Sat 090718 熊本で講演会があり、羽田空港へ 「使用する機材が急遽変更になりました」 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 090718 熊本で講演会があり、羽田空港へ 「使用する機材が急遽変更になりました」

 7月14日、熊本県玉名市で講演会があり、午後1時の飛行機で熊本に向かった。飛行機での移動は、JALなら「クラスJ」、ANAなら「プレミアムシート」、大きな予備校なら、講師は誰でもそういう贅沢を許してもらっていて、私も「こんな短時間の移動なんだから、普通席で別に構わないのではないか」と思いながらも、せっかく会社からもらったプレミアムチケットを無駄にしないようにしている。普通席では余りにも狭くて、パソコンを開くのも原稿を書くのも校正ゲラを広げるのも、周囲の迷惑を考えて遠慮してしまう。今日のANAはプレミアムシートの1A。最前列で足元も広々しているから、校正ゲラを広げて1時間半じっくり仕事をすることで、こういう贅沢をさせてくれる会社や、参考書を楽しみにしてくれている生徒諸君に報いようと(カッコつけすぎかもしれないが)考えながら、晴れて蒸し暑い東京を横断して、羽田空港に向かった。

 

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(宿泊先のホテルからみた熊本城。梅雨明け直後の熊本は、暑かった)

 ところが、例の「予想の5倍重い鞄(Thu 090212参照)」からパソコンを取り出して保安検査場を通ろうとすると、「チケットレスサービス」のはずなのにブザーが鳴った。きわめてぶっきらぼうな係員が「まだチェックインが終わってないです。まずANAのカウンターに行ってください」という。


 そんなこと言われても、私がもっているチケットは「チェックイン不要のチケットレスサービス」である。「チェックイン不要」という前提のチケットなのに、「チェックインしてください」というのは不条理。「おかしくありませんか、チェックイン不要と書いてありますよ」と指摘すると、「いいから、とにかく、カウンターでチェックインしてください」と言う。あまりに無礼なので、一喝しようかと思ったが、今年の私のテーマは「カッとしないこと」。昨年までの私の得意ワザ「一喝」は封印し、せっかく鞄から出したパソコンをかかえてカウンターに向かった。

 

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(ビニール袋に隠れる 1)


 結論を言えば、「使用する機材(飛行機の機体のこと)が急遽変更され、プレミアムシートのない機材になった。だからプレミアムシートで予約した乗客の皆様は、カウンターでのチェックインが必要になった」というのである。ANAは頻繁にこういうことをする。自分たちの都合が優先で、かってに別の飛行機に変更しておいて、乗客に不便を押しつける。


 第1段落に書いておいたように、プレミアムシートを予約するということは、そこでどうしてもこなしたい仕事をかかえていて、「あれもしなきゃ」「これもしなきゃ」「1時間半、目一杯やったら、到着後はあれをやろう」そういうプランをしっかり作り、到着後のプランも機内での仕事の進捗を前提に作ってから予約するのである。忙しいビジネスマンなら、みんな同じことである。
 

 それを「使用機材が変更になりました」の一言ですべて片付けてしまう。搭乗予定の多忙なビジネスマン全員の綿密なプランが、その一言でガラガラと崩れ去るのだが、そんなことは全く考慮に入れない。「機材が変更になり、プレミアムシートの設定はありません」と、ツンとして言い放ち、形式だけ「申し訳ございません」と謝って、ペコリと頭を下げる。それ以上クレームを言う客は「ちょっと異常なクレーマー」ということにしてしまう。しかも、「機材が変更になってプレミアムシートはない」ということについて、「何故そういうことになったのか」「乗客はどう対処すべきか」「保安検査場に行く前にカウンターに立ち寄ってほしい」など、必要な案内は一切ないのである。

 

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(ビニール袋に隠れる 2)


 得意ワザ「一喝」の出番は、ここに整った。今井君は、熊の肉をむさぼり食う(Sat 090613参照)、野生の大きなクマである。怒らせないかぎり、のんきで陽気なクマさんはコワくない。暑い日には土管か洞穴に頭を突っ込んで、のんきに昼間から眠りこける黒い巨大な毛玉のような存在である。しかし、「許せないこと」の存在に気づき、「これを許しておくと自分以外にも迷惑するヒトが続出する」と判断し、「だから今クレーマー扱いされても構わない」という正義感が心に充満すると、グリズリーと睨み合ってもグリズリーがスゴスゴ逃げ出すほどの、激しい気合いがみなぎるのである。


 で、飛行機の出発が30分後に迫っているにもかかわらず、今井君がは久しぶりの「一喝」を開始することにした。どういう理由であれ、機材の変更が頻繁に発生すると、「整備不良」など安全性に不安を感じざるをえない。乗客への連絡ばかりでなく、保安検査場係員の無礼な態度などをみても、ANA社内の連絡網が整備されておらず、指示や連絡が徹底されていない。分社化が進みすぎて、責任の所在が乗客にとってハッキリしないばかりか、社員自身がどこにどんな責任があるのかさえ明確にわかっていないのではないか。「自分たちはその担当ではない」「担当は別会社だ、文句があったらそっちに言ってほしい」「ボクらは悪くない」、そういう状況で安全な運航が確保できるのか。まあ、そういう話である。


*ビニール猫について「窒息したら?」と心配するカタがいるかもしれませんが、これは全く密閉状態ではないので問題ありません。しかも猫は、「変だ」と思えばすぐに居場所をかえますから、安心です。