Sun 091018 町田で講演会 データと数字を揃えすぎると、単なる説明で終わってしまう | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 091018 町田で講演会 データと数字を揃えすぎると、単なる説明で終わってしまう

 午後3時から町田で保護者対象の講演会。出席者50名弱。今日もまた高1と高2の保護者が対象で、高3の保護者は原則として対象外である。繰り返すようだが、高校生の保護者としては「もう高校生なんだから、親の出る幕ではないだろう」「親がいくら言ったって、言うことを聞いてくれる年齢ではない」という思いの方が強い。「高校生になったら、塾なんかに通うより、自分で参考書をボロボロになるまで繰り返すもんだ」という、20年も30年も昔の考え方のままで、「子供が塾に通っていること自体を苦々しく考えている」というパパのほうがむしろ普通である。そんな状況だから、50名もの出席者があったことは、校舎として大健闘と言っていい。


 家庭内でも、
「お父さんが高校生の頃にはな、全部自分でやったもんだ」
「受験英語ばっかりやってても、話せる英語は全然身につかないぞお。証拠は、お父さんだ」
とか、大昔の発想で語り合ったりしている。のんびりしていたい日曜日の午後、普段から言うことを聞かない息子なり娘なりのために、苦々しく思っている予備校の保護者会なんか「絶対行きたくない」とパパが考えるのは、まったく無理なことではない。


 ましてや、切羽詰まった状況の高3生の保護者ならいざ知らず、対象は高1と高2。受験なんか遥か遠くのこと。「明日のことを思い煩うな」どころか、来年や再来年のことである。以上、不満不平でいっぱいのお父さんが並んだ90分の講演会を、大成功に導くのは非常に困難と思われる。

 

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(町田講演会。どの講演会でも、出席者のプライバシー保護のため、写真は全て後ろ姿になっている。どのぐらい楽しそうな爆笑気味の笑顔が並んでいるか、ブログで示せないのは申し訳ないが、あくまで「迷惑がかかるといけないから」という姿勢を貫いている)


 ところが、のんきな今井グマは、全く同じない。パワーポイントはおろか、映像も、数字でいっぱいの資料も、グラフも図表もランキング一覧も、全く準備していない。
「具体的に示したまえ」
「数字やデータでわかりやすく」
「ビジュアルで説明したまえ」
明日、月曜日になれば、会社の部内ミーティングでも重役会議でも、大人たちはそうやって数字とデータとビジュアルに追いまくられるのであるが、いろいろなことがなかなかうまくいかないのは、そうやって数字とデータとビジュアルの奴隷になっているせいだ、ということも少なくない。


 のんきな今井グマが、不平と不満でいっぱいの参加者のために用意したのは、B5版2枚の平凡きわまりない文書である。そのB5版2枚を左上でホッチキス止めしてあるのが、自分でも何だか痛々しいほどである。むしろ2枚のB5を横に並べて1枚のB4版レジュメにしてもらった方がいいかもしれない。ホッチキスの針が微妙に曲がったりして、その曲がり方が下手をすれば「ふざけている」と取られかねないほどである。


 そのB5版2枚の中身にも、あまり工夫があるようには思えない。グラフ、図表、写真、その他ビジュアル一切なし、文字が疎らに並んでいるだけである。さすがにレジュメはパソコンで作成するから一応「印刷」っぽいけれども、もし25年前だったら「手書き」というところである。さすがに「ガリ版」ということはないが、手書き原稿を「ゼロックスして」配布する、という感覚。30歳代から下の人は聞いたこともないだろうが、昔は「野村君、コピーしてきてくれ」ではなくて「野村君、ゼロックスしてきてくれたまえ」だったのだ。野村君って? まあ野村君である。

 

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(町田講演会 2)


 しかし、明日の重役会議なら確実に叱責の声が飛ぶだろう「文字だけB5×2枚」「ビジュアル/数字/データ一切なし」のこのレジュメで、狭い教室の50人の聴衆は、10分もかからずに、波打つように話のトリコになるから不思議である。だいたい、データをビジュアルに見せることに夢中になりすぎるから、話が退屈になるのだ。


 パソコン画面を見せながらの説明なんか、聞く側はパソコンの操作にばかり気を取られて、話を真剣に聞けなくなるし、説明する側だってやっぱり注意力の半分が操作にいってしまって話に熱が入らない。最悪の場合、データを読み上げ、文字を読み上げて終わり。大学学部のゼミなんかで、ダメな学部3年生がレジュメを読み上げるだけの発表をして、教授や「師範代」気取りの大学院生に叱られることがあるが、要するにあれである。

 

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(町田講演会 3)


 まあ、「せっかくデータを集めたんだし」「せっかくいろいろ分析してキレイなグラフにしたんだから」という気持ちはわからなくはない。しかし相手の頭を数字まみれにして力ずくで押さえ込むようなプレゼンテーションは、かえって聞く者の頭を睡魔のトリコにするのである。今井君は、そういう失敗を決してしない。


 いつか早稲田の政経学部で泉鏡花についての発表をしたとき(Tue 090714参照)、50枚もの大量のレジュメを作成し、90分×2時間のゼミを4回も5回もジャックして迷惑をかけ、「レジュメやデータを読み上げるだけの発表」の愚かさを悟ったのである。あれから、プレゼンテーションには「ほぼゼロ」「ほぼ徒手空拳」で臨むことにしている。そのほうが、クライアントでも講演会の聴衆でも、満足度がはるかに高いのである。


 さて、長くなりすぎた。この話をさらに続けたいのだが、それは明日にしたいと思う。

1E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 10/10
2E(Cd) COMPLETE MOZART/THEATRE & BALLET MUSIC 1/5
3E(Cd) COMPLETE MOZART/THEATRE & BALLET MUSIC 2/5
4E(Cd) COMPLETE MOZART/THEATRE & BALLET MUSIC 3/5
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6E(Cd) COMPLETE MOZART/THEATRE & BALLET MUSIC 5/5
7E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 1/11
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