『love letter』164。どこに行こう | 『love letter』執筆中 φ(..)

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今、2作目となる小説『love letter』を順次公開中です。

1作目は、アプリゲーム艶が~るの二次小説『艶夢噺』を書きました。全110話で完結しております(*^_^*)



店内に入った時にはまだまばらだったお客さんも、ラーメンを注文している間にどんどん人が増えてきたので、サッと食べ終えて満席になる前に私たちは店を出ることにした。



どこにも寄らずに真っ直ぐ駐車場まで歩いて来たけど…これからどうしよう。駅内は人が多いから車でどこかに行った方がいいかな。といっても、2時間後には聡史さんを福岡空港まで迎えに行かなきゃいけないから、遠くに出かけるような時間は無いし。うーん…

私としてはここでお話しするだけでも充分なんだけど、それだと忙しい中時間を割いてくれたコウさんに申し訳ない。それにきっと、朝早くからの移動で疲れてるよね。だったらもう、このままご実家の近くまで送った方がいいかも。
だけど、せっかくまた会えたのにもうお別れするのは寂しいな。近くにちょこっと寄れるような場所がどこかあればいいんだけど。


……そうだ!大濠公園おおほりこうえんだったら行けるかな?確か博多駅からも近いし、コウさんがラジオで何度か話してたからずっと行ってみたかったんだよね。でも、私のワガママにコウさんを付き合わせたら悪いかな…


「あの…、コウさん。これからご実家の近くまでお送りしようと思ったんですけど、その前にちょっとだけ大濠公園に寄ってみてもいいですか?」

「えっ、大濠公園ね?もちろんいいけどなんで大濠公園?」

「私、何度も福岡に来ているんですけどこれまで大濠公園には行ったことがなくて。コウさんは小さい頃からよく行かれてたんですよね?だから私も一度行ってみたいなって思ってたんです」

「うん、大濠公園ならよう知っとーよ。そうね、時間的にもちょうどいいかもしれんね」

「ありがとうございます!」




大濠公園の場所をコウさんに教えてもらって私たちは15分くらいで公園に辿り着いた。駅から遠くないことは知ってたけど、まさかこんなに近かったとは💦

(以前もお借りしたお写真です)


車を降りて、お話ししながらコウさんと2人で公園の真ん中にある橋を目指して歩く。
広々として気持ちいいところだな。コウさんが風上に立って壁を作ってくれたおかげで、さっきまで冷たかった風がなんだかちょっと温かくなった気がする。

コウさんの体をなぞりながら、その緩やかな風に乗ってふわりと良い香りが鼻に届く。
何の匂いだろう?お花かな。あっ、もしかしてコウさんの匂い?そう思って振り返ろうとした時、鞄の中で微かにピチャンと水が揺れる音がした。

そういえば、コウさんからいただいた香水を鞄に入れたままだった。使うのがもったいなくて普段は部屋に飾ってるけど、コウさんとお会いする時くらいは…と思って持ってきてたのに着けるタイミングを逃しちゃった。
そんなことを思いながら鞄をじっと見ていたら、ふとコウさんが口を開く。



「……あかりちゃん。この前は可愛いギター聴かせてくれてありがとうね。俺、めっちゃ嬉しかったとよ」

「あはは…、あれはホントにごめんなさい。いっぱい練習したつもりだったんですけど、全然ダメだったのでお恥ずかしいです。コウさんってやっぱりすごいんだなぁって改めて思いました」


あ~あ…💦コウさんに気を遣わせちゃった。
だけど、あんなに下手くそなギターを嬉しかったって言ってくれるなんて、コウさんってホントに優しい人だな。
優しくて気さくで、こうして見たらどこにでもいそうな普通のお兄さん。有名であってもそれを鼻にかけることはなく、普通に話すし普通に笑う。年下の私にだって対等に接してくれるし、いつも穏やかで雰囲気が柔らかいからすごく気持ちが安らぐ。そして、病気のことは知らないから変に私を気遣ったりもしないし…
こんな人とずっと一緒にいたらきっと楽しいだろうな。



「初めてでもちゃんと弾けとったやん。今日はギター持って来とらんけど、今度会う時は教えてあげるけんね。 でも…あかりちゃん、ピアノは上手に弾けるでしょ?」

「少しは弾けますけど、全然上手じゃ……」




…………………。


あれ?

なんでコウさんは私がピアノ弾けること知ってるの??
言ったことあったっけ…?








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前回の更新から2ヶ月近く経ってしまってました
毎回遅くて本当にごめんなさい💦