第3部  理想の愛  第6章 伝えたい想い | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー

恭一は写真に向かって呟く。
「ありがとう」恭一は写真の中の千広の顔を人差し指でなぞった。
(どうしようもないやつだけどな)
恭一はまだ千広からのメールに気付いていない。

徹はなつ美と向き合っている。二人の間には重苦しい沈黙が支配している。姿勢を正して最初に切り出したのが徹だった。
「君と暮らして1年半。。。僕にもたくさんの至らないことが多かったと思うが考えて考えて僕なりの答えを探していたんだ。暫く別居してほしい」なつ美は黙りこんでいるが悲痛な顔はしていない。何か吹っ切れているようなそんな気さえ徹には思えない。
「・・・・うん」なつ美は小さく頷いた。
「ごめん・・・・」徹は頭を下げた。
「あなたの人生を邪魔をする気は毛頭ないから」なつ美の言葉に徹は黙り込んだ。
初めて聞くなつ美の人間らしい言葉のような気がした。
「離婚ということになっても・・・僕に非があるから君に誠意を示したいと思う」
「・・・あなたはあの子と一緒になる予定なの?宇佐見とかいう子と・・・」
「その予定はない。嘘じゃない。今はあの子にも別に好きな人がいるみたいだから」
「じゃあ原因は私なのね。あなたと私は最初から合わなかったのよ。だからあなたに非がある訳じゃないわ。もっとも私は浮気なんてしていないけど」
「・・・・・ごめん。傷つけてしまって」
「もうあなたの好きなようにして」なつ美の親切な言葉は徹の胸をえぐった。

晩夏の残り火のような暑さが体中にまとわりつく。夕暮れの国道沿いを徹はテクテク歩いていた。
<あなたの好きなようにして>なつ美の言葉を思い出す。突き放されて自由になったはずなのに、、自由に後腐れもなく届きそうなのに。。なつ美のことを知らぬ間にひどく苦しめていたことに今更ながら徹は気付かされた。能面のようななつ美が自分の胸の内を語ったのは初めてかもしれない。
<好きなようにして>苦しみ抜いた末の本心なのかもしれない。
(俺って最低な人間だな)
徹は歩きながらふと千広の出会った頃の人なつっこい笑顔を思い浮かべる。
(今頃何しているんだろうな?)迷ったが千広に徹は電話をしてみた。
プルルー  プルルー プルルー。。。。。
5コールでも千広は出なかった。
(嫌われたかなぁ)徹は溜息をついた。電話を切ろうとした時うだるような千広の声が聞こえた。
「もしもし・・」
「もしもし、、俺だけど」

「どうしたの?」そっけない感じの千広。
「妻と別居するんだ」
「・・・・・・・そう」
「・・・・君はこれから・・・・」
「あたしのことは自分で決めるし、別に私が原因じゃないわよね」
「ああ・・決して君のせいじゃない」
「あたしはあたしの人生だから。竹内さんは竹内さんで頑張ってよ・・・・さよなら」そういうと千広は一方的に電話を切った。                              つづく、、