シリアナ


2005年 アメリカ映画

監督 スティーヴン・ギャガン

脚本 スティーヴン・ギャガン

原作 ロバート・ベア

出演 ジョージ・クルーニー

   マット・デイモン



元CIA工作員ロバート・ベアの告発本『CIAは何をしていた』を元に、中東の架空の国・シリアナを舞台に、中東諸国やアメリカ、中国などの石油利権をめぐる陰謀を描いた作品。



⚫︎あらすじ


アメリカのCIA工作員バーンズ(ジョージ・クルーニー)は中東の産油国で、ある作戦の実行を指示される。


その頃、スイスで活動するエネルギー業界アナリストのウッドマン(マット・デイモン)は、王族が主催するパーティーに家族とともに招かれたが、そこのプールで息子が溺れて亡くしてしまう。


しかし、それがきっかけになり王位継承者のナシール王子の相談役に就任し、アメリカと対立するイランを経由した天然資源の輸出を王子に進言する。


ナシール王子は、アメリカ1国に依存しない政策を推進すべく、自国の天然ガスの掘削権をアメリカ資本のエネルギー関連企業コネックス社から中国企業に移すことを画策していた。


これを知ったコネックス社は経営状況が悪化することを予想し、カザフスタン資源の掘削権を得て好業績のキリーン社と合併することになった。


ワシントンD.C.の法律事務所のベネット弁護士は、この2社の合併に対しての調査を行うよう依頼されるが、調査の実施に対して政財界から様々な横槍が入る。


コネックス社は、ナシール王子による掘削権の中国企業への移動の決定を覆させるべく王子の弟に取り入り、アメリカの利権を守るためCIAもこの動きを支援する。


また、この2社の合併の影響を受けて、他の中東からの出稼ぎ労働者で、コネックス社の精製施設で働いていたワシームは解雇されることになる。


その後転職先が見つからないワシームに、イスラム教の教えを説く神学校を隠れ蓑にした、過激な思想を持つ組織の人物が近づいて来る…




⚫︎感想


ちょっと難しい映画です。


中東には世界中が欲しがる石油の90%があって、アメリカや中国から狙われていることを知りました。


狙われていると言っても石油だけじゃなくて命まで狙っているんですね…


これがCIA工作員の告発本が原作だとすると、中東戦争のことや、9.11のことなんかもちょっと考えさせられるものがあります。


簡単に言えば、石油利権をアメリカ企業から中国企業に変えようと考えている中東の王子を殺害して、アメリカ側の言いなりになる弟を王にさせるって言う内容です。


映画中盤の気になったセリフをピックアップしました。

 ↓

ナシール王子

「王家と言っても、取り巻きは皆無能な操り人形だ。弟はうまく立ち回ることしか考えていない。アメリカ人弁護士と弟の企みについてどう思う、彼らは何を考えている?」


ウッドマン

「考えてるのはもちろん石油のことですよ、貴重な資源だ。石油の90%が中東にある、だから争うんだ。世界大戦、第四次中東戦争、湾岸戦争、イラク戦争、多くの血が流れた。

考えなんて同じですよ。あなた方を喜ばせて、一泊50,000ドルもするような高級ホテルに泊まって、だが中東のインフラには一切投資はしない、あなたがたが気づいた時には何もかも吸い尽くされている。そして資源の残骸だけが残る」


ナシール王子

「私は議会を作り、女性にも投票権を与え、司法制度も作り、中東にも石油取引所も作って、投機家やブローカーを締め出したい。なぜ取引きの中心がロンドンやニューヨークなのだ。資源は全て競争入札にする。君の言う通りイラン経由でヨーロッパに輸出、中国にもだ。まず効率化を計って最大の利益を出す。そしてその利益を投じて我が国を立て直す。

私は好条件を出した中国を選んだ。そしてその途端に私はテロリスト呼ばわりだ。コネックス社が中国との取引を破棄しろと圧力をかけてきた」


その後ナシール王子はミサイル攻撃を受けて亡くなります。


そして弟がシリアナ王になり、アメリカの石油会社開催のパーティーで賛辞を受けます。


コネックス・キリーン社は石油タンカーに石油を積み込みシリアナを出航します。


その石油タンカーにシリアナの過激派が船で突っ込んで行きます。



⚫︎シリアナ

ワシントンの業界用語で「アメリカの利益にかなう中東の新しい国」を意味し、地域としてはシリア・イラク・イランを指します。 


⚫︎CIA

中央情報局は、アメリカ合衆国の対外情報機関。主に人的情報を利用して世界中から国家安全保障に関する情報を収集分析することを任務としている。CIAは国家情報長官直属で、主に大統領と大統領顧問団に情報を提供することを目的としている。


⚫︎アナリスト

国や企業の動向を分析する専門家。証券会社や銀行などの金融機関や投資顧問会社などに所属し、企業の増資や新製品開発の動向、収益や経営状態、そして国内外の全般的な経済、政治情勢など、幅広いデータや情報を調査・分析して、株価の評価や金融の将来予測を行うスペシャリストです。


⚫︎ポリティカルサスペンス

政治的権力闘争を背景にしたスリラーで、一か八かの賭けとサスペンスが核となっています。このジャンルは、視聴者に政治の重要性を考えさせ、理解させることがよくあります。 



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