Sun 151004 リヨンの午後 酔眼は楕円形 丘からの絶景 合流点(また夏マルセイユ28) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 151004 リヨンの午後 酔眼は楕円形 丘からの絶景 合流点(また夏マルセイユ28)

 時の経つのは速いもので、なでしこのお葬式からもう1週間が経過した。いつまでもクヨクヨ嘆いているのはクマ助ばかりで、世の中はかまわずどんどん動いていく。

 なでしこのことで夢中になっているうちに、旅行記のほうもすっかりほったらかし。旅の途上のクマ助は、9月4日のリヨンの置いてきぼりであって、さぞかし心細い思いをしているに違いない。

 気がつかないうちに、なじみの深いいろんなホテルに買収話が持ち上がっている。福岡・広島・金沢・富山のANAクラウンプラザホテルは、「星野リゾートが買収」とのことである。

 この10年、この4軒合わせれば毎年10泊は宿泊してきた。10年で100泊の計算。特に博多駅前のANAクラウンプラザは、「窓を開ければ代ゼミ」の風景が印象的。何となく「またヒト時代終わったな」という実感がある。

 もちろん、「星野リゾートが買収」ということになれば、ホテルの運営形態だって大きく変わるだろう。それも楽しみだ。「できれば、札幌ANAホテルも買収してくれませんかね?」であって、10日前の「今井ナニサマですか?」の衝撃は、まだまだクマ助の頭を去らないのである。
リヨン絶景
(初秋のリヨン。フルヴィエールの丘からの絶景)

 そんなことを思っていたら、今度は「ウェスティンとシェラトンの買収に中国企業が名乗り」という記事を発見した。おお、今度はそう来たか。爆買いパワーに翳りは出ても、やっぱり世の中はまだまだ中国サマサマであるらしい。

 恵比寿ウェスティン、横浜シェラトン、大阪梅田のウェスティンは、若きクマ助の人生をいろいろな意味で彩った懐かしいホテルである。外国旅行でウェスティンやシェラトンはあんまり利用した記憶がないが、広島、仙台、他にもどんどん記憶が蘇ってくる。

 別に中国サマを拒絶するわけではないけれども、もしも中国サマの傘下に入れば、運営形態もサービスの質も、今までとは大きく変わってくるだろう。恐ろしく気難しい今井君が、果たして今後も利用したくなるかどうか、何だか面倒な世の中になってきた。
大聖堂
(リヨン、ノートルダム大聖堂)

 さて、9月4日のリヨンにクマ助を置き去りにしたまま、まさかこれ以上放置するわけにもいかないじゃないか。そろそろクマは冬眠の季節。これ以上ポンと放置しておけば、どんな騒ぎを引き起こすか知れたものではない。

 しかも諸君、この日のクマは、ランチで既にとんでもない酔っぱらい方をしているのである。Wed 150923 絶品フィレステーキ ババで悪夢を葬り去る(また夏マルセイユ27)を参照すれば、あの日のクマ助がどのぐらい酔っぱらっていたか、容易に想像がつくはずだ。

 ボルドーの赤ワイン・ボトル1本。キューバのラム酒がジュルジュル泉のように滲み出してくるケーキ:ババを満喫。口の脇からラム酒がタラタラ垂れている状況で、さらにコニャックを痛飲。おやおや、こりゃ「放置すれば路上で冬眠開始」というテイタラクなのである。

 気持ちよくお店を後にしたクマ助は、その足でソーヌ川を横断。フルヴィエールの丘へのロープウェイに乗り込んだ。古代ローマ時代から2000年もリヨンの町を見守ってきた丘である。

 ローマ時代の劇場跡でも有名。ローマ五賢帝の中でもおそらく最も評判のいいトライアヌスどんは、ここにフォールムを作ったし、17世紀中期にペストが流行した時も、ここで皆でひれ伏してマリアさまに祈りを捧げると、あっという間に流行は終わりを告げた。
ソーヌ河
(リヨンのソーヌ川。黒いお水が特徴的)

 1870年、フランスがプロシアに大敗した普仏戦争の時は、まずパリを陥落させたプロシア軍がリヨンを目指して南進。リヨン2000年の歴史もプロシアの軍隊に踏みにじられる寸前であったが、リヨンの人々はやっぱりこの丘でマリアさまにお祈りを捧げた。

