羊たちの沈黙


1991年 アメリカ映画

監督 ジョナサン・デミ

脚本 テッド・タリー

原作 トマス・ハリス

出演 ジョディ・フォスター

   アンソニー・ホプキンス



アカデミー賞主要5部門全て受賞した作品です。プロファイリングという犯罪捜査映画の先駆けになりました。



⚫︎あらすじ


FBI訓練生のクラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)は連続殺人犯バッファロー・ビルによる女性連続殺害事件の捜査のため、精神異常犯罪で収監中の精神科医ハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)に事件解決のために協力を求めます。


レクターはバッファロー・ビルの心理を理解するためクラリスの手助けをします。しかし、その代償として、クラリス自身の過去やトラウマについて語らせることを求めるのです。


『子供時代の最悪の思い出は何かな』

「父の死です」

『君の人生に少しでも触れて嬉しいよ』


クラリスは犯人の手がかりを追い、バッファロー・ビルが女性の皮膚を剥ぎ取るという冷酷な犯行の裏にある心理を解明しようとします。それと同時に、レクターとの心理的な駆け引きも続きます。


『父親が殺されて君は孤児になった』

『その先は?』

「叔父の家に引き取られました」

「でも逃げ出した」

父親が殺害されたクラリスは、叔父の家の牧場で飼われていた子羊が撲殺されるのを見て衝動的に子羊を連れて逃げ出したことを伝えます。

「さぁギブアンドテイクでしょ」


「ふくよかな女性の喉には異物がありました」

『それは蝶かな』

『蝶は変化する。ビルは変身を望んでる』

『バッファロービルは性転換手術を拒否されたに違いない』

『生まれながら虐待にあい、自分自身の姿に嫌悪感を持つようになった』


バッファロー・ビルの本名はルイス・フレンド、彼は女性を殺しては、その皮膚を剥いでいたのでした。


そのころ新たに上院議員の娘がバッファロー・ビルに誘拐されたため、捜査協力の見返りとして、レクターを警備の緩い刑務所へ移送させることになります。


しかし、レクターは警官のスキをつき、手錠を外して警備の警官を殺害してしまいます。


そしてレクターは警官の顔を剥ぎ自分自身にかぶり、まんまとケガをした警官になりすまし救急車に乗り込み逃走してしまいます。


そのころクラリスは、レクターが示唆したヒントによって、犠牲者たちの足跡をたどっていました。


ある民家に訪れたクラリスは、そこに住む男性がバッファロー・ビルであると確信します。そして地下室の暗闇と恐怖の中で犯人を射殺します。


その後、正式なFBI捜査官として卒業したクラリスに、レクターから電話が入ります



⚫︎感想


アカデミー賞主要5部門を受賞した作品です。この快挙は『或る夜の出来事』『カッコーの巣の上で』『羊たちの沈黙』の3つしか達成していないそうです。


確かに良くできたサイコホラー映画だと思います。観ているだけでレクター博士に自分自身の心の奥底まで見透かされているような気持ちになります。


バッファロー・ビルの性描写は同性愛者からの批判を受けたため、監督はフィラデルフィアを撮ったそうです。

 



⚫︎ハンニバル・レクターとは


1933年バルト三国のリトアニアで生まれました。父はイタリアの名門貴族の末裔で、ハンニバルは英才教育を受けて育ちます。


第二次世界大戦が勃発すると両親が亡くなり、溺愛する妹と2人きりになってしまいます。そこにはドイツに協力する者たちがいて飢えをしのぐために、衰弱した妹のミーシャをハンニバルの目の前で食料にしてしまいます。


その後、孤児院に入れられたハンニバルは叔父の家に引き取られ、叔父の妻のムラサキ夫人から日本語や日本文化を習います。しかしそのムラサキ夫人を野卑した肉屋を日本刀で殺害して、その頬肉を食べてしまいます。


その後ハンニバルは、妹ミーシャを食べたヤツらを探し出して連続殺人を犯すのです。


まあザッとこんな感じでハンニバルの凶暴性が目覚めた感じです。とても良くできた小説です。


ハンニバルシリーズとして4作品あるそうです。『羊たちの沈黙』『ハンニバル』『レッド・ドラゴン』『ハンニバル・ライジング』全作品を観たくなりました。