サイコ
1960年 アメリカ映画
監督 アルフレッド・ヒッチコック
脚本 ジョセフ・ステファノ
原作 ロバート・ブロック
出演 ジャネット・リー
アンソニー・パーキンス
不動産屋の女は、慰謝料の支払いに追われて再婚を渋る恋人との関係に悩み、会社の金を持ち逃げしてしまう。彼のもとに車で向かう途中モーテルに泊まるのだが…
⚫︎あらすじ
アリゾナ州フェニックス、12月11日金曜日の昼下がり、不動産会社に勤めるマリオンは、恋人サムと密会をしている。
サムは離婚した妻への慰謝料や、亡くなった父親の借金返済のために、マリオンとの再婚に踏み切れずにいる。
そんなときに会社に一人の老紳士が家を買うため現金4万ドルをもって現れた。社長はマリオンにお金を銀行に預けるように指示をする。
魔が差したマリオンはその金を持って彼の住む町へ逃げてしまう。途中、社長に見られたり警官に疑いの日で見られたりと、気が休まらないまま寂れたモーテルへたどり着く。
モーテルを切り盛りする青年ノーマンはマリオンに惹かれるが、息子に近づく女に怒る母親との激しい口論が聞こえてくる。
仕方なくノーマンは事務所でマリオンに食事を出す。事務所には何体もの鳥のはく製が飾られていた。
「何から逃げてるの？」
「人は逃げられないよ」
ノーマンとマリオンはなぜだかそんな話をした。マリオンは考え直してフェニックスに戻る選択をする。なぜならそこで罠にはまったから。
部屋に戻りシャワーを浴びていた時、ドアが開き包丁を持った婦人がマリオンを突き刺し、彼女は絶命してしまう。
母親の仕業だと気づいたノーマンは証拠隠滅を計り、彼女や持ち物を乗ってきた車に入れて沼へと沈めてしまう。
マリオンの妹が探偵とともに、サムを訪ねてくる。姉が4万ドル持って行方不明のままだと。
探偵はモーテルにたどり着きノーマンに話を聞く。そして何かを怪しく感じてモーテルの近くに建つ母屋を訪ねた。しかし探偵もそこの階段で刺殺されてしまう。
妹とサムは警官のところに行き協力を求めるが、意外な事実を聞かされる。なんとノーマンの母親は10年前すでに死んでいたのだ。
不審に思った2人はモーテルへと急ぐ。サムがノーマンを引き留めている間、妹が”母親”の待つ家に入ると骸骨になったノーマンの母親を発見する。
そこへ、女装したノーマンが襲いかかる。寸前のところでサムがノーマンを取り押さえる。
やがてノーマンは逮捕されるが、もはや彼の中には母親の精神しか残っていなかった…
⚫︎感想
サイコ サイコー♪
この物語は12月11日に始まります。
アリゾナ州フェニックスでは12月でも半袖を着る暑い日があるんですね。
昼下がりの情事をしている女性は、恋人の男性をどうしても自分のモノにしたい…
けれども男性は妻への金の返済があるからなかなか結婚は出来ないという…
そんな彼女が会社にもどると、家を買った客が4万ドルをキャッシュで払うんです。
当時の4万ドルは日本円で800万円、現在のお金に換算すると5600万円になるそうです。
そのお金を持って彼のもとへと向かうんです。
その向かう最中の彼女のドキドキした描写が、まさにヒッチコックマジックなんですね〜。
そしてすべての人が自分を疑っているように見えて、彼女のドキドキ感が観ているこちらまで伝わってくるんですね〜。
そんなふうにドキドキさせておいて、精神異常者のモーテルに泊まってしまうんです。
モーテル経営の男性はノーマン。彼の心の中にはもう一人、彼の母親がいるんです。
父親が亡くなり、母親と二人で暮らしていたノーマン。ところが母親に恋人ができたので母親を奪われると感じたノーマンは母親と恋人を殺害してしまいます。
その後ノーマンは母親の遺体を掘り起こして鳥のはく製のように処理をして、遺体と暮らしていたんです。
しかし実際には話をしない母親との会話を、自分で二役しているうちに、二人の人格が住みついていくんです。
そして息子を溺愛する母親を無意識のうちに演じているノーマンがマリオンを殺害するんです。
コワイですね〜。
⚫︎サイコ
もともとサイコとは精神、生命などと言う意味があります。サイコという映画によって「精神異常」「多重人格」という意味を持つようになりました。
サイコパスも同じような意味で使われています。「狂った人」や「精神異常者」という意味があります。
⚫︎ エロイカのレコード
妹はモーテルの母屋で「エロイカ」というレコードを見つけます。
エロイカとは英雄という意味で、ベートーヴェンがナポレオンに捧げるつもりで作りました。
エロイカはエロイコの女性名詞形で、音楽は女性名詞として扱われるためエロイカになったそうです。
ヒッチコックはノーマンの陰に隠れた女性を暗示していたんですね。
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