明けましておめでとうございます。 2026年最初の担当はタツです。
皆さん、お正月はいかがお過ごしでしたか。私はというと、1月末締切のプロジェクト論文のことが頭を離れず、どうも正月気分になりきれませんでした。
今回は、法政大学の中小企業診断士登録養成課程における最大のイベント、「経営診断実習」をテーマに、5社の経営診断実習を振り返って感じたこと、そして仲間たちの声を紹介したいと思います。
■ 経営診断実習とは何か
登録養成課程では、在学中に5社の中小企業に対して経営診断実習を行います。経営診断実習は「経営診断実習Ⅰ」と「経営診断実習Ⅱ」に分かれており、Ⅰでは流通業と製造業の2社を対象に、経営改善課題の把握から助言までを体験します。Ⅱでは、より発展的に経営戦略・戦略計画策定を中心とした3社の診断を行い、最終の5社目では企業の重点課題の解決策の策定に加え解決策の具体化まで踏み込みます。この5社の経営診断実習を通じて、段階的にコンサルティング・スキルを高めていくのが大きな目的です。

(出所)法政大学ビジネススクールホームページ
■ 班編成とチームワーク
法政の経営診断実習は、春学期に2社、秋学期に3社を担当します。1社あたりの期間は約1か月、1班7〜8名。1社目と2社目は学校側で班が決まり、3社目以降は学生が希望する企業を選ぶ方式でした。
私たちMBA特別プログラムには36名のメンバーが在籍しており、私は5社の実習を通じて計23人とチームを組みました。それにしても12人ものメンバーと同じ班にならなかったのは不思議です。2回、3回と同じメンバーになることもあり、そのメンバーとはリズムが合わせやすくなっていきます。
1社目は全員が初対面で、最初は「大丈夫かな…」と不安もあり、軌道に乗るまで多少の時間はかかりましたが、何とか危機を乗り越え、最終的には良い報告ができました。
4社目では班長を務めましたが、メンバー全員が自主的に動き、経営者インタビューの準備や報告書作成もしっかりこなしてくれたおかげで、班長としてはとても助かり、良い実習ができました。4社目くらいになると各メンバーも段取りがわかってくることもありますが、メンバーに恵まれたというのが実感です。改めてメンバーに感謝しています。
3社目の実習後の打上げの様子
■ 経営診断実習の進め方と難しさ
経営診断実習では、経営者インタビュー、現場観察、顧客アンケート、従業員アンケート、競合調査、業界調査などを行います。
企業訪問は原則2回、各2〜3時間。限られた時間の中で問題点を見つけ、課題を設定し、解決策を提案しなければなりません。この短期間で「本質的な課題」を捉えることが何より難しいです。ときに、解決策ありきで議論が進み、問題と提案のつながりが見えなくなることもありました。議論が後戻りすることも多々ありました。
大切なのは、あくまで経営者の視点で、実際に役立つ提案をつくること。この意識を持つことで、単なる実習ではなく、実務に近い緊張感とやりがいを感じました。
■ 経営診断実習で得た気づき
中小企業の経営者は、日々多くの役割を一人で担っています。経営課題に向き合う時間も限られる中で、それでも現場を守り、社員を支え、挑戦を続けている姿に強い尊敬の念を抱きました。
だからこそ、私たちの提案が経営の一助になればと思い、毎回、真剣に取り組みました。提案の一部でも実際に実行していただけたら、これ以上の喜びはありません。
そしてもう一つ学んだのは、「チームで取り組む力」の大切さです。自分が役割を果たさなければ他のメンバーに迷惑をかける、というプレッシャーもありましたが、それ以上に「仲間が頑張っているから自分も頑張ろう」という前向きな気持ちが自然と生まれました。誰かの熱意がチーム全体の原動力になる──それを実感したのが、この経営診断実習でした。
最後に、同期に協力してもらった「経営診断実習アンケート」の結果を紹介します。(回答者:30名)
1. いまの率直な気持ち
達成感がある:23名(77%)
仲間に感謝している:22名(73%)
自信がついた:10名(33%)
自分の未熟さを感じた:10名(33%)
2. 一番大変だったこと
仮説構築や課題設定:26名(87%)
時間管理(他の講義・ゼミ・家庭・仕事との配分):18名(60%)
報告書の文章作成:6名(20%)
3. チームだからこそ苦労したこと
意見のすり合わせ・合意形成:21名(70%)
報告書全体の構成・ストーリー一貫性:14名(46%)
メンバー間の認識・前提の違い:10名(33%)
4. チームだからこそ得られたもの
視点や発想の多様さ:24名(80%)
自分では気づけない弱点の気づき:17名(57%)
協働作業の実務に近い進め方の経験:15名(50%)
