Fri 080905 受験生のオマモリと「的中!!」について サインについて | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 080905 受験生のオマモリと「的中!!」について サインについて

 相変わらず夕方になると怪しく雲が出て、夜8時9時になると突然雷が鳴り豪雨が襲う。もうこんな天気が1週間も10日も続いていて、なかなか安心して酒を飲みに出られない。もっとも、私は雷や地震や豪雨が大好きで、雷が鳴れば「おお、もっと鳴り響け」と叫んで盛り上がるし、豪雨が降り出せば「おお、もっと降れ」と叫んで、出来ればシャワー代わりに外に飛び出して踊り狂いたい方である。というか、つい2年か3年前までは実際に外に飛び出して踊り狂ったことも少なくなかったが、さすがに年齢も年齢だし、立場も立場であって、雷に誘い出され豪雨に狂喜乱舞しているワケにもいかなくなったから、今年はこれほど機会に恵まれているにも関わらず、寂しく自重している。全く、人間の成長とは、意味のない下らないたくさんの自重を強いるものである。

 

(写真上:赤塚不二夫「ニャロメ」のものまねに励むニャゴロワ。この調子なら、2本足で走り回る日も遠くはなさそうである。)

 さすがに暦はまもなく9月の中旬に近づいて、激しい雷雨の前後にはセミの声ではなくてコオロギの声が多くなるようである。たとえ夕方はツクツクホウシの声に満たされていても、雷雨がやんだ後の夜11時の闇は、コオロギその他の秋の声が満ちている。季節の変わり目を如実に感じるのはそういう瞬間であるが、幼い頃からぜんそくに悩まされてきた身には、夏から秋の季節の変わり目は、少なからず鬱陶しいイヤな感じに悩まされる。「小児ぜんそく」だったから、大人になれば発作は鎮まるとは言っても、30歳近くまでは10月11月に激しい発作が起こることがあったし、今でも、父の友人・故ナベも使っていた「メジフェラー・イソ」に該当する吸入薬(080824参照)は常備している。今年はこれからチューリッヒとロンドンに旅行を計画中だが、海外旅行の場合でも、急に気温が下がる土地に旅行する時には、この吸入器がオマモリである。このオマモリなしには、いまだに恐くて知らない土地で眠ることも出来ない。
 

(写真上:赤塚不二夫「イヤミ」のモノマネにも励むニャゴロワ。飼い主と同じで飽きっぽい。何事にもすぐ飽きる。酒にも酔わずに、信じがたいほどよく眠る。特にイヤミの「ザンス」=「dgざますn」の発音が苦手。080828参照。満足できないままニャゴニャゴ大きなアクビをしては、ひたすら眠る。080606080607など参照。または「スター誕生」の「ばんざーい、なしよ」。これで分かる人は30歳代後半以上なので、分からない若者はパパかママに聞くこと。パパもママも30代前半の場合、グランパorグランマに聞くしかないかもしんなあい)

 そこでオマモリの話だが、予備校講師として、私は受験生にはオマモリを持つことをすすめていない。湯島天神でも北野天満宮でも太宰府でも、初詣のついでに1000円出して買っただけのお気楽極楽な(CXウゴウゴルーガ参照)オマモリが、実際に何かの効力を発揮するはずなどない。もともと、神がかりになって勝負しようという類いのものではないのである。それでも、カノジョまたはカレシに頼んで買ってきたオマモリなら、まだ微笑ましくて、いい。一緒に同じのを買って、合格を誓い合って、うなずきあって、指切りもして、そういうきわめて気持ち悪いオマモリでも、まあヨシとしよう。しかし「ママ」に買ってきてもらったオマモリというのは、そろそろヤメにしたほうがいいような気がする。確かにありがたいし、母の愛というものは、どんな愛よりも強烈なものかもしれないけれども、18歳にもなったデカい息子が、試験会場で「ママ」にもらったオマモリなどを固く握りしめているようでは、そもそもそのこと自体が合格への阻害要因にならないか、私はむしろそれが心配である。

