第3部  理想の愛  第7章 抱擁とジェラシー | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー

佑香はせわしなく夕飯を作っていた。鼻歌を歌いながら西陽の洩れるキッチンでご機嫌に鼻歌を歌っていた。恭一が車の洗車から戻ってきた時佑香はリンゴを剥いていた。テーブルの上の佑香の携帯が鳴った時佑香は一瞬身震いがして体をすくめた。その拍子に包丁で親指を切ってしまった。やがて携帯の着信の音は消えた。リンゴを剥いていた親指から血がにじんでいる。。リンゴには赤くうっすらと血がゆっくりと滲んでいく。リンゴを剥く手を止め救急箱からカットバンを出そうと引き出しを片方の手で開け探していると

「どうしたの?」恭一が何気なく佑香の手を見ると痛々しく血が滲んでいるのを見てはっとする恭一。

「ちょっと手をざっくり切ってしまっただけ」

「結構、出血しているじゃんか!!」

「大丈夫よ。消毒すれば。何でもないって」佑香は動揺を見せぬよう平静を装ってみせた。

「かせよ」そういうと恭一は佑香の指を自分の口に加えた。恭一を見つめる佑香。佑香の目から涙がこぼれ落ちた。頬をこぼれ落ちた涙の意味を推し量るように佑香を見つめる恭一。


                                                つづく、、