協調性の大切さ:7名(23%)
5. 講義(座学)や独学では得られない体験だったか
強くそう思う:27名(90%)
6. 経営者インタビューでの気づき 回答の一部抜粋です。
「中小企業の社長こそ全て自分がやらないといけないし、上手くいかなかった時の責任も自分にあるため、会社について細かいことまで1番考えている。売上も作って、従業員の生活を守っている社長はすごい!」
「稚拙な質問も多くあったと思いますが、一つ一つ丁寧に回答してくださる経営者の方が多く、説明も大変わかりやすい方が多かった印象です。学生の実習にお付き合いいただいて、本当のところはどう思ったのか知りたいです(笑)。」
「中小企業の社長は孤独で、すべて自分で決断しなければならず、重責で大変な仕事だと感じました。寄り添う相談相手が重要であると感じ、自分がそうなりたいなと強く思いました。」
「経営者に叱られたこと。相手のことをよく調べずに思い込みで話をしてはいけない。」
「問題に対する原因の掘り下げ方が、自分は足りていなかった。原因を深掘りするのにも、推測ではなく根拠をもった原因分析にする」
7.経営 診断実習の最大の価値 回答の一部抜粋です。
「実際の中小企業の経営者に提案することができること。実習とは言いつつ、企業にとって本当に価値のある提案をする必要がある緊張感の経験。」
「色んなバックグラウンドを持ったメンバーが、ディスカッションを通じて共通認識、目的を持って個々の能力を発揮して、実習先への施策内容や戦略提案を形にしていく過程を体験出来る事。」
「フィールドワークの大切さです。学生だからインタビューに協力いただけたことも多いと思います。良い経験ができました」
「自分の現在の限界がよくわかりました。わかっていないことばかりだからこそ、できる限り調べ抜いて力を尽くして提案しないと、なんの価値も生まないということが実感できたのがよかったです。少なくとも知識をひけらかすような勘違いは、今後もしないようにしたいです(笑)」
「一人でやった方が全体の一貫性もとれるし、効率も良いが、チームでやることによって、自分にはない気づきや提案のクオリティの高さ等を感じることが出来た。」
8. 養成課程に進む後輩に一言アドバイス 回答の一部抜粋です。
「同じ志のある同級生から学ぶ事も多いです。いろんな事をいっぱい吸収して下さい。」
「思い通りにいくもいかないも自分次第。同級生と話していて上手くいっているチームとそうでないチームは個人の主体性とチームメンバーへのリスペクトの差だと感じています。議論が行き詰まった時ほど相手へのリスペクトを大切に。」
「とにかく素直に全力で取り組むことが大切だと思いました。自分の学びを最大化するためには、チームに貢献する意欲が重要だと思いました。」
「経営者と向き合うことや同級生と議論して提案をつくり上げる過程は、座学では得られない貴重な経験になると思います。自分自身と向き合うだけでなく、同級生との議論が新しい気づきにも繋がる素晴らしい学びの場です。」
「大変でも積極的に関わってみてください。自分やチームの仲間から様々な発見を得ることができます。プロジェクトとの相乗効果も意識すると良いと思います。」
■ 最後に
経営診断実習は、資格のための通過点ではなく、経営者の方と仲間との真剣に向き合う貴重な機会でした。ここまで読んでくださった皆さん、そして一緒に走ってくれた同期に、心からの感謝を。
次回の担当は、きいさんです。入試からの1年間を振り返ります。どうぞお楽しみに!
■ 告知
法政大学MBA特別プログラム(中小企業診断士登録養成課程)の説明会&試験の日程は、下記の通りです。
第4回説明会:1月16日(金)18:30 現役生パネルディスカッションも予定
第3回入学試験:1月25日(日)
第4回入学試験:2月15日(日)
1月15日(木)には下記のイベントも予定されています。
法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科 特別講演
「MBA×中小企業診断士でひらくキャリアの可能性」
法政大学大学院IM研究科×『中小企業診断士×MBA・MOT』刊行記念イベント
https://www.im.i.hosei.ac.jp/topics/2025/12/18/29540/
追記:法政大学中小企業診断士登録養成課程に進学予定の方で、進学前に現役生との情報交換・懇親をご希望される方がいれば、3月に機会を設けたいと思います。ご希望の方は、Xのアカウント タツ@法政大学診断士登録養成課程&MBA(シニア学生)@dragonboy1960にDMか、メールアドレス:tatsuhiko.saito.11@gmail.comまでご連絡ください。

