第10部 幻(フレア) 第20章 幻 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー


悠人への復讐は果たせそうもなかったし、もし、探偵のいうことが本当だというならあの女も無駄死にしたことになるし、もう自分に残されたものは「罪」以外に何も残されていないことに気がついていた。お袋を失った憎しみをバネに今まで復讐するために生きてきたのに、もし、関口という探偵のいうことが本当だというなら、自分はもう生きている価値も理由もなかった。それならいっそ、母親の元に帰りたい。幼い少年の頃の汚れのない

もう添田の心の中には生きることの執着がなくなっていた。

(生きていたって仕方ない・・おふくろに会いたくてももう会えない。なんだかんだいってもお袋と一緒にいたのは人生でごく僅かな時間だったな。今思えば・・・でもそれでもお袋を思い出せばキラキラと輝いているのはなぜだろうか?過去の思い出は実際より綺麗にみえてしまうのは何故だろうか?)

もう脳の中でどんどん風化していく幻影になっていくのかと思うと、添田はふと、今、実在しているもの全てが幻影にさえ思えてくるのだった。

いずれ、どんな人でも時が過ぎてしまえば、戻らないおぼろげな映像となってどんどん風化していく幻となっていく。この現実こそが儚いひとときの<幻>なのかもしれない。この何でもないつまらない、代わり映えのない光景こそが戻らぬ映像の一コマだとしたら、この世界の全てが幻なのだとつくづく思った。こんな冷たい留置所の真っ暗な中で再び裁きを待つこの哀れな姿さえも幻なのだろうか?時が過ぎれば、全ては幻に変わっていくのだろう。もう戻れぬ時に変わり、記憶の中で再生されるだけの幻に変わっていくのだろう。こんな誰の目にも止まらぬ惨めな姿さえも幻に変わっていくのだろう。

(全ては幻・・・)添田はふとそんな言葉が心の中に流れてきた。

母親の太陽のような面影の幻がずっと消える事もなく心の中で流れいた。

(いっそ、自分という存在もこの世界から忘れた幻の存在になって母親の元にいきたい)



p.s

キャンドル&石けんのレッスンも終わり、、しばらく何もなくまた執筆な日々です。フレア、もう書き終わります。8月には間に合わなかったけど💦9月後半に1回だけケーキレッスンがあるだけで他にレッスンが何もなく寂しい気もしますが、、執筆がありますっ!!大人しく、暮らしながらカキカキの日々です。また習った技術を生かして石けんを家で作ろうと思います!シュークリームを完璧にしたい!!9月は忙しいからこないだのキャンドル&石けんレッスンは空いている時にやらないと9月は出来ないと思い、慌てて入れたんですよね〜!時間の有効活用ですっ!!なので9月はレッスンがほとんどなくて寂しいのですo(TωT )