第2部 トライアングル  第7章  存在 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー

「偽装結婚?!何の為に?」目から鱗が落ちる思いのめぐ未」

「決まってるや、、金のためよ。普通に来る奴は金持ちよ。けどそうじゃない奴らは皆借金してくるんだよ。しかもパスポートも怪しいもんだよ。仲間でさえいつ、あいつは偽者だって通報されるか気が気でないんだぜ。国に帰ったって逃げ場所はどこにもない。だから必死なんだよ」

「そんなのかなしすぎる」

「君は幸せだからそんなことが言えるんだよ」

「・・・・・」

「明日、生きてゆけないっていう極限状態になったら人間きっとなんだってするよ」

「何だってするのはその人の勝手でしょ。その人がどんな状態で生きていようと止めて欲しいし、私には関係がないことよ!!言い訳にしないで。弱いからよ。心が弱いから貧しいのよ!」

「僕だって裕福じゃないけど、そんなひどいことしないよ。差別じゃないですか。さっきも言ったでしょ、皆がそうじゃないって。そんな思いしたならその気持ち少しはわかるけどね」

「恋人に裏切られた上に殺されかかったのよ!!信じられないよ」やつれためぐ未。<殺されかけた>はほんの少し誇張だったけど。

「僕がしたことことじゃないし、この電話で八つ当たりしても仕方ないでしょ」

確かに的を得た答えに冷静になるめぐ未。

「あなたはきっと優しい人なのね。そんなんじゃやっていけないんじゃない?」

「僕はいろんな意味で損ばっかりですよ。そうですね、僕の人生なんてトライアングルみたいなものなんだ仕事に故郷にこの暮らしに。あー日本に住んでいてもどこにも行けない。東京だって本当の意味で何も知らないしね、、何か大切なことを見落としたような気がするよ。」きっといい人なのかもしれない、、けどどこか信用ができないタイプ。

「損をしているクセにその仕事しているの。。バッカみたい!そういう単純さに腹が立つ!」そういうと電話をめぐ未から切った。最後の言葉は自分でも言っている意味がわからなかった。電話の男にというより目に見えない何かにひどく苛立っていた。  つづく、、