Sat 090912 海外で「R25」を読んでヒマをつぶす 「猫好きメンズ」なるものについて | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 090912 海外で「R25」を読んでヒマをつぶす 「猫好きメンズ」なるものについて

 8月半ばから9月上旬にかけてずっと海外にいて、日本のニュースに疎くなると思いきや、かえって日本にいるときより日本の出来事に敏感になるものである。確かにテレビというメディアからは離れざるをえない。ほんの2~3年前までは、欧米のちょっとしたホテルならNHK海外向け放送を部屋で視聴できたのに、2009年現在、NHKは中国のテレビ局にとってかわられつつあって、「とりあえずアジアは中国ね」という感じ。ロンドンでもNYでも、イタリア・フランス・ドイツ・スペインは当たり前、アラビア語と中国語のテレビも見られるのに、日本語放送はどんどん排除されているというのが実情である。


 こういう悲しい事情があるから、日本人旅行者としてはパソコンを持参して、「ひたすらネット」ということになる。子供の時から毎日毎日テレビ漬けで、テレビを主食に育った昭和の人間としては、たとえ海外旅行中であっても「テレビを見られない」というのは絶望的なことである。


 もちろん、日本に帰ってきても、「どこの局に回しても全く同じ内容」というのは困るので、何でもかんでも酒井法子容疑者の保釈会見、どう工夫しても民主党圧勝、いくらチャンネルをいじっても新閣僚のこぼれ話、テレビの現状にウンザリすることは言うまでもない。しかし、海外ではとにかく英語放送以外のテレビを楽しめない。楽しいのはカートゥーン・ネットワークの「パワーパフ」とニッケルオデオンの「スポンジボブ」だけ、そういう現状は悲しむべきものである。


 仕方がないからひたすらネットネットで頑張るのだが、ネットの世界がそれほど豊かかというと、溢れかえるジャンク情報の中にまで入り込むほどネット好きでもないから、見るのはせいぜいYAHOO! JAPANのトップページから2クリック3クリック程度まで。それ以上の深みに入り込むことはしない。


 で、ヒマに任せて読んでみたのがフリーペーパーだかフリーマガジンだかの「R25」。ダブリンでもウィンダミアでもエジンバラでも、ありがたいことに「ネットは無料です」というホテルだったから、気兼ねなくそういうのを読みふけることもできた。
 

 いやあ、驚きましたなあ。こういうのがネットで人気のフリーペーパーというわけじゃな。じいさんは、あまりのことに腰を抜かしましただ。今どきの若い人たちは、こういう雑誌記事に埋もれて生きとるのじゃな。おお。うお。がお。記事のあまりの充実ぶりに、すっかり腰を抜かしてしまいましたでござるよ。


 いや、別に、皮肉であるよ。別に、批判しているのでござるよ。こういうレベルの記事を書いてギャラをもらっているライターさんがきっとたくさんいることを、嘆いているのでござるよ。こういうものを読んで、ライフスタイルの指針としている読者がいることを、嘆かわしく思っているのでござるよ。


 諸君、例えば、フリーマガジン「R25」9月11日17時配信の「猫好きメンズ」についての記事を読んでみたまえ。腰を抜かすことは必定でござるよ。腰を抜かした挙げ句、ヨダレが止まらなくなっても、知らないでこざるよ。すでに読めなくなっている可能性があるので、一部を引用しながら、その素晴らしい内容について鑑賞していこうではないか。「R25」記事はこんなふうに始まっている(一部略)。

「猫カフェなどの人気で、昨今急増しているという猫好きメンズ。でも、猫が好きで好きでたまらない男子って、女性からどう見られているんでしょう。例えば、道ばたで見つけた野良猫を優しくなでてあげる男子。私はけっこう好きです!そんな男子には、彼女のことも優しく包んでくれそうな安心感を覚えてしまうのですが。でも、もし世に言う「草食系」みたいな淡泊な感じだったら、恋に発展する可能性は低いですよね?う~ん、いったいぜんたい猫好きメンズってどんな男子なの?男女の恋愛を日々研究している、恋愛エッセイストの潮凪洋介さん、教えて!」

 

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(なに、猫好きメンズだと?)


 おお、このクマさんも、誰にも負けない「猫好きメンズ」である。猫からも大いに好かれている。今井君もその「恋愛エッセイスト・潮凪洋介」さんの意見が聞きたい。ライターさんは「包んでくれそうな」の一言で女性だとわかってしまうが、彼女の「昨今」「いったいぜんたい」「世に言う」などの古典的言葉遣いが気になりつつ、それ以上に「恋愛エッセイスト」という恐るべき存在、「潮凪洋介」とは何者か、大いに興味を引かれるところである。グーグってみると潮凪どんは「王様文庫」という大いに権威ある文庫からたくさんの著書を出している「恋愛の権威」。諸君、恐るべし。「恋愛の権威」であって、「何とかぷるぷるランキング6位に輝いたこともある」というツワモノ。その意見を拝聴する価値はありそうである。権威は、次のようにおっしゃる(一部略)。

