Fri 100212 3月2日の段階でもう浪人を考えている諸君、及び周囲の大人の皆さんへ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 100212 3月2日の段階でもう浪人を考えている諸君、及び周囲の大人の皆さんへ

 昨日も最後に書いた通り、いま「浪人しようかな?」と考えている人たちには、まず右の欄のアーカイブスをクリックして「安易な気持ちで浪人するな」をしっかり読んでほしい。近くの東進で今井の講演会があったら、ぜひ参加の上、今井に相談にくること。3月16日横浜・新都市ホールでの「大学入試報告会」にも出席するといい。
 今朝の新聞にも「浪人生募集」の広告がたくさん掲載されているけれども、国公立の最終結果さえ出ないうちからそういう広告をデカデカと掲載する、それが醜い予備校の本質であって、そういう企業に自分の身柄をまるまる1年預けることには、もっと慎重であってしかるべきである。
 浪人が当たり前で、むしろ浪人することがもてはやされた10年前とは事情が違うのだ。「3月2日の段階で新聞広告を見つけた浪人生向け予備校は、選択の対象から除外する」ぐらいの態度であってさえいいように思う。
 20年昔なら、いい予備校は3月初旬で締め切りになった。しかし今や、浪人クラスなんか4月20日になってもまだ「受付中」「募集中」である。慌てる必要はない。3月末までは「自分が浪人生活に耐えられるか」「浪人して、本当に第1志望に合格できるのか」「浪人して伸びるタイプと堕落するタイプがあるが、自分はそのどっちなのか」、そういうことをじっくり考えたほうがいい。

(はるかな目標 1)

 浪人して堕落した今井が言うのだから、このことは間違いないと信じる。18歳の今井は、3月8日に東大を受験。数学で[1]番にこだわるあまり、結局1問も完答できず、帰りの電車の中で検討してみると[2][3][4]は力ずくの微分と積分で正解できる問題だったことに気づき、その段階で浪人を決意した。3月11日、駿台予備校を受験して合格。当時は「早慶に合格するより駿台に合格するほうが困難」と言われていて、早稲田の政経と法学部に合格していたのに、あえて駿台を選んだ。
 あの1年が無駄だったとは思わない。鈴木長十とか伊藤和夫とか、長岡亮介とか秋山仁とか、その後の20年にもわたって影響を受けつづけた先生がたにも出会うことができた。しかし、浪人して「よく遊んだ」こともまた間違いがなくて、結局1年後は早稲田政経に。リベンジどころの話ではなくて、親のカネをたっぷり無駄にし、時間もたっぷりムダにしたあげく、しっかり全身に刻みつけることになったのはコンプレックスのみ。その経験に立っていうと、「慎重に、3月いっぱい自分を試してから決意したまえ」ということになる。

(はるかな目標 2)

 だから、浪人を考えるなら、予備校選びより先に、何よりもまず自分を試すべきである。まず1ヶ月、懸命に勉強してみたまえ。苦手科目の基礎問題集を1冊選んで、「これを3月末までに1回キチンと終えられたら、自分に浪人を許す」と決める。または「今年ダメだったのはこの科目のせいだ」と思う科目の基本参考書を一冊選んで、「3月いっぱいでマスターできたら浪人する」と家族に宣言する。それが実行できたら、はじめて「だからお金を出してほしい」と言ってみる。そういう息子や娘なら、親は誇らしい思いに涙が出るほどなのだ。弟/妹がいたら、「宣言」の相手は弟/妹が一番いい。兄or姉の威信にかけて、「1ヶ月で自分はこれだけできるんだ」ということを見せてやるのだ。
 次のセンター試験まで、残った時間はたった10ヶ月である。「1ヶ月でこの問題集を終えられたのだから、10ヶ月で出来るのはこれだけ」と、冷静に問題集10冊を並べてみて、「これだけマスターしたら本当に合格できるのか?」を考える。これも絶対に避けるべきでない試練。そういう冷静な判断さえできないヒトが、浪人して成功できるはずはない。
 1ヶ月で1冊なら、残り10ヶ月あっても10冊しかできない。5科目なら、1科目につき2冊である。どんなに神がかりになっても、決して100冊できるわけではない。10冊マスターしたらホントに合格できるか、それをしっかり判断できないで、「必死でがんばっていれば、神風が吹く」と考えるのは、昭和19年20年の日本軍幹部と同じことである。
 限られた資源と時間をつかってどれだけのことができるか、冷静にその計算ができないのは、精神年齢が低いのだ。その結果、6月か7月には、再び昨年と同じように「奇跡を起こす」「生まれ変わる」と言って毎日のように計画表ばかり作りなおしている「ミラクル君」になるのが関の山なのだ。
 予備校が口をそろえて言う「テキストだけやっていれば合格します」「テキスト以外やる必要はありません」という合言葉についても、疑ってかかるべきである。デカデカと写真つきで掲載される「合格体験記」は、あくまで「予備校にとって都合のいいものばかりだ」ということを忘れてはいけない。「テキスト以外にも、…と…もやりました」という記述はすべて削除されているのだ。「テキストだけをやっていたら、全然ダメでした」という体験談を、予備校が掲載するはずがないのである。

(おいでおいで)

 何よりも、「4月19日開講!!」という予備校だけは、絶対に選ばないこと。これから2ヶ月近く「何もやりません」「君たちの自由です」という姿勢に、誰も驚きの声をあげないのはたいへん不思議である。2ヶ月あればどのぐらいのことが出来るか。浪人を考えている諸君、昨年の11月と12月のことを思い出してみたまえ。11月12月の2ヶ月で、自分がどれほど成長したか、記憶に残っていない人は誰もいないはずである。
 あれと同じ時間があるのに、「開講まで、とりあえず遊んでなさい」という予備校は、時間の大切さを全く認識していない。いや、むしろ短時間で青年がどれほど成長するかを忘れ、2の次にしている。合格させる気など、もともと皆無なのである。講師のスケジュール調整と税務対策に忙しい予備校に1年を預けて、それで自分の人生に何かプラスがあるか。そういうこともしっかり考えなければならない年齢に諸君は達しているはずだ。
 それでも浪人する、それでも志望をあきらめられない、それは素晴らしいことである。それなら「明日からすぐ授業を受けなさい」と厳しくすすめてくれる予備校を選ぶべきである。試しに窓口にいってみたら、なかなか帰らせてくれない。「今すぐこの授業を受けなさい」と教室に連れていかれた。「もう3月2日です。10ヶ月後にはもう受験です。10ヶ月とは、たった45週間。すぐに始めないという人に、ホントに合格する気があるとは思えません」。ハッキリそう言ってくれる予備校なら、通って損することはないのである。

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