第2部 トライアングル  第8章 点と線 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー

めぐ未の気持ちの中に吉永への労わりが痛いほど感じながらも危険をかえりみず進んでいく姿が人間としてだけじゃなく一人の男として惹かれるものがある。押本とはかけ離れて対称的にみえる。そこまで心配してもらえるほどの価値もないような自分である気がするが。。めぐ未はコーヒーを淹れながらため息をついた。

「私は、、何かの罰当たりなのだろうか」思いが込み上げてきて涙があふれてくる。お湯がゴトゴト沸騰している。やかんから飛び散ったお湯が額についた。

「アツッ!」体が反射的に翻った。

<コンッ>窓ガラスに鈍い音がする。めぐ未は涙を拭きながら

めぐ未は泣くのをやめ、お湯を止めると地を這うように足音を忍ばせて窓辺に近寄った。見えぬ犯人はもういなかった。ベランダには小石が落ちていた。もしあの運転免許証の男が近く身を潜めているとしたら。。。?あの出来事は偶然なんかじゃない・・考えすぎ?考えすぎ?免許証の男の顔をじーっと見つめた。

「チン・・・・トウ・・・・テツ・・・・S51年 5月  8日生まれ」北京出身の31歳。小石を投げつけた人が写真の男だとしたら?自らの落し物を逆恨みしたのだろうか?もしそうだとしてどうしてここを知ったのだろう?初めから計画的犯行?その理由は?

「勇起の奥さんの?」めぐ未は邪気な考えを振り払おうとして頭を振った。心臓の動悸がバクバク早くなっている。息遣いが荒くなってゆく。

(私、、殺さてしまうの?)めぐ未の胸に漠然とした不安が恐怖に、、本当の自分の声が聞こえてくるようだった。                        

                                             つづく、、