バンデラス ウクライナの英雄


2018年 ウクライナ映画

監督 ザザ・ブアヅェ

脚本 アルテム・キルサノフ

出演 オレグ・シュルガ



⚫︎あらすじ


ウクライナ東部で紛争激化中のヴェセレ村で、乗合バスが襲われ、多くの住民が犠牲となる事故が起きる


世間では「政府軍の仕業」と見られているこの事件だが、軍上層部は、事件の背後に政府軍に潜入したロシア人活動家“ホドック”の関与があると考え調査する


アントン・サイェンコ大尉、コードネーム“バンデラス”はヴェセレ村の出身で、特殊部隊を率いてこの事件や背後の陰謀を追うことになる


任務の中で、アントンは村に残る幼なじみヤーナや、友人だったが現在は分離派に加わったリョーハらと再会。調査を進める中で、「誰が本当に敵か」という状況が浮き彫りになっていく


また、軍の内部にも疑いの目が向けられ、スパイの存在や偽情報、プロパガンダが現場の混乱を助長する。村民たちの恐怖や不信感が分断を加速して人々を分けていくのだった…






⚫︎感想


色々な映画を観ているうちに気づくことがあります。「あれ、アメリカ映画ばかり観ているな?」と。

そうなんです、日本ではアメリカや日本など西側諸国の映画は上映するのに、ロシアや中国など東側諸国の映画はあまり目にすることがないんです。

そのために、何となく西側が正義で、東側が正義では無いような感覚が自然とついてしまうような気がします。


YouTubeで探してみると、ウクライナ映画が目に止まりました。ウクライナは今、旧ソビエト連邦から独立して、西側に来ようとしている国です。どんな映画なのか、観てみました。


ウクライナ東部のロシアと隣接する地域で起きた、今も「自分たちはロシア側なんだ」と思っている住人と、「自分たちはウクライナ側なんだ」と思っている住人の紛争を描いた映画です。


ウクライナ軍の中にロシア側のスパイが潜入していたり、ロシア側のテレビがウクライナの住民にプロパガンダ的な映像を流して、ロシア寄りに洗脳していたりしていました。


衝撃的だったのはウクライナ住民の中にロシア側の人がいて、同じ村の女性をロシア兵に売春婦として斡旋したり、ロシア側の人に騙されて同じ村の住民の乗るバスを、バズーカ砲で誤射させられてしてしまったりするんです。


そういうことから、地域住民の分断を煽り、小さな紛争が始まり、大きな戦争になっていくんだなぁと思いました。



⚫︎ウクライナ紛争



2014年に、クリミア半島とドンパス地方(ドネツク、ルハンスク)で起きた、親露派武装勢力と反ウクライナ政府組織が起こした紛争です。

ウクライナの東部・南部には「ロシアと一緒にいたい」「ロシア語や文化を守りたい」と思う住民がいました。ただし、全員が親ロシア側ではなく、ウクライナ国家を守りたい人も多いのです。その結果、地域の中でも住民が分裂してしまいました。


当時のドンパス地方では、息子はウクライナ軍に志願するが、父は「ロシアに守ってもらった方が安心だ」と思っていたり、幼なじみ同士が、それぞれウクライナ政府軍と親ロシア派武装勢力に参加して、戦場で敵同士になってしまったりします。映画「バンデラス」でも、主人公が幼なじみと再会したとき、すでに「敵」になっているということがありました。


言葉も、ウクライナ語派とロシア語派が混在していて、家ではロシア語を話すが、学校や職場ではウクライナ語を話したり、ロシア語を話すと“親ロシア派だ”と疑われるなどの摩擦が生じていました。このように日常的な言葉の選び方でさえ、政治的な立場を表してしまう状況だったんです。


テレビ番組も、ロシア系メディアは「ウクライナ政府は危険」「ロシアが守ってくれる」と宣伝し、ウクライナ側メディアは「ロシアは侵略者だ」と報道します。そのため同じニュースでも住民の見方が異なり、住民の意識はさらに割れていきました。その結果、友人同士で「どのテレビを信じるか」で口論になることもあったそうです。


結果、隣の家の人がスパイかもしれない?職場の同僚がどちらの立場か分からない?こうした日常的な疑心暗鬼が地域社会をバラバラにしていきました。


うーん、これってスペイン内戦を描いた映画「エル・スール」でも似たようなことがありました。

内戦は、同じ家族同士による意見対立や考え方の違いによる争いですので、国と国との戦争よりもドロドロした感じがありました。

日本は、たまたま国境が海によって分かれていますが、大陸の国境は繋がっているので、いつ紛争が起きるかわかりません。そういう緊張感を持って生きているのかもしれませんねぇ…



エル・スールはこちらから

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