ボーン・レガシー
2012年 アメリカ映画
監督 トニー・ギルロイ
脚本 ダン・ギルロイ
出演 ジェレミー・レナー
洗脳されて人体兵器となった「ジェイソン・ボーン」とは別に、薬物で人体兵器と化した「アーロン・クロス」がいた…。
⚫︎あらすじ
ジェイソン・ボーンの死闘の裏で、もう一つ国家の陰謀が動いていた
アーロン・クロスは、CIAの極秘プログラム「アウトカム計画」で作られた暗殺者だった
この計画の参加者は、遺伝子を組み替える「薬」の服用により、常人離れした肉体と知能を維持していた
しかし、ボーンの告発によって一連の闇の計画が世間に露呈する危機に直面してしまう
保身を図る政府高官のバイアーは、証拠隠滅のために「アウトカム計画」の完全消去を決定する
そして世界中の所属工作員や研究者を次々と暗殺し始めた
雪山で暗殺から生き延びたアーロンだったが、定期的に服用しなければ副作用で肉体と知能が崩壊する「薬」の在庫が尽きかけていたのだ
アーロンは研究所の銃撃事件から生き延びた女性科学者マルタ・シェアリングを救出し、薬を求めてマニラへ飛ぶ
マニラの製薬工場で、アーロンは薬の副作用を無くすための「ウイルス注射」を打ち、過酷な体調不良に耐え抜く
しかし、バイアーが放った最強の刺客「ラークス計画」の暗殺者が二人の前に立ちはだかる
マニラの市街地で激しいバイクチェイスと死闘を繰り広げた末、アーロンとマルタは執拗な追手を撃破
傷を負いながらも追跡を振り切った二人は、現地調達したボートに乗り込み、自由を求めて広大な海へと旅立つ
⚫︎感想
題名「ボーン・レガシー」とは、ボーンの遺産…。
ジェイソン・ボーンが国家機密を暴露したために、他の工作員たちも口封じのために、殺害されるハメになっちゃうっていう話しです。
ジェイソン・ボーンがCIAによる洗脳で作り上げた戦闘マシンなら、アーロン・クロスはCIAの薬物によって作り上げられた戦闘マシンです。
青い薬は知能強化、緑の薬は肉体強化をするんです。でも定期的に飲まないと知能と肉体が崩壊してしまうため、アーロンはボーンのようにCIAを裏切ることはできないんです。つまり薬漬けの工作員がアーロンなんです。
なんかだか、ありそうな話しですよね。
ただし、ボーンシリーズ=マット・デイモンになっちゃっているファンからすると、「男はつらいよ」に渥美清が出てこないような違和感がありました。
⚫︎オリンピックのドーピングと同じ?
これまでの一般的なスポーツのドーピングは、筋肉を増やす薬(アナボリックステロイドなど)を「摂取」するものでした。
しかし、映画でアーロンが中盤に行うのは、ウイルスを使って遺伝子そのものを書き換えて、体内で永続的に能力を高めるという方法です。
これは現実のオリンピックを統括する世界アンチドーピング機関(WADA)でも、近年最も摘発に力を入れている最先端の不正技術「遺伝子ドーピング」と全く同じ仕組みです。
現実の遺伝子ドーピングが恐れられている理由は、外部から入れた薬物ではないため「尿検査や血液検査で証拠が出にくい」という点にあります。
映画でも、国家が作った「絶対に足がつかない最強の兵士」というコンセプトの裏に、この検査をすり抜ける技術(バイオテクノロジー)が深く関わっています。
オリンピックに限らず、世界的に戦う場所では、あらゆる精神的、化学的なことが行われているような気がします。
⚫︎実は昔から戦場で使われていた!
日本では1941年頃から、メタンフェタミンという成分の覚醒剤が「ヒロポン」という商品名で本格的に製造されました。「疲労がポンと飛ぶ」という意味から名付けられ、当時は危険な麻薬ではなく、合法的な疲労回復の栄養剤として扱われていました。軍需工場の作業員や、夜間見張りを続ける兵士の眠気覚ましとして配給されました。
太平洋戦争末期には、特攻隊員が恐怖心をなくし、戦意を極限まで高めるために、出撃前にヒロポン入りのチョコレートを食べさせられたり、注射を打たれたりしていた記録や軍医の証言が多く残されています。
ナチスドイツでは「ペルビチン」、アメリカ・イギリスでは「ベンゼドリン」と、当時はどの国でも「副作用や依存性」を軽視して「限界を超えて戦わせるための道具」として兵士に薬を飲ませていました。
その結果、戦争が終わった後も多くの元兵士たちが深刻な幻覚や依存症に苦しみ、戦後の社会問題(日本での戦後のヒロポン蔓延など)へと繋がっていったのです。
帰還した兵士たちの精神異常は、PTSDばかりじゃなさそうですね…。
マット・デイモンのシリーズです↓