 すると驚くなかれ、いきなりプロシアの軍隊はリヨン攻略を諦め、北に去っていった。さすがフルヴィエールのマリアさま、そのご利益はタダゴトではない。

 そんなにゴリヤクがあるものなら、もっと早く言ってくれれば「なでしこの腎臓がモトに戻りますように」と熱くお祈りしたはずであるが、今思えば残念なことに、クマ助はポール・ボキューズのお店のお酒で泥酔状態。とてもマリアさまのゴリヤクに思いが及ぶ状況ではなかった。

 今井クマ蔵の恐ろしいのは、頭の中身は完全にデロデロに酔っぱらっていても、「外から見たらちっとも分からない」という点である。よほど親しい人でなければ、「目玉が楕円形に変化」という泥酔の兆候をご存じないはずだ。

 日本酒を6合 ☞ 7合と痛飲しても、外見では
「先生って、ちっとも酔わないんですね」
「いくら飲んでもシラフのままですね」
「ホントにお強いですね」
とビックリされるのであるが、諸君、その時ふと今井君のお目目を眺めてみたまえ。

 左右のお目目は、そのとき完全に楕円形。眼球も眼窩もマコトにダラしなく楕円形に緩んで、まるでラグビーボールが2個、お顔の真ん中でボンボン弾んでいるようなアリサマである。
ローヌ河
(リヨンのローヌ川。白いお水が特徴的だ。ソーヌの黒と比較してみてくれたまえ)

 そんな状況でフルヴィエールの丘に昇り、美しい初秋のリヨンを眼下に見下ろした。ここは2年ぶり。2年前はクリスマス直前の小雪の日に訪れたのであるが、目の前にソーヌ川、その向こうにローヌ川、南フランスを代表する2つの河川に沿って、赤い屋根がどこまでも続くリヨンはマコトに美しかった。

 ただし、クリスマス前と初秋では眺望にも大きな違いがある。前回は樹々の葉がキレイに散り落ちた後であって、左から右に向かう2つの川の流れもスッキリと見渡せた。

 ところが、「初秋」ということになると、プラタナスの樹々はまだタップリ豊かに葉を茂らせている。手前のソーヌはともかく、向こう側のローヌの様子はちっとも分からない。

 これでは何だか物足りないので、「酒の酔いに任せて」というか、「まあ何とかなるさ」「なんくるないさ」というか、そんな感じで何となくリバークルーズのチケットを購入してしまった。所要時間は90分、帰りの電車に間に合うかどうか、マコトに微妙なところだが、ま、いいじゃないか。

 船は、街の南でVの字形に合流する2つの川を往復する。まず、ソーヌを南下。合流地点で左に320°ほど急転回し、今度はローヌを北上。街の北の外れに到達したところで180°グルリと転回して、ローヌを南下 ☞ ソーヌを北上の逆戻りコースをたどり、元の地点に戻る。
水鳥さんたち
(リヨンで。たくさんの水鳥が浮かんでいる)

 このとき諸君、川の水の色に注意してくれたまえ。ソーヌの水は黒く、ローヌの水は白い。合流地点で、その色の対象をよく吟味しなければならない。こういうケースは少なくないので、ドイツ・チェコ国境の町パッサウでも、同様の光景に出会う。

 オーストリア・インスブルックから流れ下る急流イン川は、流域の石灰岩が溶け込んで炭酸水みたいに明るい白色の水。白いイン川が流れ込むドナウ河のほうは、冬のドイツのイメージそのもののゆったりした黒い水。両者はなかなか混じりあわずに、パッサウからチェコ ☞ ハンガリーと、はるかな黒海を目指す。

 大河ナイルにも、本流・白ナイルと支流・青ナイルがある。これからの一生で、果たしてナイル源流地帯にまで入り込むことがあるかどうか、まだ予定は立たないが、まあ同じような話じゃないだろうか。

 とりあえず今日のところは、まず黒いソーヌと白いローヌ。合流地点あたりにはたくさんの水鳥が暢気にプカプカ浮かんでいる。この直後に今井君が直面する目を白黒&四苦八苦の世界なんか全く無関係に、ゆらゆら&ゆらゆら水面に浮かび、初秋の昼下がりを満喫している様子であった。

1E(Cd) Maggini String Quartet:ELGAR/STRING QUARTET in E MINOR & PIANO QUINTET in A MINOR
2E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE BARBIROLLI ELGAR ALBUM 1/2
3E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE BARBIROLLI ELGAR ALBUM 2/2
4E(Cd) Elgar & London:ELGAR/SYMPHONY No.2
5E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE DREAM OF GERONTIUS 1/2
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