人気のないダイニングルームで一人残業している吉永をめぐ未は待っていた。
「お疲れ様です」残業していた吉永がやつれた顔で出てくる。疲れきった吉永を前にすると自分のことで話を切り出すことが億劫になってしまう。
「ふぅーーーー。全然仕事が追いつかないよ。まいったなぁ」
「何も助けになれなくて、迷惑ばっかりかけている」
「全然気にしないで。昨日、押本さんに会ったよ」
「えっ?」驚くめぐ未。
「押本さんいきなり見ず知らずの俺が行ったもんだからかなり動揺してた。ムリないけど。。」
「・・・・」
「勝手なことだと思いながら聞いてみたよ。彼の奥さんは訳ありだよ。後悔しているように見えた。結婚していながら君と一緒に暮らしていたなんてどんな極悪な男(ひと)なんだって思ったけど、、正直・・・臆病な人だなぁって思ったよ。きっとめぐ未さんを好きなことはどんな理由があっても好きなんだなぁって」吉永は遠い目をしながら言った。
「・・・・何か言ってました?」
「めぐ未さんのことは何も言ってなかったよ。好きだけど迷惑をかけたくないから突き放したんじゃないのかな?何となくそんな気がしたよ。お灸を据えておいた・・・めぐ未さんが狙われたってね」
「それで・・・・」とまどうめぐ未。
「関係ないなんて言ってたけどかなり動揺していたよ。彼が奥さんの一番近くにいる人なんだしそれで解決してくれることが一番いいことだけね。本当は。」
めぐ未は何も言い返せなかった。目頭が熱くなった。
つづく、、