法政大中小企業診断士養成課程に通う学生たちのブログ

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法政大学専門職大学院イノベーション・マネジメント研究科MBA特別コース(中小企業診断士養成課程)の学生たちのブログです。
学生が交代でブログを書いています。
受験生・身内問わず、コメント・拡散歓迎です。

小学生が1日で起業体験、M特生8名参加

 

みなさま、お久しぶりです。2回目の投稿が回ってきましたエノネコと申します。
ブログ委員長ではあるものの、メンバーが優秀すぎるあまり甘えっぱなしです。

春学期は怒涛のスケジュールでしたが、秋学期はもう少しきちんと委員会を回したいと思っています。

さて、本題に入りましょう。今回は授業の話ではありません。

この夏、足立区で開催された「あだち子ども未来起業塾」に、登録養成課程(以下、M特)の同期8名とともに運営スタッフとして3日間参加してきました。

プログラムは1日完結。参加する小学生は毎日入れ替わり、3日間で3組の子どもたちが起業を体験します。

今回はその模様をお話しします。

 

 

「小学生に起業って、どこまで分かるんだろう」

 


参加が決まったとき、正直そう思っていました。

会社をつくる。お金を借りる。商品を考える。売る。給与と家賃を払い、借りたお金を返す。

大人でも起業について説明できる人は多くないと思います。それを小学4年生から6年生が、朝10時から夕方5時までの1日でやり切るというのです。

結果から言うと、その心配は不要でした。
むしろ、私の方が学ばせてもらった3日間でした。

 

あだち子ども未来起業塾とは?

足立区が主催する、小学生向けの起業体験プログラムです。

 


キャッチコピーは「夏休みは特別だから。未来の自分に会いに行こう。」

1日の流れを書いてみます。

まず、自分が普段困っていることを出しあいます。そこから「それを解決する商品」を各自が考え、同じ会社になった5〜6人のメンバーと話し合って、ひとつに絞り込む。

次にお金の計算です。それをつくるのにいくらかかるのか。変動費と固定費を分けて、いくら売れば赤字にならないのかを算出します。

その数字を持って、実際に金融機関の方と面談して借入をします。

借りたら、つくる。ただし、つくって終わりではありません。売るためのチラシをつくり、セールストークを考え、本番ではバイヤー役のお客様に向けてプレゼンと接客をします。

そして最後。いくら儲かったのかを計算して決算発表を行い、借りたお金を返します。

正直、大人がやっても難しい工程が混ざっています。

それを、子どもたちは朝10時から夕方5時までの1日で走り抜けます。

足立成和信用金庫さん、日本政策金融公庫さんも協力されていて、融資面談のパートは「それっぽい体験」ではなく、本物の緊張感がありました。

小学生のアイデア出しと発表の様子
アイデア出しの様子。付箋を使ってチームで発散させています。

 

実は、仕掛け人はM特の先輩でした
 

このプログラムを引っ張っておられるのが、栗原先生です。

中小企業診断士でありMBAホルダー。大手玩具会社、広告代理店、ゲーム会社を経て独立され、現在は株式会社OMEGAHIGHの代表として、創業支援、資金調達、補助金・助成金の申請支援などを手がけておられます。
(出所:https://omega-high.com/

実は栗原先生、法政M特の先輩なんです。

つまり、今まさに私たちが座っているあの教室で、同じようにグループワークとプレゼンを繰り返していた方が、数年後には区の委託を受けて、90人近い小学生に起業を体験させている。

自分の数年後がぼんやりとでも見えたのは、3日間の収穫のひとつでした。

 

頼りになりすぎた地元足立区の文教大学・田中ゼミの皆さん
 

今回、各チームに入っていたのは、大学院生2名と大学生1名という編成でした。

その大学生というのが、文教大学経営学部・田中克昌ゼミナールの皆さんです。

私たち大学院生は、正直かなり助けていただきました。

田中ゼミは、課題解決型学修(PBL)を軸にしたゼミです。学生自身が社会や地域の課題を見つけて、経営戦略の理論と実践の両面から解決策を提案していく。ビジネスコンテストや企業・地域との連携も積極的に行っておられます。

