Wed 090429 TBS「スマイル」「チューボーですよ」と、代々木上原CASA VECCHI | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 090429 TBS「スマイル」「チューボーですよ」と、代々木上原CASA VECCHI

 夕食後にのんびりソファに寝そべって、TBS「ぴったんこカンカン」を見ていたら、ガッキーこと新垣なんとかという若い女優が出てきて、メインの安住アナとともに代々木上原の紹介を始めた。おお、地元である。地元がテレビに映るのは誰でも嬉しいものであって、知っている店でも出てきはしまいかとハラハラしながらしばらくテレビに釘付けになった。残念ながら、代々木上原とはいいながら、紹介されたのはお隣りの代々木公園駅近くの沖縄料理店のみ。あっという間に代官山方面に舞台は移ってしまい、まあ代官山も近所と言えば近所だが、さすがに「行きつけ」という感じではなくて、番組はそのまま代々木上原に戻ることなく終わってしまった。ま、要するに番宣である。ガッキーこと新垣ナントカが主演の「スマイル」というドラマが「ぴったんこカンカン」の直後に組まれていて、そのための番宣を延々と30分見せられたわけだ。


 番宣を見たついでに、ガッキーこと新垣ナントカにはあまり興味はなかったが、地元・代々木上原が舞台というドラマで「知ってる店でも出てきたら嬉しいな」と思いつつ、そのままTBSを見続けた。それにしてもTBSは、こういう悪質な番宣が多すぎる気がする。(おそらく)関東ローカルの「王様のブランチ」なんか、土曜日の午前から午後にかけて、5時間のほとんどが番宣でできているようなものだ。今日の「ぴったんこカンカン」というのも、高い視聴率の割に作り方はあまり感心できない。知っている人なら誰でも感じていることだろうが、高田純次や久本雅美が紅白に分かれてのクイズ番組形式をとり、最後に男性軍と女性軍とで合計得点を競うことになっているのが、その部分だけとってつけたようにほぼ有名無実化して、完全に無意味である。要するに安住アナと泉ピン子がゲストに絡んで飲食店を回るバラエティなので、もう素直にそうしてしまうべきなのだ。


 ゲストの選び方がTBSドラマの主役に偏っている、というより限定されているのも余りに露骨であるが、フシギに思うのは、クイズの雛壇に並ぶ「男性軍」と「女性軍」のタレントたちのプライド。2時間番組で、実際にクイズに当てられる時間は5分にも満たない。1ヶ月分まとめて収録しても30分もかからないクイズ部分への出演で、いったいいくらのギャラがもらえるのかにも興味はあるが、それ以上に興味のあるのは「こんなんで、タレントとしてのプライドに傷がつかないのか」であり、さらに「こんな手抜きの番組作って、制作者としてのプライドは大丈夫なのか」である。4月の番組改編でどう見ても無理(というより非常識)な時間編成にしてしまって以来、TBSはドラマもニュースも絶不調で全く視聴率がとれていないのは周知の事実だが、それをこういう形の番宣番組で取り返そうとして、恥も外聞も考えない。


 で、「ぴったんこカンカン」は先週のゲストが中井貴一(「スマイル」の弁護士)で今週が新垣ナントカ(「スマイル」の主役)。これほど徹底して番宣して、それではドラマの仕上がりはどうかと言えば、30分ほど見てみたが、こりゃ全くダメだ。制作責任者の立場なら、すぐにボツにしてもいいぐらいかもしれない。いろいろ重たいテーマを持ち込んでシリアスに作ろうとしているのに、弁護士の中井貴一がTV初出演のワイドショーで突然の下痢のせいで途中退席する、などというありえないエピソードを挿入。ワイドショーの現場ならいくらでもわかっているクセに、台本が杜撰でまともなワイドショーのシーンにすらなっていない。


 地元民として言わせてもらえば、せっかく代々木上原を舞台にしたのに、舞台設定を全く活かせていないのも残念。このストーリーなら、むしろ上野とか浅草とか亀戸とか錦糸町とか、賑やかな下町設定のほうが向いていたように思う。前田吟、小池栄子、食品工場、設定から脇役まで、少なくとも代々木上原である必然性は全く感じられないのだ。


