Mon 090914 サンマ定食と、のどぐろ一夜干しを満喫 エディンバラの忠犬ボビー物語 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 090914 サンマ定食と、のどぐろ一夜干しを満喫 エディンバラの忠犬ボビー物語

 こんなふうだから(すみません、昨日の続きです)、帰国後数日間は、砂漠に迷ったヒトが水を求めるのに負けない激しさで、ひたすら和食を求めてさまよい歩くことになる。その場合でも「安くて旨い」が原則。代々木上原からの徒歩圏内で、下北沢と三軒茶屋は12年生活している準地元でもあり、安くて旨い店の宝庫でもある。しかもこだわりすぎる人間ではないから、安い飲み屋で構わない。「蕎麦屋で一杯」も大いに嬉しい。


 仕事の一段落はついているから(明日か明後日詳述する)「昼間から蕎麦屋で酒を飲む」という最大の幸福を味わうことにした。下北沢の床屋に行ったついでだったのだが、茶沢通りを15分ほど三軒茶屋方向に突進し、魔裟斗だったか誰だったかのジム(太子堂ゴリラビル内)の斜向かいにある「くら嶋」に入った。小堺一機がひいきにしているとテレビで言ったとか言わなかったとか、そういう店である。

 

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(「くら嶋」の「のどぐろ一夜干し」。なかなか可愛い)

 

 そんなことはどうでもいいので、とにかく、何が何でも「サンマ定食」。1000円で、サンマ1匹、蕎麦、その他2皿に、もちろん飯がつく。実は前の晩、「笑笑」「和民」「魚民」の類いの飲み屋(実名「蔵の桜」)でサンマを食べた。電話で予約して「サンマは残り1本だ」ということだったので、「そのサンマも予約ということで」と相当な意気込みででかけた。ところが「塩焼き」。出来るかぎり塩の味のしないサンマ、それを醤油とおろしだけで食べたかったのだから、ちょっとガッカリさせられた。その翌日、実際には「がっかりした」から12時間ちょっとしか経過していない。敵討ち、しかも「どうしてもサンマでサンマのカタキを討ちたい」と意気込んでいたのである。
 

 今日のサンマは旨かった。隣りのテーブルで(おそらく「くら嶋」は初めてだったのだろう)相当キョロキョロした挙げ句「てんぷら定食」を注文してしまっていた中年の夫婦が、今井君のサンマ定食を一目見るなり「おおおー!!」「ははあー!!」と歓声をあげたほどである。ついでに言うと、クマどんはあまり裕福な育ちではないおかげで、何を食べても何を飲んでも、信じられないほど旨そうな顔をする。まして、サンマある。あのご夫婦には悪いことをしてしまったかもしれない。

 

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(サンマの残骸。我が輩は、猫である)

 

 日本酒も「浦霞」「飛露喜」など3合飲み、時計を見ると2時過ぎである。これほど嬉しい時間の使い方はなかなか考えられないが、ちらっとメニューに目をやると「のどぐろ」の文字が目に入った。「のどぐろ」を無理に刺身で食べさせて「どうです、あまーいでしょ?」などという店は絶対にイヤであるが、「くら嶋」は「のどぐろの一夜干し」を焼いてくれるというのである。
 

 これを食べずに、「和食好きメンズ」(Sat 090912「R25」参照。ただし、「猫好きメンズ」については「メンズ」という用語も疑問。menをさらに複数形にして「メンズ」というのはなぜですか?正式には「猫好きメン」だと思うのですが)の2ヶ月の渇きが癒されるとでも言うのだろうか。大きめのを1枚焼いてもらって、ついでに日本酒を1合追加した。金沢の「加賀鳶」である。金沢の酒は、体調のよくない時など、「少し甘みが強すぎる」と感じることもあるが、それは寝不足とか疲れすぎとか、とにかく飲むほうの責任。最後の仕上げにのどぐろ一夜干し、それにあわせる強めの酒、そういうことになれば金沢の酒は間違いなく正しいの選択である。

 

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(太子堂「くら嶋」)

 

 さて、ミーハー・メン(ズ)でもあるクマどんは、すでにすっかり鳩山内閣ファンである。鳩山首相誕生の午後4時、彼を長年見守ってきた愛犬が、悲願達成を見届けるように亡くなったというニュースで、危うく泣きそうになった。秋田犬のHACHIに勝るとも劣らぬ、涙を誘う物語である。というか、もしも鳩山首相がこれからの4年間、国民に嫌われることなく日本を再構築する善政を継続できれば、今から30年か40年後、「総理大臣と犬」の物語が映画や絵本や小説になって世界中を泣かせるかもしれない。


 つい1週間前までスコットランドのエディンバラに滞在していたが、エディンバラにも素晴らしい犬の物語があった。グレイフライヤーズ犬・BOBBYの物語である。ボビーは警察に勤めるジョン・グレイの愛犬。飼い主の病死後、埋葬された教会の墓の前に毎日座り、死ぬまでの14年間、ずっと飼い主の墓の前で、墓を見つめて過ごしたというのである。

 

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(エディンバラの忠犬BOBBYの像)

 

 ボビーの像を見ただけで泣きそうになったクマどんは、日本に帰ってから早速調べてみた。犬好きメン(ズ)でもあるのである。ボビーの姿に感動した街の人々は、墓地の裏手のレストランでボビーに食べ物を与えた。「飼い主のいない犬は処分すべし」という意見があったにも関わらず、市長は「ボビーの飼い主=市議会」として保護しつづけた。ボビーの死は1872年。飼い主の墓のある教会墓地の門のすぐ内側に埋葬された。おお、素晴らしい物語である。サンマにのどぐろで昼間から酔っ払っている場合ではない。

 

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(BOBBYそっくりの犬。酒屋のショーウィンドーでアルバイト中だった)