 

(写真上:ナツメロ好きで、西城秀樹「YMCA」の練習に励むニャゴロワ。新聞チラシの上での「Y」のポーズ。ちょっとお腹が出ている状況が気になる)

 「予備校の先生にもらったサイン」などという、つまらないものを後生大事にオマモリだと言って試験会場で握りしめているヤツもいるらしいが、それもどうかと思う。予備校講師は人気商売だから「サインしてください」と言われて、サインしないわけにはいかない。講演会場では、どこでもサインを求める列が出来る。1回の講演会で200枚も300枚もサインすることになる。「Tシャツの背中に」「ハチマキに」「神社で買った扇子に」と、サインを求める場所もいろいろであるが、サインする時、私はいちおう念のために「こんなサインをもらっているヒマがあったら、数学の問題集1ページやった方がいいよ」または「こんなサイン会の列に並んでいる時間があるなら、英単語20コ記憶した方がいいんじゃないか」と、実に冷酷で、決して反論しようのない真実を告げることにしている。

 そういう態度が「冷たい」と判断されるなら、それは仕方がないが、予備校講師のサインなんかいくら握りしめていてもご利益(ゴリヤク)がないことは明らか。その証拠に、大学当局に「正解例と採点基準とを公開してほしい」と、その程度の要求をしてさえ、鼻であしらわれる程度の人種に過ぎないのだ(080901参照)。入試問題の予想だって「当たるよ当たるよ」と言っている割りには、当たったタメシはほとんどない。
 
(写真上:眠ってからも西城秀樹「YMCA」の練習に励むニャゴロワ。「C」のポーズ。「C」が反対を向いている。このままではカラオケには連れて行けない。イヤミのシェーも少しかぶって、どっちなのか分からない)

 よく予備校の広告で「的中!!」とか言って、さも予想が的中したような感じで大騒ぎしているのを見かけるが、よおっく読んでみると「ほうら、ベクトルが出た。的中!」「ほらね、関係詞の問題が出てるでしょ、的中!!」「見ろ、重松清が出た。的中!!!」とか、まあそれに該当したことに過ぎない。特に出題すべき出典の限られている古文や漢文であれば「この程度の的中なら、的中しない方がむしろフシギ」だし、これほど模擬試験が頻繁でテキストの数も多ければ、あとからウの目タカの目で探しまくれば、どこかの大学の問題が、何かの模試やテキストで「的中」しているのは当たり前のことである。

 私のテキストでも、2008年春に「的中!!!」が出ている。私が担当した、東進「上位国公立大学英語」のテキストに採用した千葉大学の長文読解問題が、2008年の金沢大学で、何とそのまま出題されたというのである。金沢や福井など北陸方面を講演会で回ると、2008年春に金沢大学に合格したという学生が、その件で「どうもありがとうございました、先生のテキストが的中したお蔭で、医学部に合格できました」などと言ってお礼にいらっしゃる。私としてはおおいに恐縮して、いやいや、的中のお蔭で合格したなどということは一切ない、あなたの努力が合格を勝ち取るにふさわしいものだったからこそ合格なさったのだ、そういって苦笑いするだけであるが、ま、予備校講師というのは、そのぐらい行き過ぎた信頼と敬意を集めているのだな、と実感する瞬間である。
 
(写真上:熟睡したあとも西城秀樹「YMCA」の練習に励むニャゴロワ。続「C」のポーズ。「C」が反対のまま、何をしていたか忘れての激しい熟睡)

 大学受験まで残り半年もなくなってしまい、これからはいろいろなオマモリが乱舞する時期になるけれども、最も効果のあるオマモリは、例えば「5回繰り返した単語集」「4回繰り返して解いた数学の問題集」「50回繰り返して音読した英語長文読解のテキスト」「書いて書いて書きまくった結果、カラになったボールペン30本」などである。