チーム内で司会役を務め、子どもが黙り込んだときに声をかけ、意見が割れたときに整理する。全部が自然でした。

特に印象的だったのは、距離感です。
答えを教えない。でも放置もしない。子どもが自分で決めるまで、隣で待っている。


あだち子ども未来起業塾で小学生が学ぶ様子
大学生サポーターが子どもたちの意見を引き出していきます。


これ、実は診断士がクライアントに対してやるべきことと、まったく同じです。
学部生の皆さんが当たり前のようにやっているのを見て、素直にすごいなと思いました。

(田中ゼミの活動はこちら:https://www.bunkyo.ac.jp/faculty/business/learn/seminar/class21/
 

法政M特からは8名が参加しました


今回、参加したのは、法政大学院M特から計8名。加えて、修了生の先輩方もいらっしゃいました。
同期がまとまって外の現場に出るというのは、診断実習以外にはありません。

さすがのM特生です。安定感がありました。

M特生には経験豊富な社会人が集まっていて、お子さんがいらっしゃる方も多い。子どもとの接し方は、もう慣れたものです。

アイデアが出てこなくて固まってしまった子にも、答えを言わずに問いかけて、そこから引き出していく。子ども自身の言葉が出てくるまで待つ。見ていて、これは経験だなと思いました。

そして、いちばん印象的だったのが後片付けです。

イベント終了後に、机と椅子を戻して、資材を片付けて、翌日の準備までやる工程があります。ここでM特生の動きが目に見えて速かった。

誰も手待ちにならないように工程を分けて、動線が重ならないように動く。製造業の講義でさんざんやったやつが、そのまま会議室の椅子の片付けに出ていました。

本人たちが意識していたかは分かりません。たぶん半分は身体が勝手に動いていたんだと思います。

授業で学んだことって、こういうところに出るんだなと驚きました。
 

子どもたちが変わった、あの瞬間


いちばん印象に残っている場面があります。

金融機関から、実際にお金を借りた直後です。

午前中の段階で、アイデアも役割分担もすでに決まっていました。

ただ、正直に言うと、まだどこか他人事に見えていました。自分たちで決めたはずなのに、まだ自分の話になっていない。そんな空気です。

それが、お金を借りた瞬間に変わりました。

借りたら、返さなければいけない。

返すには、いくら売り上げる必要があるのか。

その売上を出すには、何個売らなければいけないのか。

そこで顔つきが変わりました。

「責任」という言葉を、子どもたちはあそこで理解したんじゃないかと思っています。

説明されて分かったのではなく、返さなければいけないという状況に置かれて、体で分かった。

そして販売会では、あんなに不安そうだった子が、大きな声で呼び込みをしている。

売上という成功体験を積んだ最後には、どの子もとても素敵な笑顔になっていました。

 

