第10部 ブルー・スウェアー 第4章 余生 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー

「なんであんな事故を起こしてしまったのか、それは私もわからない。ただ何もかもなくなってしまえばいいって思ったりしたのかも。頭が真っ白だった!」奈緒は愛那のベンチの横に座っていた。

「そんなにふられたことが悲しかったの?みんなもっと悲しかったと思うよ」愛那は無表情にいった。

「申し訳ないじゃ・・・すまないよね?別に巻き込むつもりじゃなかった。でもあの時は何もなくればいいってもう1人の私が急に顔をだしたの。私の中にもう1人の私がいたの。別にあの人にふられたことは大したことではなかったのかもしれない。ただ、すべてがどうでもよかったのだと思う。もう1人のわたしには全てが消えてなくなってしまえばいいって思っている私がいたのかもしれない」奈緒はぼーっとした顔でいった。

「全てがなくなってしまえばいいなら、自分1人で消えればよかったのでは?そう考えたりはしなかったの?」

「何度も自殺未遂を測ったりしたけれど、死ねなかった。あの時、死んでしまえばよかった」

「ホントよ。私もあなたに誘われていくんじゃなかった。精神安定剤を飲んでいて何年もかけてペーパードライバーを卒業したあなたの車に乗るんじゃなかった。後悔の何者でもないわ。

みんなを悲しませるってわからなかった?」

「自殺する人って人のことを考えたりしている。事故物件になるとかさ、たくさんの人の足を止めてしまうとかそもそも考えたりしないものじゃない?」奈緒もぶっきらぼうに言い返した。

「みんな怖がっていたよ。何とも思わなかった?」

「・・・思わなかったというより、止まらなかった、止められなかった・・・もう、戻れなかった」奈緒はなげやりにいった。

「なんで戻れなかったのよ」

「・・・きっと運命だったのだと思う。みんなの運命を変えてしまったのよ、私は。もう突き進むしかないって思っていたのかも。前しか・・・見えなかった・・」奈緒は遠い目でいった。

「私は戻りたい。進む訳にはいかない!あなたと一緒に心中なんていやよ。戻りたいの!!私は戻りたいのよ!進みたいくないの!戻りたいの!」愛那は発狂しそうに泣きくずれて、大泣きした。