Tue 090113 ラグビーのルール変更 予備校講師が学んだこと 瀧澤に喝采 秋田工について | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 090113 ラグビーのルール変更 予備校講師が学んだこと 瀧澤に喝采 秋田工について

 というわけで(昨日からの続きである)早稲田が帝京を20対10で下して15度目のラグビー大学選手権優勝ということになった。今年は11月に帝京に1敗、12月には明治にも1敗があって、清宮監督が築いた2000年代の早稲田黄金時代もそろそろ終わりそうに思えただけに、早稲田出身者としては大いにおめでたいと思う。今年はバックスが2年生主体だったのだから、よく頑張ったと言っていい。ぜひ来年につなげてほしい。


 さて、大学ラグビーのシーズンはこれでひとまず終了したことだし、今年導入された試験的ルール変更について、書いておくのもいいだろう。すでに11月23日の早稲田vs慶応戦を見た段階で感じたことだが(Wed 081126参照)、今年のルール変更はラグビーのルールをより複雑にしてしまった。男たちのカタマリが湯気を上げて一進一退するモール戦の重量感も、密集を連取してボールを継続するスピード感も、ことごとく奪ってしまったように思う。


 その代わりに目立ったのが、まずキックの応酬。ハイパントなりロングキックを蹴って相手のキャッチミスから好機をつかむという他力本願の戦法である。第2に目立ったのが、PGの復権。PGで着実に3点ずつ得点を積み重ねるだけのゲームは、どこか退屈で面白味に欠ける。第3が、スクラム選択の増加。巨漢選手を揃えてとにかくスクラムにすれば、軽量チームに勝ち目はない。以上、要するに試験的ルール変更で、20年ぐらい前の古くさいラグビーが復活しただけである。


 PG重視、「ペナルティをもらったら、とにかくPG狙いで3点」というのが今年の傾向だった。決勝の帝京大もその傾向にならって、FB船津のPGで着実に3点ずつ積み上げる作戦。新聞でもテレビでもほとんど指摘されていないが、それが帝京大の敗因にもなったと思う。前半10分までは圧倒的に帝京大有利。観客席から見ていても、帝京大フォワードの勢いに早稲田はディフェンス一方でアップアップの状態。「下馬評どおりに帝京大の圧勝か」と思われ、客席の一部分を真っ赤に染めた帝京大応援団も元気いっぱいだった。

 

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(優勝して「荒ぶる」を熱唱する早稲田の選手&関係者)


 前半5分、帝京大がゴール正面10mほどのところでペナルティを得る。作戦通り、あっさりPG狙いに決めて、強風の中きれいにPG成功。応援団のボルテージは一層上がって、うーん、早稲田惨敗の気配。しかし、見る人が見れば、このPG成功が返って帝京大にとっては敗戦への第一歩だったのである、というか、そう思う。早稲田の選手としても、これほどの劣勢の中で、たった3点で済んだのは、野球なら「ノーアウト満塁でスクイズの1点で済んだ」という感じだったのではないか。


 前半5分までの圧倒ぶりをみるかぎり、帝京大のあそこでの正しい選択は、PG狙いではなかった。あくまでスクラムを選択して、FWでトライをとるまで執拗に押し込んでしまうこと、早稲田FWの戦意を喪失させるぐらいまで力の差を見せつけることだったはずだ。準決勝の法政戦では、帝京大はその作戦を選択して15分かけてじっくりトライを奪い、それが圧勝につながったのだ。決勝でも、前半5分まではボンドの突進から何度も早稲田のディフェンスに大きな穴があいて、早稲田ファンの悲鳴と、帝京応援団の大歓声につながっていたのだから、あそこでのPG選択、「まあ3点でいいから取っとくか」という弱気な選択は帝京大にとっての致命傷になったと思う。


 午後4時に喉が渇いてウーロン茶を飲めば、午後6時のビールの圧倒的な旨さは台無し。午後5時に小腹がすいてスナックをつまめば、午後7時の丼メシの爽快なほどの旨さは台無し。それと同じことである。あれほど圧倒して、それなのにたった3点で引き下がれば、それだけでチームの士気は下がる。その直後、早稲田の右ウィング早田がタッチライン際をハーフウェイあたりまで独走したところから、両チームのムードが逆転し、何よりも帝京大応援団のボルテージが一気に下がった。それはTVではわからなかっただろうが、スタジアムでは如実に感じられた。大歓声はちっとも上がらなくなり、そのまま試合終了まで「何のためにあんな大応援団でスタジアムを赤く染めたのか」と不思議になるぐらいの意気消沈ぶりだった。

 

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(記念の「荒ぶるTシャツ」で観客席に駆け出す早稲田の選手たち)