「猫好きメンズは、基本的にスローラブな男性。時間をかけてじっくりと女性との関係を育んでいく傾向にあると思います。彼らはべたべたと猫に触ろうとはせず、ただ遠くからそっと猫のかわいらしいしぐさを見て癒やされたり、幸福感を味わったりしていますよね。女性に対しても同じで、そういう男性には、徐々に女性との関係を密にしていく方が多いと思います。会ったその日にベッドインするというような、ファストラブ的行動を起こすことは少ないと思います」

 

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(猫好きメンズをたじろがせる、猫の本質)


 おお、「会ったその日にベッドイン」とは恐るべし。「ファストラブ的行動を起こす」、恐るべし。青少年がこんな言葉を目にしては、絶対にいけませんぞ。「スローラブな男性」「幸福感を味わったりしています」という表現もまた、さすがに恋愛エッセイスト&ランキングに輝く権威の素晴らしいお言葉。今井君なんかも、猫たちをなでつつ、毎日「幸福感を味わったりしています」。さて、ライターさんは、このありがたいお言葉に

「なんだかプラトニック…。確かに猫好きな人って、遠巻きに猫を見てほほえんでいますよね。でも、女性との恋愛においては、見ているだけじゃ何も起こらないのでは? やっぱり猫好きメンズは草食系なの?」


と反応している。「遠巻きに猫を見て」もなかなかだが、「ほほえみながら女性を見ているだけ」というシーンは恐ろしい。そのシーン、その笑顔も、青少年はあまりじっくり考えないように。それはプラトニックというより、ヘンタイ的である。さて、ぷるぷる6位に輝く恋愛エッセイストどんのお答えは、以下の通り(一部略)。

「猫好きメンズは、決して恋愛に消極的というわけではありません。相手への愛情表現の手段として、自分から積極的に与えるのではなくて、相手の夢や願望を寛大な心で受け止めて、そっと応援してあげるという方法をとる人が多いようです。静かに見守るという傾向が強いので、女性と激しいケンカをすることも少ないですし、長く平和に恋愛関係を続けるにはもってこいだ思います」

 

「猫好きメンズで恋人ができないと悩んでいる人は、ターゲットを年上女性に絞ると成功率が上がるかもしれません。とくに30歳過ぎまで恋を成就していない女性は、かなり消耗しています。そこにそっと寄り添うことのできる猫好きメンズなら、高嶺の花だと思っていた女性でも落とせるチャンスがあるかもしれません」

 

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(ニャゴ姉さんが黙ったら、寝ているものと思え)


 なるほどねえ、「猫好きメンズ」悪くありませんね。「ターゲットを年上女性に絞る」「成功率が上がる」「落とせるチャンスがある」などの激しい言葉遣いが気にならないこともありませんが。


 だって、「成功率が上がる」って、何だかオトコ社会的♡。「成功」とは何を意味するのかも気になるところ♨。「率が上がる」って、イチローの打率やプロ野球の首位打者みたいに「率」で計算しなければいけないほど、毎日毎日たくさんのアタックに励むのか。成功って、1回か、まあいろいろ事情があるとしても2回とか3回とか、片手の指で数えられる回数で一生が終わるのが普通じゃないのか。


 「30歳過ぎまで恋を成就していない女性」というのも、ランキングに輝く権威らしい、実に思い切った表現。しかも、そういう女性が「消耗している」というのは、ずいぶん思い切った割り切り方である。しかしライターさんは、こういう疑問に思いが至らなかったらしい。大いに納得、大いに感服したご様子である(一部略)。

「確かに。人生が停滞しているときに、そっと隣で見守っていてくれるような男性が現れたら、完全にフォーリンラブしちゃいますよね。猫の気持ちが手に取るようにわかる猫好きメンズは、わかりづらい乙女ゴコロも感覚的にわかる能力を持っているのかも!? 「俺も猫好きなんだけどな~」という男子の皆さん、女子を猫に見立てて接すれば、恋が成就する可能性も高くなりそうですよ!」

 

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(テムズ右岸に現れたニャゴ姉さん。なんだか寂しそうであった)


 おお、結構カンタンに「完全にフォーリンラブ」するものである。そこまでカンタンなら「乙女ゴコロ」は決して「わかりづらい」ということはなさそうだ。「女子を猫に見立てて接する」という行動に当該女子が反感をいだかないかどうか、大いに興味のあるところである。さらに、こういう「猫好きメンズ」がホントに「猫の気持ちが手に取るようにわかる」かどうか、猫の意見も聞いてみるべきではないか。


 ま、海外で過ごす午前4時、こんな時間では飲みに行くわけにもいかず、ラジオ体操をするわけにもいかず、テレビをつけても中国語放送かスポンジボブ、ミニバーのビールも飲み尽くして空っぽ。そういう夜(というか早朝)、ブログ記事を書くのも飽きてしまったあとは、R25みたいなのを読んでツッコミを入れていれば、ヒマをもてあますことはなかった。大いに感謝である。