく蒸されたウナギは、香ばしさが身の奥の奥まで滲みていて、濃いめのタレが白いゴハンとピッタリの相性であった。
もちろんクマ蔵だって「せいろ蒸し」のほうにもグイグイ食指が動いたのだったが、白いゴハンがつくウナギ定食を選んでホントによかったと思う。白いゴハンのサッパリしたおいしさのおかげで、ますますウナギへの食欲が沸き上がる。
もしも仕事が控えていなかったら、
「お酒も冷やで、4合ばかりもらいましょうか」
「ついでに、ウナギ定食をもう1人前ください」
という恐るべきランチになっていたかもしれない。
勘定を済ませたクマ蔵は、「チェックインできる時間まで、まだ30分も残っている」という状況に愕然とする。行くべきところもないまま、川沿いをトボトボ歩いていくと、梅も満開になってすっかり温かそうな川の水の中で、キレイな白鷺が餌を探している。
川のほとりには眼鏡橋。もとは本明川にかかっていた橋を、洪水の被害から守るために近くの公園の中に移設したのだという。橋のたもとでヒト休みして、「早く3時にならないかなぁ」「早くあの突慳貪なオネーサマに入室許可をもらいたいなぁ」と、哀れなクマは深いタメイキをついたものだった。
1E(Cd) Ricci:TCHAIKOVSKY/VIONLIN CONCERTO・PAGANINI/CAPRICES
2E(Cd) Maazel & Wiener:TCHAIKOVSKY/SUITE No.3 R.STRAUSS/TOD UND VERKLÄRUNG
3E(Cd) Dorati & Washington D.C.:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.4
4E(Cd) Barenboim & Chicago:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.5
5E(Cd) Gergiev & Kirov:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.6
total m111 y266 d13186