 特に私は予備校講師になって以来「音読を徹底すること」「書いて書いて書きまくって勉強すること」を生徒たちに勧めてきたぐらいだから、「50回音読したテキスト」「ボールペンのカラ30本」のオマモリとしての効果を確信している。50回音読して、もうページを開かなくても英文が滑らかに頭に浮かんでくるようなテキスト。腱鞘炎になるぐらい書きまくったボールペンの束。そういうものをカバンに入れて、試験会場に入ってからそれを握りしめて目を閉じれば、周囲の雑音はウソのように消え、「落ち着け落ち着け」と自分に言い聞かせることさえ忘れるほど集中して、今まで経験がないぐらいの集中力が必ず発揮できると信じる。

 だからこの秋、受験生にはそういう「オマモリ作成」に励んでほしい。「5回繰り返した単語集」「4回繰り返した問題集」「50回繰り返して音読した英語長文テキスト」「書いて書いて書きまくったボールペンのカラ30本」、こうしたものは全て、自分で作成しないかぎりは、決して手に入らないからであり、ママやカノジョやカレシにちょっとおねだりすればお気楽に手に入るものではないからである。そういうオマモリ作成でこの秋を実り多いものにすれば、別に「的中!!」などしなくても、必ず志望校合格は勝ち取れるはずである。
 

(写真上:深夜、薄暗いライトの光の中で、ニャゴ姉さんのようなバカネコになるまいと決意を確かめるナデシコ。両手には、うるおいを保つ白い手袋を離さない)

 おお。ふがふが。うおっぽ。私がこれほどマジメにアドバイスすることなど、滅多にないのだ。もし受験生の諸君でこれを読んでいる人がいたら、今日こそいかにも予備校講師のブログらしい「熱いメッセージ、おくりまーす」である。熱すぎて、少し胸焼けがするぐらいかもしれないが「メッセージ、おくりまーす」などという殊勝な気持ちになることは滅多にないのだから「おくりまーす」を是非ありがたく受け取って、仲間の受験生にも伝えてほしい。


 佐々木ゼミ(仮名)や川井塾(仮名)やSOON DIE(仮名)や、そういう予備校に通っているヤツらにも、伝えてほしい。15年前の「予備校バブル」「塾バブル」「団塊ジュニア殺到時代」とは、話が違うのだ。あの頃は、日東駒専でも、偏差値65。あの頃は、代ゼミ代々木校のLG(私大文系クラス)なんか300人×8クラスもあったのだ。早稲田なんか、いったい誰が合格できるのか、誰にも分からないぐらいの超難関だった。あの頃なら、ママに買ってもらった神社のオマモリだって、必要だったかもしれない。いまは、違う。必要なのは、自分で作ったオマモリと、今日のブログのニャゴロワの写真ぐらい。ま、それでもオマモリが欲しければ、講演会の時、私にねだりたまえ。仕方がないから「宇宙征服」または「鎧袖一触」(080823参照)と大書して、ついでにナマハゲ弁で激励してあげよう。今日は、イタリア紀行はお休み、写真もなし。気がつくとA4で3枚以上になっていて、この辺でやめておかないと読む方もたいへんだろう。

 

(写真上:目覚めて、賢そうな顔でコオロギの声を聞き分けるニャゴ姫。ただし、賢そうな顔のニャゴの写真がなかなか見つからず、6月の写真を引用。2ヶ月半、キミはバカな顔をし続けていたのだ。おお、見よ、このヒゲの凛々しさ。これこそ全ネコが憧れる美しい野性である)


1E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 1/4
2E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 2/4
3E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 3/4
4E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 4/4
5E(Cd) Mascagni & Teatro alla Scala di Milano:
MASCAGNI/CAVALLERIA RUSTICANA
6E(Cd) Molajoli & Teatro alla Scala di Milano:
LEONCAVALLO/I PAGLIACCI
7E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 1/2
8E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 2/2
11D(DvMv) ONE FLEW OVER THE CUCKOO’S NEST
total m56 y1143 d1143