第10部 ブルー・スウェアー 第12章 危険な愛 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー

「俺も幽霊はみえないけれど、赤い糸ってヤツは漠然と感じたりすることがあるけれど、赤い糸はみえなかったわぁ〜」今井も深くうなづきながらいった。

「赤い糸かぁ〜。俺も大阪にいた頃は彼女がいたけれど、東京にきてから全然そんな女もいないなぁ〜。なんか空気が違うんだよ」勝はどこか寂しそうな表情(かお)でいった。

「おまえのお里は道頓堀だもんな。あっこでいつもナンパしていた。それに比べたらこの世界は合わないだろうな・・」

「ホント、甘い声で声をかけると、なんやかんや女は振り向いてくれた。そこで彼女も出来たりした・・・でも東京のおなごはさっぱりよ。振り返ってもくれない。やっぱり空気感が違う。ノリが違う。取り引きもなんか事務的だし、ナンバのような人情ってもんがないよ!全く」勝はやれやれといわんばかりの顔でいった。

「大阪に戻ろうよ!俺たちのホームグランドだよ!肌に合わない場所にいても面白くないよ!」××は両手を頭の裏で組んでつまんなそうに天井を見上げながらいった。

「俺もそうしたい。ホントはさぁ〜・・でも、親分、日本イチの土建屋になるっていってるからさ・・」

「夢がでっけーよなー!性格はちっちぇーし!」

「・・・まぁな。すごいよな。また新しい恋が始まったみたいだよ」勝は溜息をつきながらいった。

「あのガリ細のモデルは!?」今井は急に乗り気になりながらいった。

「知らないけれど、別の子に恋してよ!」

「うっそー。乗り換えたのか!?」

「それがガリコの友達だよ。あんま顔を覚えていないけれど、まだわかーいコよ!趣味悪いよ!」

「そぉかぁ!?男なんて若いコがなんやかんや好きだろう!でも叶わぬ恋にまた身を焦がすのかな!?」今井は興味深々そうにいった。

「きっとまた怖がられて終わりなんだよ!」

「別れのシーンが目に浮かぶよ!火をみるより、明らか!」

「大の大人が小娘に玉砕・・・なんか惨めだよなぁ。まだホステスの方がいいわ!」今井 は鞄から缶コーヒーを取り出すと飲みながらいった。

「だろっ!?惨めだろうっ!あんまりだろう!?ガキにやられているんだよっ。それならば、美奈子の方がまだ10倍いいぜ。ガキにやられるほど痛いのはないぜ!恥ずかしい・・・」

「ロリータの趣味があるなんて、尚更気持ち悪くなるぜ!」

「なんか奥さんが亡くなってから、何処へ向かおうとしてんだろう!?みていて辛くなる!」

「どんどん気持ち悪くなっていくな。親分には梨園の妻みたいな人がいいよ。尻に敷かれているくらいがいいんだよ!」

「それにしても新しい恋の相手はモデルかぶれの女より、もっと地味な感じでいかにも真面目で真人間ですって言わんばかりのコなんだよ!綺麗とか京美人の奥ゆかしいという感じではなくてただ綺麗でもなくブスでもなく、何の特徴もないコだよ。ホント、何の特徴がないんだよ!」

「・・・」

「何故なんだ!?」