『love letter』163。改札 | 『love letter』執筆中 φ(..)

『love letter』執筆中 φ(..)

今、2作目となる小説『love letter』を順次公開中です。

1作目は、アプリゲーム艶が~るの二次小説『艶夢噺』を書きました。全110話で完結しております(*^_^*)


たくさんの人たちが行き交う、慌ただしい雰囲気の博多駅。久しぶりにここに来たけど、年末だからか本当に人が多い。

私は、改札口からちょっと離れた場所でコウさんがやって来るのを待っている。
とはいえ、コウさんが乗った新幹線が到着するまではまだあと30分くらい時間がある。待ち合わせに遅れないように早めに家を出たけどさすがに少し早かったな。でも、他に行くとこもないし、うろうろして迷ったらいけないからここで待ってた方が無難だよね。




いつかまたコウさんに会えたらいいな、なんて思ったのがちょうど一週間前。まさかこんなにすぐ会えるとは思っていなかった。

今日は、私たちが福岡の公園で初めて会ったあの日からちょうど3年。そのことをコウさんに伝えたくて、かなり迷いながらも勇気を出し、0時になった瞬間私は彼にラインを送信した。
私と会った日付なんて覚えてるわけないって思ってたけど、コウさんはちゃんと覚えていて、しかも電話までかけてきてくれた。私にとっては大切な日であってもコウさんには何でもない日なのに。もしかしたら、ただ私の話に合わせてくれただけかも知れないけどね。

そして、電話で話している時にたまたま今日2人とも福岡に行くことが分かり、だったらついでに会わない?とコウさんが提案してくれたことで急遽決まったこの待ち合わせ。
聡史さんを空港まで迎えに行くまでの僅かな時間しかなかったけど、私は二つ返事でその提案を受けた。当たり前だよね、コウさんと会えるのにわざわざ断る理由なんてないんだもん。





あっ、新幹線が到着したみたい。
もうすぐコウさんにあえるんだ…!


まだかなまだかなと、しばらく改札を見つめていたけど一向にコウさんの姿は見えない。人がいっぱいだからきっと通路が混んでいるんだろうな。……ていうか、ここに立ってたら私ちょっと邪魔かも。
そう思い、私は少し奥まった目立たない場所に移動する。



コウさん、今日はどんな格好してるかな。
また顔がバッチリ分かるような服装だったらどうしよう。んー、でも、福岡はコウさんの地元だし、こんなにたくさん人がいるとこだからきっと気を付けてるはず───


「あかりちゃん、お待たせ!」

「わっ、…こ、こんにちは、、すみません、ちゃんと見ていなくて…」


ちょうど後ろを向いている時に声をかけられたので、びっくりして声がひっくり返ってしまった。恥ずかしい…💦


「お昼どうする?お腹空いとーよね。ここの近くで何か食べるね?」

「そ、そうですね…」


突然のコウさんの登場に焦ってしまい、上手く喋れないしお顔も見られない。



「…っ、、あー、えーっと………💦💦
もうすぐ12時やけんどこも人がいっぱいかも知れんね!どこか空いとー店はあるかな?」



(……ん?)



隣に立っているコウさんをチラッと見る。
何だかコウさんも焦ってる…?

もしかしたらここに着く前に誰かにコウさんだってバレちゃったのかな?だからこの場を早く離れたいのかも。今コウさんが身に付けてるのはメガネと帽子だけだし………



(あっ、)


まともに姿を見て初めて気付いた。コウさんは、私がお誕生日に贈ったキャスケットを被ってくれていた。

(わぁ、ちゃんと使ってくれてるんだ。嬉しいな。すごく似合ってる!)


……と、それはひとまず置いといて。

ホントに誰かに気付かれちゃったんなら駅の構内を歩き回るよりもうお店に入った方が安心だよね。


「あの…、あんまり時間もないのでコウさんが良ければパッと食べられるもので私は構いません。あそこのラーメン屋さんとか?」

「あっ、うん!そうね、ラーメンなら多くてもすぐ食べられるやろうし、そうしようか」


そう言うと、コウさんは私の斜め前を少し早足で歩き出す。いつもと少し様子が違うからやっぱり何かあったのかも知れない。
有名人であるコウさんの立場を考えた上で、待ち合わせ場所を私がもっと配慮して決めるべきだったな……、と反省。







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新年もとっくに明け
今日で1月も終わりますが
皆さまいかがお過ごしですか

大変なこと
辛いこと
きっとたくさんあると思います
ですが
今年も、誰かのお役に立てるよう
気晴らしの一粒にでもなれるよう
頑張って物語を書いていこうと思っています

どうぞ
よろしくお願いいたします


琴奈