第3部  理想の愛  第7章 抱擁とジェラシー | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー

「あいつから、あいつから電話がきたの・・・」怯えたような顔で佑香は言った。

「誰?」

「孕ませて私を捨てた男から・・・・怖い・・・・怖いわ」

「もう電話に出るな」

「うん・・・・・でも何だかわからないけど怖いのよ、あいつは。。。悪魔のような男なの。どんなものも惹きつけてしまうというか、あいつにとりつかれたらきっとまたボロボロになってしまいそうで・・・・怖いの。友だちには言えない。あいつの子を堕ろしたなんて、、、私の恥なの。本当のことは誰にも言えない・・・・友だちがいなくなっちゃうわ」

「大丈夫だよ。友だちがいなくても俺がいるから」

「うん・・・・・」佑香はか細い声で呟いた。

「心配しないで・・・・泣かないで」

「私に一生の傷を背負わせたあいつのくいものにされるのはごめんだわ」

「そんなことはないよ、そんなことはさせないよ。君のことは俺が守るから」

恭一はそう言いながら心の中で後ろめたさを感じて顔が引きつった。

奈緒の顔がよぎった。

(愛って何なんだ?俺は何処に行こうとしているんだ?)

佑香を抱きしめながら恭一は自分は一体なのか自問自答していた。



恭一と佑香は線香花火をしていた。恭一はひょうんなことから広島にいた頃からずっと自分のことを好きでいてくれた千広の存在をポツリと明かした。

「へぇ、、、恭一君はもてるのね。彼女の他にい一途にあなたを好きでいてくれる子がいるなんて・・・その子は何をしている子なの?」

「何かよくわからないけど、、読者モデルみたいなこと・・・」

「じゃあ、あたしも知っている子かな。。」

「どうかな?」投げやりな恭一。

「どうしてそんなにあなたを好きな子を受け入れられないの?」

「何でだろう?何となく。何となくその子を見ていると重い気持ちになってしまうんだよ」

「重い気持ち?」

「その子はとっても純粋な子なんだ。あの子に会うと弱い自分をみているような、、、弱い部分が同じ匂いがするんだ。とても辛い気持ちになるんだ」

「その子がみたい。どんな子かしら?」佑香はいじけるような顔で拗ねてみせた。

恭一はポケットから携帯を取り出し千広から送られてきた写メを探す。

「あった、この子だよ」恭一は佑香に写メを見せた。

「こないだ何故か送ってきたんだよね!」佑香は差し出された携帯に目を細める。

「これって・・・・・この子・・・・・宇佐見千広じゃない?」

「知っているの?」驚く恭一。

「昔、一緒に仕事したことがあるの。何考えているのかわからない子だったわ」そういうと佑香は部屋に戻り本棚から一冊の雑誌を持ってきてパラパラめくり始めた。

「これ、この子!」そこには大人びたカメラ目線の笑顔の千広がいた。

一途な女の子って宇佐見千広さんかぁ。・・・懐かしいわ、とっても」佑香の目は遠い記憶をたぐりよせるに目が鋭く雑誌の笑顔の千広を見つめていた。

                                         つづく、、、