第9部 幻(フレア) 第21章 運命 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー

「今日、ちょっとお休みいたします。なんか度々、すみません。社長は不在でもおまえが現場をしっかりしきってくれたらいい。本当にごめん。迷惑ばかりかけて、ごめん」悠人はそういうと電話をきり、腕時計をみると、11時を回ろうとしていた。

入り口から周りをキョロキョロと見回す高齢の老人が人を探すように見回していた。悠人は立ち上がり近くにいくと思わず声をかけた。

「・・・添田さんでいらっしゃいますか?」

「あぁ、君が蔵田くんかぁ?」添田の父親は安心したような笑顔を浮かべた。


コーヒー☕️を飲みながら添田と悠人は向かいあった。

「君にはすまないことをした。息子に代わって私がお詫びしたい。今さらと思うかもしれないが、あれも死んでしまったから償うこともできないだろうし、私がお詫びしたい。申し訳なかった。死んで償うことができなかったけれど、許して欲しい!」壮一は神妙な表情(かお)でいった。

「・・僕のことは償っていると思います。償っていないのは詩織のことです。僕を庇って、まだ裁判さえ始まっていないのに、あんなことになって、彼女が浮かばれません!」

「・・・おっしゃる通りです。見ず知らずの他人のお嬢さまをそんな目に合わすくらいなら私を・・・そうすればよかったというのに・・・」壮一は皺が顔に深く刻まれていたがしっかりとした口調でいった。そう言われたりしたが、あの誘拐事件だって元わといえば今、目の前にいるこの老人こそが全ての元凶なのだと思うと悠人は複雑な気持ちになり、とてもやるせない気持ちになった。

「息子さん、いや死んだ添田に真実を話したのはあなたなんですか?」

「あぁ、まぁ、そうだね。急に息子に留置所から呼ばれて、聞かれたから本当のことを答え・・・ましたね」

「なぜ今さらホントのことを・・・」

「もう嘘をつくほど若くはないんです!でもまさか死んでしまうなんて思わなかったですね」壮一はまるで息子の死をどこか他人事のように俯瞰するようにいった。

「あなたは今まで、そうやって他人事のように遠くから眺めていたんですか?」悠人は一番の確信犯を問いただすようにいった。

「母親の秘密というのは墓場までもっていくつもりだったけれど、あの子があんなに暴発してしまうなんて思いもよらなかった」

「もっと早くに本当のことを打ち明けていたら、あんな事件だって起きなかったでしょうね!」悠人はあまりに他人事のように語る壮一に苛立ちを覚えた。たくさんの人がこんなに悲しい思いをしたというのに、なんでこんなに穏やかなんだ?不思議なものをみるようにいった。

「・・・私の不徳の致す所だった。結局、私は自分が可愛かった。自分に牙を向けられるのが怖かった。思い返せば家内はよく働く人だった。とても気が強くて、とても、とても、海を愛している人だった。私は海なんて興味がなかった。全く会話が噛み合わなかった。何もかも価値観が合わなかった。息子が亡くなって火葬されて遺骨だけ私の元に戻ってきて、愛媛の母親がいつも朝から晩までいたあいつとの思い出の海に遺灰をまきました。私の家に置かれても何にも嬉しくないと思いましてね。全部撒こうかと思ったのですが、遺灰の一部をあなたにお渡ししようと思ったんですよ」壮一はそういうと鞄の中から封筒をとりだして、そっと悠人に差し出した。

「何故?僕に?」悠人は驚きながらも封筒の中身を開けるとビニール袋の中に遺灰が残されていた。


p.s
昨日は疲れてしまい更新できなかったです💦毎日更新の目標が途切れた💦今日は仲良しの方とランチしながらいろいろ話せて楽しかったウインク


いろいろ有りますね。
私も来年からレッスンより、執筆を頑張らなければいけないと薄々予感していたのですが、本当に頑張らないと思う出来事があり、、、どうなるかはわからないですが、頑張るしかない。
来年は執筆中心になりますが、どーなるかわからないのですが、、全力で頑張らなくてはいけないのでよろしくお願いいたします🙇‍♀️


街はイルミネーションが綺麗音譜