レッド・サン
1971年 仏伊西米合作
監督 テレンス・ヤング
脚本 レアード・コーニッグ
出演 チャールズ・ブロンソン
アラン・ドロン
三船敏郎
⚫︎あらすじ
1870年、アメリカ西部。日本から日米修好の使節団が特別列車でワシントンへ向かう途中、強盗団リーダーのリンク(チャールズ・ブロンソン)とその相棒ゴーシュ(アラン・ドロン)が列車を襲撃する
強盗団は積まれていた金貨と、日本から大統領へ贈るための黄金の刀を奪ってしまう
しかもゴーシュはリンクを裏切って、金を横取りしてしまうのだ
日本の威信に関わる事件に、大使は護衛の侍・黒田重兵衛(三船敏郎)に刀の奪還を命じる
復讐に燃えるリンクと使命感に燃える黒田は、初めは協力を拒みつつも利害が一致し、奇妙なコンビが壮大な追跡の旅を始める
黒田は武士道精神を受け継ぐ誠実な侍、リンクは冷酷な強盗。しかしながら、旅を通じて互いへの理解や友情が少しづつ芽生えだしていく
2人はゴーシュの愛人クリスチーナを連れて行き、ゴーシュに女と金と刀の交換をせまる
⚫︎感想
西部劇に侍が登場する違和感がありますが、不思議と徐々に見慣れていきます。
銃vs刀では勝ち目が無いとは思いますが、黒田は「銃も刀も使い手次第だ」と言うんです。
死を恐れない侍の刀と、窃盗団ごときが使う銃と一緒にしてもらっては困ると言いたいんでしょう。
2人でゴーシュの後を追っているとき、リンクは寝ている黒田の刀を奪おうとしたり、崖から突き落としたりするんです。
それに引き換え黒田は持ってきた握り飯や干物をリンクに分けてあげるんです。
誠実な日本人・黒田を誇らしく思いますね。
デッドボールを当てられても冷静で怒らない、大谷翔平のようです♡
ただ何度か握り飯を食べるシーンがあったので「いったいいくつ握り飯を持ってんだ!」と突っ込みたくなりました。
最後に黒田は宝刀を取り戻し、ゴーシュを斬ろうとします。しかし唯一金のありかを知るゴーシュに死なれては困るリンクが止めた瞬間、黒田はゴーシュに撃たれてしまいます。
リンクは金をあきらめて、ゴーシュを撃ち、黒田の宝刀を届ける約束をします。
レッド・サンとはまさに日本の国旗、そして武士道を意味しています。ずっと黒田と一緒にいたリンクの心にも、きっとレッド・サンが昇ったんですね。
⚫︎黒田重兵衛のことば
武士は主君に仕え武士道を生涯貫き通す
主君のためには命も惜しまない
父も武士 そのまた父も武士だ
先祖は400年間 戦で死んできた
それを一族の誇りと感じる
人は信念に従い 生きる
だが 時代は変わった
日本も国を分ける戦いが起こり
すっかり 別の国に成り果てた
じき 合衆国のようになる
武士の時代も終わるのだ
刀を捨て農民になり武士の証しも残らん
せめて最後にこの任務を果たしたい
1870年に生きている黒田は、1868年の明治維新をこんなふうに思っていたんですね。
その後1876年に廃刀令が出され、士族の特権であった帯刀は廃止され、四民平等政策が推進されました。
士農工商の階級が無くなったんですねぇ。
⚫︎左利きのゴーシュ
裏切り者で早撃ちのゴーシュは、アラン・ドロンが演じています。シベリアンハスキーのような目をしたいい男です。
映画の中で「左利きのゴーシュ」と呼ぶシーンがあります。何となく宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」を連想しました。
セロ弾きのゴーシュは、物語の中で左利きであることが、彼の不器用さや周囲とのずれを象徴する要素として描かれています。
また「ゴーシュ」という言葉自体、フランス語で「左利き」や「不器用」という意味を持つことから、作品のテーマを象徴する名前なんだとも言えます。
⚫︎実際の日本使節団は?
1860年の日本使節団は、アメリカの軍艦「ポーハタン号」に乗ってアメリカ東海岸へ向かいました。
新見正興・村垣範正・小栗忠順を中心に、通訳・医師・記録係など約77名が派遣されました。
これが、日本が近代的な国家として初めて行った本格的な外交使節であり、日本の国際社会への第一歩となった歴史的な出来事です。
また、ポーハタン号の事故など、万が一に備え咸臨丸も随行しました。
そこには勝海舟、福沢諭吉、ジョン万次郎など96人が乗っていました。
