2月某日、近畿地方某所にて。
とあるレンタルスタジオの入口で、彼と向き合いその手を握りながら、Tは己れの気持ちを告白していた。
微笑んでというよりむしろ大笑いしながらその告白を聞いていた彼の口からこぼれた
また____。
そんな言葉が悲しいかなハッキリと思い出せない。
でも、話の流れからいっても、
また会いましょう
とか、
また、来て下さい
みたいなことだったのは間違いないと思えた。
だから、それは間違いなく、Tにとっては彼と交わした約束だった。
それから3ヶ月。
彼との約束を果たすべく、Tは西のその地に降りたっていた。
まるで通い慣れた通勤路を往くように地下鉄に乗る。そこまでは良かった。
その駅から目的地までの経路を、スマホの画面が目に焼き付くほどに何度も見ていたというのに、地下鉄の出口を間違えたTの視界は見事に270°回転する。
今どこ?と、気づかってくれる友からのメッセージに、迷子になっていると返信した時にはもはや開演時間まであとわずか。
スマホのMAPに道案内してもらいながらなんとか目的地に到着するも、電子チケットの表示画面がなかなか表示されない。
遅刻組の受付のために待っていて下さった事務局長にようやく入場処理をしてもらって会場に入っていくと、既に舞台では楽しい寸劇が始まっていた。当然ながら客席は真っ暗。
自分の席の場所がまるでわからず、場内でも常務にご迷惑をかけまくり、やっとの思いで席にたどり着く。
友の厚情に甘えて予め購入しておいてもらったペンライトを手にした時の感激。
感激のあまり思わずスイッチを入れてしまってアタフタする始末。
それでも舞台には未だ彼は登場していないし彼らの歌もまだ始まっていないというので、自分的にはセーフということにした。
楽しい寸劇に我を忘れるひと時。
そうするうちに、舞台には主役である彼が現れる。
Tの視線の先にいた人は、そこだけピンスポが当てられているかようにあきらかに耀いている。
海咲くん、
来たよ、私
胸のなかでそう囁いたのは、記憶の波の中に決して流し去られることはない。決して。
to be continued