大嶋は車を引き返すと添田の家の前に車を止めた。車を出ると大嶋は添田が住んでいる家のドアのインターホンを押した。ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。大嶋はインターホンを連打した。
「添田さーん、添田さーん。誰かいませんか?」大嶋は家から少し離れてみたけれど、家は暗くて、人がいる気配はなかった。
みずほ今日もラジオ体操を終えるとすぐに家に帰った。手を洗い、二階に上がろうとした時、少し気になって階段をおりて窓ガラスのカーテンを開けて隣家の窓ガラスをのぞいた。
窓ガラスの半分カーテンを開けた所から今日も少年の顔が浮かび上がっていた。みずほは思わずその顔にまるで金縛りにあったように思わず立ち止まって見つめた。
よく見ると、気のせいなのかその少年の顔はどこか疲労が滲んでいるというかくたびれたような表情(かお)をしていた。どこか無表情で正気がない顔のようにみえたし、青白い顔をしているように思えた。そしてその蒼白な少年は左手で人差し指と親指で丸を描いていた。みずほは怖くなって、思わずカーテンを閉めた。クルッと窓ガラスに背をむけて深呼吸をした。
みずほは再びおずおずとカーテンをほんの少し開き、隣の窓ガラスをみると、そこにはもう少年の顔はなかった。
(や、やっぱり、お化けだ!!)
「きゃーー!!」みずほは階段を駆け上がり、自室にこもるとさっき起きたことを思い出していた。
(絶対にお化けだわ!!)あまりにリアリティーのあるお化けだったから恐怖でみずほは思わず鳥肌が立った腕をさすった。みずほは時計をみると10:04を指していた。
(昨日もこれぐらいの時間に立っていた。白昼の霊なのか?)みずほは気持ちが悪くなりながらも、着替えを済ませ、絵里の家に向かおうとして家を去ろうとした時思わず隣の家をみた。少し古びた一軒家。無人家のせいか誰も手入れされていないせいか草木が生い茂り、雑草は伸びきっていて、玄関前にはつるぎが至る所に張り巡らされていて、不気味な雰囲気を湛えていた。
みずほはじっーとその様子をまじまじみていた。
碧名みずほはごくごく普通の環境に育ち、父親は鉄工所で働き、母親はパートで養鶏場の事務をしていた。みずほには兄の碧名恭平の4人家族だった。貧しい訳でも裕福な訳でもなく平凡すぎるほど平凡だった。今の家に引っ越してきたのは5年くらい前だった。5年くらい前に引っ越してきた時も隣の家には誰も住んでいなかった。隣の家はいつも買い手がつかず、すぐに引っ越していく、俗にいう曰くつきの物件だった。曰くつきの物件でもみずほは今まで何の被害もなく、幽霊をみた訳でもなく何事もなく過ごしてきた。それでも確かに少年がこちらをみていた、再びみると、もういなかったことが幽霊であることを物語っていた。
p.s.手ブレ写真でーす。なんか綺麗
![カナヘイきらきら](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/limited/016.png)
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