 同じTBSでも、5月2日の「チューボーですよ」はよかった。「桜海老のパスタ」がテーマで、別に「堺正章がよかった」とか「ゲストがよかった」とか言うのではなくて、地元・代々木上原の「CASA VECCHIA」が登場、そこだけがよかった。あと、4月から出ている新人の女性アナもなかなかいい。「何でもかんでも小林麻耶を入れておけばいいだろう」ではうまくいかないに決まっている。いかにも素人っぽい下手なリアクションで、よく番組を盛り上げていると感心した。

 

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(カーサ・ヴェッキア。21時)


 CASA VECCHIAについては、このブログのほぼ1年前、Sun 080629を参照。この5~6年、私も1ヶ月に1回は通っている名店である。1ヶ月に1回程度では「馴染み」を名乗るのはおこがましいのだろうが、これほど内気な人間が1ヶ月に1回いそいそ通っているとすれば、よほどいい店だという証拠にはなるかもしれない。アスパラガスでもウサギでもズッキーニでもファルファッレでも、とにかく食べるものの全てが確実に旨いのと、いくら旨くても「旨いでしょ」「甘いでしょ」とか押しつけがましく言ってくるようなことが絶対にないのがたまらない。丁寧に紹介される料理もワインもデザートもグラッパも言われた通りに間違いなく美味なのと、周囲のテーブルの客が変にやかましくない(食通ぶったヒトやワイン通みたいな面倒なヒトがいない)のも、この店の素晴らしい所である。


 今のタイミングでTBSに紹介されると、これも「スマイル」の番宣の一環かと思わざるをえない部分があるが、それでも見崎シェフが巧みにフライパンをかえしているシーンは、「さすがにカッコいい」と叫んでもおかしくない。「将来の巨匠」として紹介されて懸命に海老を剥いていた新井美帆さん(漢字が違っているかもしれないが)も、昨年から店でよく見かけるたいへん感じのいい人で、丁寧に料理の紹介などしてくれる姿も嬉しいものである。


 彼女に限らず、この店の若いスタッフの応対ぶりは気持ちがいい。草彅クンに勝るとも劣らぬ酒好きの私にも、一番好きそうな酒をちゃんと選んでくれる。ワインについては何しろバカだからよくわからないが、ついこの間出してもらった、インク代わりに字が書けそうな特濃の赤ワインなんか、「まさに私のためにとっておいてくれた」という特濃の旨さだったし、テーブルにグラッパをズラッと並べて選ばせてくれるのもいい。「こいつはグラッパのグラスなんかじゃ足りないだろう」という感じで、ワイングラスにたっぷりグラッパを注いでくれるのは、これはもうあり得ないほどの嬉しさである。

 

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(箱入りのニャゴロワ)


 代々木上原は、穏やかで静かな街である。高校生や大学生の集団が「ケッコ栄えてるじゃん」と言いあうような騒々しい街ではない。ドラマ「スマイル」みたいに、小学校の給食の工場から食中毒が発生して救急車が駆けつけたり、マスコミとか弁護士とかそういう騒がしい人たちがどやどや集まってお互いに大声で非難しあったり、そういうシーンとは無縁、その意味では「全く栄えてなんかいない」。旨いとわかっている料理を口に入れて身もだえしながら「旨い」「あま~い」「味の宝石箱やあ」と絶叫してみたり、そういうのは、ちょっと違うのである。


 おそらく今、この街の住民の関心の第一は、昨日書いた「工藤さんのキジトラ猫」である。おじいちゃんもおばあちゃんも、小学生も中学生も、お金持ちの欧米人も作家たちもタレントたちも、みんなキジトラの無事を願い、彼らに飼われているおっきな犬たちですら、つぶらな瞳を不安げに見開いて、キジトラ猫の消息を聞こうと耳をそばだてながら、満開のツツジの花を悲しい気持ちで見つめているはずだ。

1E(Cd) Barenboim/Zukerman/Du Pré:BEETHOVEN/PIANOTRIOS7/11
2E(Cd) Jennifer Lopez:J TO THA L-O The Remixes
3E(Cd) Jandó(p) Ligeti & Hungarius:MOZART/Complete Piano Concertos2/11
4E(Cd) Barenboim/Zukerman/Du Pré:BEETHOVEN/PIANOTRIOS6/11
5E(Cd) Jennifer Lopez:J TO THA L-O The Remixes
6E(Cd) Jandó(p) Ligeti & Hungarius:MOZART/Complete Piano Concertos2/11
7E(Cd) Courtney Pine:BACK IN THE DAY
10D(DvMv) PRIDE AND PREJUDICE
total m195 y583 d2826