では、昨日の質問の解答と解説です。

 

まずは昨日の一文と質問を振り返ります:

 

<1段落目>

A panel of lawyers set up by talent agency Smile-Up, formerly Johnny & Associates, has begun notifying 35 people of plans to compensate them for sexual abuse by Johnny & Associates' late founder.

 

単語&表現:

・panel : アドバイスや意見を述べる専門家の集団

・notifiy ~ of ... : 〜に...を通知する

・compensate : 〜に賠償[補償]をする、埋め合わせをする

・sexual abuse : 性的虐待

・late : 故〜、最近亡くなった

・founder : 創設者

 

Q1. この文の主語と述語となる動詞はどれでしょうか?(原則、一文の中に主語は一語、動詞も一語です。もちろん複合名詞など二語以上になるものもたくさんあります。)

 

Q2. , formerly Johnny & Associates, ←カンマに挟まれたこの箇所の役割は何でしょうか?

 

 

一文が長い場合は、まず主語と動詞を見つけることが大切です。英文の主語はたいてい文頭に置かれ、次に動詞が続くのですが、今回の文ではなかなか動詞が現れません。

 

やっと現れた動詞、"has begun"の前までが主語が含まれる部分、つまり主部となりますが、ずいぶん主部の長い文ですね。文を長くする要素には色々なものがありますが、そのうちの一つに①名詞を修飾・説明する分詞(句)や②関係代名詞などがあります。他にも③前置詞句や④同格(名詞(相当語句)の後に説明を加える名詞(相当語句)を置く)などがあります。

 

日本語でも、名詞には説明が必要なことが多く、たくさんの修飾語が名詞にくっついてくるのと同じような感覚です。例えば、名詞「ペン」を説明する際には、「どんなペン?」、「誰のペン?」、「どこで買ったペン?」などなど、「どんなペン」なのか説明が必要なことがありますが、それと同様です。

 

・どんなペン?→細くて書きやすいペン

・誰のペン?→私たちの英語の先生のペン

・どこで買ったペン?→近所に新しくできたスーパーで買ったペン

 

いずれも下線部が名詞「ペン」を説明しています。

 

日本語ではこのように前から名詞を修飾しますが、英語では名詞は後ろから修飾されることが多いので混乱することもあると思います。ですが、どちらも人が使う言語ですので、同じようなルールが存在するのは当然です。混乱したら、「英語だ!!💦」とパニックにならず、「日本語でも似たようなルールがあったよな」くらいの軽い気持ちで考えてみてください。

 

さて、上記Q1の答えですが、主部は"A panel of ~ Associates,"で主語は"panel"動詞は"has begun"です。"has begun"の"has"は厳密には助動詞ですが、時制(現在、過去、未来など)や態(能動態、受動態など)を表す際には本動詞と結びついてセットで使われます。"have"のほか、受動態や進行形で使われる"be"や、疑問文や否定文を作るときに使われる"do"があります。これら3つとも(have, be, do)本動詞としても使われますが、助動詞とは役割が違うので区別して覚えてください。

 

例)

・I have a car.(haveは動詞「所有する」)

・I have bought a car.(haveは助動詞、boughtが本動詞。完了(「車を買った」)の時制を表現するために用いるhaveで「所有する」の意味はありません)

 

 

次にQ2の答えですが、上記④の同格の役割です。つまり、", formerly Johnny & Associates,"は、直前にある固有名詞"Smile-Up"の説明を追加しています。固有名詞に限らず、名詞がどんなもの/人/会社/・・・etc.かわからない、またはわかりにくい場合には、よくこのようにカンマを使って挿入句のようにして説明を付け加えることがあります。

 

さて、文の主語と動詞がわかったところで、あとは残りの部分を少しだけ見てみます。主語と動詞のほか、文の重要な要素となるのは目的語と補語です。5文型で勉強するSVC(第2文型)やSVO(第3文型)に出てくるO(目的語)やC(補語)のことです。(5文型についての詳細は今回は省きます。)

 

では、主語、動詞、目的語、補語以外の部分をカッコで囲んでみます。

 

(A) panel (of lawyers set up by talent agency Smile-Up, formerly Johnny & Associates,) has begun notifying 35 people (of plans to compensate them for sexual abuse by Johnny & Associates' late founder).

 

残った下線部のみをつなぎ合わせてみます:

 

"panel has begun notifying 35 people"(SVO(第3文型)の構文)

文法的にはちょっと不完全ですが「(弁護)団が35人への通知を始めた」となります。

 

おやおや、記事の見出しと似ているではありませんか。英文はたいてい一行目や一段落目などの出だしにテーマや大切なことが共有され、その後にだんだんと詳細が説明されていく構成になっているからですが、長い一文も修飾部分や細かい説明の部分を省けば、このように大まかな意味をつかむことができるのです。

 

 

最後にまとめです。長い文を読む際のポイント:

 

1、まずは主語(S)と動詞(V)を見つける(原則一語ずつ)

2、目的語(O)や補語(C)があるかどうかを確認

3、大切な要素(SVOC)を修飾している部分はカッコなどで囲む(前出の名詞を修飾する分詞句、関係代名詞、前置詞句、同格ほか、形容詞、副詞(句)、冠詞など色々とあります)

4、3でカッコで囲んだ部分がどの語、どの部分を修飾、説明しているのかを突き止める

 

3と4は詳細部分になりますが、最低でも1と2が突き止められれば大まかな文の意味を把握することができると思います。

 

ちなみに、目的語の部分(notifying 35 people of ~ late founder)は動名詞句になっていて、of以下はnotifyの(直接)目的語になっています。

 

That's all for today!

2段落目以降の解説はまた近々更新しますのでお楽しみに〜!

 

 

昨日のブログ:

 

★全文直訳:

(タレント事務所スマイルアップ、旧ジャニーズ事務所、により設置された弁護士)団が(ジャニーズ事務所の故創設者による性的虐待の者らへの補償のための計画を)35人に通知することを始めた

★全文意訳:

タレント事務所スマイルアップ(旧ジャニーズ事務所)により設置された弁護団が、ジャニーズ事務所の故創設者による性的虐待に対する補償計画を被害者35人に通知し始めた。