白川英樹先生の訃報が報じられました。
深い悲しみとともにご冥福をお祈り申し上げます。
享年90歳。
2000年ノーベル化学賞受賞という実績だけでなく、そのお考えやお人柄において極めて稀有な方でした。
本当に誠実で先入観を持たず、良い意味で"まっさら"で、わたしのような俗っぽい人間からすると、お会いするたびに心が洗われる思いがしたものです。
あまり知られていないのかも知れませんが、白川先生は若手研究者時代、なかなか成果があげられず苦労をされた方です。
30代前半、失敗実験の成果であった導電性ポリアセチレンが世界から注目を集めましたが、その後も准教授(当時は助教授)や教授になかなかなれず、40歳を過ぎても東工大の助手を続けておられました。後にノーベル賞を受賞する科学者としては極めて遅咲きです。
失敗だからといって捨てたり諦めたりしない。
セレンディピティという言葉をしばしば使っておられて、それは幸運がいつかは舞い降りて来る、というような運命論的なものではなく、しっかり準備し諦めず続けてきた事に対して訪れる幸運・果実であるとおっしゃっていました。
白川先生と一緒にお仕事をさせていただいていたのは7年間ほど。
白川先生のなされてきた事には到底及ばないですし、純真でまっさらな心持ちに敵うところではありませんが、後年、日本科学未来館で子供達に囲まれて科学の面白さを伝えていたように、わたしも日本の科学技術の発展に少しでも貢献し、人と事業を残せるよう精進していきたいと思います。
謹んで哀悼の意を表します。




