マーキュリー・ライジング


1998年 アメリカ映画

監督 ハロルド・ベッカー

脚本 ローレンス・コナー

出演 ブルース・ウィリス



国家の巨大な陰謀から、暗号を解いてしまった自閉症の少年を、孤独なFBI捜査官が命がけで守り抜くサスペンスアクション



⚫︎あらすじ


ある潜入捜査の失敗で、一線を退いていたFBI捜査官のアート・ジェフリーズ


彼はある日、両親を惨殺され、現場から姿を消した9歳の少年サイモンを保護する任務に就く


サイモンは自閉症でありながら、パズルにおいて天才的な才能を持っていた


サイモンは、雑誌に掲載されていたクイズに挑戦した際、NSA(国家安全保障局)が莫大な予算を投じて開発した最高機密の暗号コード「マーキュリー」を偶然にも解読してしまっていたのだ


暗号の欠陥が露呈することを恐れたNSAの幹部は、機密保持のためにサイモンの暗殺を企て、そのときに両親を殺害した


壁の中に隠れていて助かったサイモンを病院に避難させた後でも、執拗に迫る暗殺者の魔の手


アートは、サイモンが狙われている本当の理由を知り、国家機関という巨大な敵に逆らい、少年を守り抜くことを決意する







⚫︎感想


ブルース・ウィルスの映画、間違いなく面白いです!


「おいおい、なんてこったい…」

っていう、いつもの顔がいいですね!


アメリカ映画で、よく出てくるNSA(国家安全保障局)の暗号文書が、なんと9歳の子どもに解読されちゃうんです。


何億円という国家予算掛けた暗号文が、子どもにあっさり解かれたと知れたら、出世ポストから外されると考えたNSAの幹部は解読した子どもを殺害しようとするんです。


FBIのブルース・ウィルスは、

「こりゃあ何かがおかしいぞ⁉︎」

と感じて、子どもを守るんです。


アメリカは国防のためなら、1人の男の子の命なんてどうでもいい…。


そう言う考え方に反発する、原作者の思いが感じられるような作品でした。


ラストにブルース・ウィルスが少年に会いに行くシーンがあるんですけど、そこが最高でした。



⚫︎ NSA(国家安全保障局)とは?


 NSA(National Security Agency):アメリカ国家安全保障局は、暗号解読と盗聴のプロフェッショナルです。

 世界中の電波、電話、インターネット、暗号などを傍受・解読し、サイバーセキュリティを守るのが主な任務です。要するにNSAは「地球上のあらゆる通信を監視できる能力を持っている」ということです。

 2013年には、元NSA職員のエドワード・スノーデンという人物が、「NSAが一般市民の通話記録やネット情報を秘密裏に大量収集している」という国家機密を暴露し、世界中に大スキャンダルを巻き起こしました。




⚫︎ハイテクがダメならローテクで!


 NSAのエージェントは、少年暗殺を暴露しようとしますが、全ての通信手段がNSAに見張られています。そんな時に出た言葉がこれでした。

 人工衛星のカメラや街中の監視カメラ、電話・メール・ネットなどの通信情報など、全ての情報が監視される時代です。しかも世界最高峰のアメリカのNSAです。そんな組織からの追跡を逃れるためには、紙に書いた情報を直接渡すことなんです。

 いくら情報化が進んだとしても、なにかの災害で電力がストップしてしまえば終わりなんです。結局、最終的には石に刻んだ文字情報だけが残るような気がします。



⚫︎自閉症の子が特定のことに優れていることがある?


 少年サイモンが最高機密の暗号を解いたように、突出した才能を持つケースは現実に存在します。このような現象は、医学や心理学の分野で大きく分けて2つの視点から説明されます。


1. サヴァン症候群

 自閉症などの発達障害を持つ人のうち、ごく一部に見られる特定の分野における天才的な能力のことです。

驚異的な記憶力

 一度見ただけの街の景色を写真のように細部まで描き起こせる(カメラアイと呼ばれる能力)。

計算・カレンダー計算

  「何年何月何日は何曜日?」と聞くと、一瞬で答えられる。

音楽や芸術

 楽譜が読めなくても、一度聴いた曲をピアノで完璧に再現できる。


2. 特性を活かした「強み」

 サヴァン症候群のような突出した天才性とは言えなくても、多くの自閉症のお子さんは特定のことに優れているという強みに繋がることがよくあります。

驚異的集中力と探究心(強いこだわり)

 自分が興味のある分野、電車のダイヤ、恐竜、宇宙、歴史、プログラミング、特定のゲームなどに対して、大人顔負けの膨大な知識を吸収します。

優れた視覚認知

 文字や記号、パズルなどの「目で見る情報」を処理するのが非常に得意なケースが多いです。

高い正確性

 決まったルールや手順をきっちり守ることが得意なため、細かい作業を正確に、飽きずにやり遂げることができます。


 かつては「困ったこだわり」と見なされていた特徴も、現在では「その子の得意なこと(強み)」として肯定的に捉え、伸ばしていく教育(ギフテッド教育や凸凹を活かす支援)が主流になっています。もしかするとAIで全てができるようになった未来では、特出した能力を持つ人のほうが必要になるのかも知れません。