 余計なことだが、こういうのは予備校講師としても学ぶところが大きい。「チマチマやってないで、一気に行くべきところは一気に」というのは、基礎を勉強するときの鉄則である。受験勉強を始めて、基礎をガッチリ固めようとするときは、何よりも一気にやりきってしまうことが大切。「一週間に一回塾の授業を受けて」とかチマチマやっていると、帝京大のPG狙いみたいに意気消沈するのが関の山である。それよりも、力ずくででもFWで一気に押し込んでしまうこと、1週間に4度でも5度でも予備校の授業を受けて、1年分を3ヶ月で、いや1年分を1ヶ月でやり遂げてしまうほどの集中力で勝ちきってしまうこと。さすがベテラン超人気実力派うにゃうにゃ講師♡♡は見るところが違う♥。ラグビーを見るにも、いつでも受験生のことを熱く考えながら見ているのだ♥。決して5合の酒に酔っ払っているだけではない。


 もう一つ、「スクラムの時、ディフェンスラインが10m下がらなければならない」というのが今年の試験的ルール改正。Wed 081126のブログの中で指摘しておいたことであるが、このルール改正で、No.8のサイド攻撃が圧倒的に有利になり、No.8に巨漢選手を据え、スクラムサイドを執拗に突進させる作戦を重視するチームが増加するはずである。むかしの明治の河瀬や瀬下の名前も出しておいた。


 だから、1月10日大学選手権決勝の早稲田の勝ち方は私の予測を思いっきり裏付けるものだったと言っていい♡かもしれない♡♡。つまり、早稲田の2つのトライは、2つともNo.8豊田がサイドを突進して奪ったものだったのである。この場合、豊田が巨漢というより奔放な選手だったのが救い。前半の残りワンプレイでスクラムを選択したこと自体、信じがたいほどに奔放。相手フランカーがシンビンで欠けているのを、このワンチャンスに利用しようという発想も奔放。サイドの駆け抜け方も、「相撲取りのような巨体を揺らしながらの突進」ではなくて、極めて柔軟なバックス並みの走りであるのも奔放。こういうところが救いにはなるが、今後のラグビーのことを考えると、「きっとNo.8のサイド攻撃ばかりで、つまらなくなるな」「巨漢選手を供給できるかどうかの勝負になるな」「相撲部との巨漢の取り合いになるな」みたいな心配が膨らむのであった。

 

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(何の関係もないシマ柄のネコ)


 最後に2つ。まず、早稲田のプロップ滝沢君の4年間の健闘に拍手を送らなければならない。黙々とスクラムの屋台骨を支えてきた彼は、私の間違いでなければ愛知県の超名門・千種高校の出身。早稲田大学理工学部に在籍。まさに文武両道を形にしたような男である。タッキー的滝沢ではなくて、どうしても「瀧澤」と書きたくなる瀧澤である。不動の1番として活躍した男が、最後に笑顔でスタジアムに一礼し大喝采を受けたときには、思わず涙した人も少なくはなかったと思う。


 本当の最後に、秋田工業高校のラグビーについて。早稲田の優勝は大学選手権で15回目の優勝。15回も全国優勝すれば、日本中誰知らぬ者もない、たいへんな名門である。しかし、高校ラグビーに目を向けると、過去15回優勝し、決勝進出21回という超名門が、最近全く奮わない。私の故郷・秋田県の秋田工である。今年優勝した啓光学園でさえ優勝はまだ7回目。秋田工の優勝回数15回はその2倍以上。伏見工や国学院久我山など、Aシードの常連でさえ、優勝回数は4回か5回。秋田工が、過去にどれほど強かったかがわかる。懐かしのドラマ「スクールウォーズ」にも、川浜高校こと伏見工を準々決勝で苦しめる秋川工(実際のスコアは14対10)として登場する。


 しかし、今では見る影もない。20年ほど前に相模台工を9対4で下して優勝したのを最後に優勝から遠ざかっている。Aシードはおろか、Bシードにもならない。と思っていたら、この3年ほどは秋田県代表にさえならない。秋田に住んでいた時、秋田工の黄金時代を築いた高桑氏の隣に住んでいたことがあったりもして、この状況は耐えがたいものに感じられる。ぜひ今の危機から脱して、再び全国の脚光を浴びてほしいものである。

1E(Cd) Backhaus(p) Böhm & Vienna:BRAHMS/PIANO CONCERTO No.2
2E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/EIN DEUTSCHES REQUIEM 1/2
3E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/EIN DEUTSCHES REQUIEM 2/2
4E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.1
5E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.2
6E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.3
7E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.4
total m114 y114 d2352