AIが答えを出す時代に、あえて自分の頭で考えること

3日間を通して感じたことがあります。

今は、人と会わなくても仕事ができる時代です。
AIに聞けば、それらしい答えが数秒で返ってくる時代でもあります。

私自身、日々の仕事でその恩恵をがっつり受けている側です。
ただ、今回の3日間で子どもたちがやっていたことは、そのどれでもありませんでした。

初対面の相手と話す。意見がぶつかる。それでも決める。決めたら責任を持つ。
答えのない問いに、自分の頭で答えを出す。

これは大人も子どもも関係なく、いちばん大事な部分です。

それを子どもたちと一緒に体験できたことに、この取り組みの意義があると感じました。

もうひとつ気づいたことがあります。

今は親世代もキャッシュレス決済が当たり前で、現金を見る機会も数える機会も、以前よりずっと減っています。

だから、模擬のお金であっても「自分の手でお金を稼いで、数えて、返す」という体験は、それだけで貴重だと思います。

画面の数字が減ることと、手元からお札がなくなることは、別の体験です。
 

参加したM特メンバーの声


あだち子ども未来起業塾、M特メンバーが紙幣を持つ
ご一緒したM特のメンバーと。※お札は模造紙幣です。

コメント:写真左から

ひいさん
「当初初対面で緊張していた小学生が、チームとしてまとまり、積極的に発言し、忙しい作業をサポートし、意見をとりまとめ、堂々と発表する。変化してゆく速さが印象的でした。また、良さを引き出すことの難しさと大切さの学びにもなりました。」

YJさん
「小学生や大学生から多くの刺激をもらい、若い世代の力を引き出し伸ばすことが大人の役割と感じた3日間でした!」

のりだーさん
「小学生は最初は初対面で不安そうでしたが、みんなで力を合わせて一緒に作業を行うことで徐々に打ち解け合って、最終的には試練を乗り越えて全員仲良くなっていったところが印象的でした。文教大学の大学生もしっかりと小学生を導いており、とてもすばらしかったです。
年齢やバックグラウンドが異なるメンバーをまとめる際には、指示を出すだけでなく相手の視点に立って考えることが大切だと改めて感じました。」

tamさん
「小学生のパワーと可能性に圧倒され、大学生のファシリテーション力にも驚かされました。同じプログラムでも、それぞれのチームらしさが形づくられていく様子が面白かったです。3日間を通して、多くのことを学びました。」

nw3さん
「会社をつくり、商品を企画し、融資を受け、販売するという、大人でも簡単ではないプロセスに子どもたちが挑む姿に心を動かされました。子どもたちならではの自由な発想に触れ、一人ひとりの考えや個性を引き出す関わり方について私自身も学ばせていただいた3日間でした。」

ふくともさん
「私としても、色々学んだ3日間でした。あだち子ども未来起業塾に関わることができて貴重な経験になりました。
スケジュールが完全にコントロールできないなか、いずれの日程も時間どおりに終了し、栗原先生のタイムマネジメント力には驚かされました。子どもたちを飽きさせない役割の設定や作業内容は素晴らしかったです。
文教大学の学生たちは初体験で緊張するなか、班内の司会役を務め、子どもたちから意見をうまく引き出していました。田中ゼミナールでの課題解決型学修(PBL)から生まれてきた実行力だと思いました。」

おがっちさん
「子どもたちが、話し合いや試行錯誤を重ねるなかで、少しずつ自分たちのアイデアを形にし、最後には堂々と発表する姿がとても印象に残りました。みんなでシナリオを練り上げて、融資を受けに行く局面では、後ろで見守りながらなぜか目頭が熱くなりました。
すぐに答えを教えるのではなく、問いかけながら考えるのを待つことの難しさと大切さを、私自身も学ばせてもらった3日間でした。」

 

おわりに

3日間、正直へとへとになりました。
でも最終日、子どもたちから出てきた言葉がこれです。

「来年も参加したい」
「次は代表取締役をやってみたい」
「起業に興味を持った」

代表取締役、という単語が小学生の口から出てくるだけで、もう十分だなと思いました。

この3日間を過ごした子どもたちの中から、いつか本当に起業する子が出てくるかもしれません。

そのときは、私たちのほうが支援する側として関わることになるのかもしれない。そう考えると、なんだか楽しみです。

私たちM特生は、これから3社目の診断実習で本物の中小企業の現場に入っていきます。

その前に、こういう場に立たせてもらえたのはありがたい経験でした。

足立区の田中先生と田中ゼミの皆さん、栗原先生、事務局の皆さま、そしてご一緒したM特の先輩方・同期の皆さん、ありがとうございました。

夏休みは特別だから。未来の自分に会えました。

次回8/17はしおしおさんの投稿回です。

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