「わかりきっているんだから、やらなきゃいいのに」。現場に集合した芸能記者がつぶやいた。

 東京・渋谷109前のイベント広場。俳優の市原隼人(23)と女優の芦名星(26)が登場すると、あっという間に通りかかった人間が群集と化した。27日公開の映画「猿ロック THE MOVIE」の公開直前イベント。

  「事前のリリースには、『混乱招く恐れがありますので、口外されないようお願い申し上げます』と書かれていました。よく考えてみると、矛盾しているんで す。イベントをやるわけですから、多くの人の目に触れないといけないわけですから。現場にテレビカメラが何台もセッティングされて、報道陣らしき人間がた くさん集まれば、道行く人も何かあると感付きますよ」(スポーツ紙記者)

 ゲリライベントと威勢良く銘打ったわりに、2分であっけなく中止と、まるで予定調和。

  「警察も事前に混乱が想定できる場合は使用許可を出さない、といった基準を作るべき。中止にしたからいいってものではない。実際、周辺で急に人の動きが激 しくなって、子供を抱きかかえながら押し倒されそうな女性がいましたからね。それに警官が警備するのだって、税金です。芸能界だから許されるっていうの は、もはや時代遅れです」とワイドショーデスクは手厳しい。

「キン肉マン」のロビンマスク役や報道番組のナレーションで活躍中だった郷里(ごうり)大輔さん(57)が17日、東京都内の路上で血を流して死んでいる のが発見された。自殺とみられている。13日に病死した「ゲゲゲの鬼太郎」の目玉おやじ役だった田の中勇さん(77)と同じ事務所で面識があったことか ら、相次ぐ訃報は声優界に大きな衝撃を与えた。ベテラン声優はなぜ逝ってしまったのか-。

 警視庁中野署によると、17日午後3時ごろ、 中野区本町の路上で郷里さんがうつぶせになって倒れているのを通行人が発見し、同署に通報した。「死後1-2時間は経過していた。建物のすき間に挟まるよ うに倒れていた。付近は閑静な住宅街で、自転車(の速度)で通り過ぎたら見逃してしまうような場所」(同署幹部)という。

 郷里さんは腕 から血を流していたほか、上半身にも深い傷があり、周囲には血だまりができていた。同署は死因を失血死とみている。近くには刃物があり、ポケットには家族 向けに「ごめんね」「ありがとう」といった走り書きのメモが残されていた。現場には、自宅から徒歩で行った可能性が高いという。

 所属事務所の青二プロダクションは「遺族が密葬を行うが、私たちも日程を知らない。今のところ、お別れの会も案内できない」(担当者)。田の中さんとの関係は「当然、面識はあったが、2人の死はまったく関係ない」としている。

 ある声優仲間は「数年前から糖尿病を患い、網膜剥離を併発して視力が極端に低下していたようだ。仕事のたびに『台本が読めない。思うように仕事ができない』と愚痴をこぼしていた」と明かす。

  郷里さんはドスの利いた男性らしい声で有名。ロビンマスク以外にも機動戦士ガンダムのドズル・ザビ中将、魁!!男塾の江田島平八など、男の中の男という キャラが得意だった。声優仲間は「怖い声とは正反対に、誰からも慕われる優しい人柄だった。本当に残念です」と唇をかむ。

 アニメ以外に も日本テレビ系「ザ・サンデーNEXT」で長年、北朝鮮特集のナレーションを担当するなど、報道番組でも重用された。アニメ誌の編集者は「主役を張ること は少なかったが、声を聞けば誰もが分かるはず。昨年8月のガンダム30周年イベントでザビ家の声優が一同に集まり、『やらせはせんぞ!』と名ぜりふを発し た時は、とても元気そうだったのに…」と語る。

 親友だった声優の井上和彦さん(55)は「19歳のころから養成所で一緒だった。2人で テレビを録音して練習したり、声を出すために立ち食いそばでアルバイトもした。昨年末にアンパンマンの収録で会った時は『もう年だよ』と、元気がない感じ だった。思い詰めていたことに気づかなかったのが悔しい。結婚してお子さんもいたので、あまり連れ出すのも…と思い、付き合いが減ったのが残念。もっと いっぱい話したかった」と話している。
 世界最大のサンゴ礁、オーストラリアのグレートバリアリーフの沖合を初めて掘削し、過去2万年間の気候変動の解明を目指す調査が、2月上旬から始まる。 日米欧などの「統合国際深海掘削計画(IODP)」の一環で、横山祐典東京大海洋研究所准教授ら約30人の国際研究チームが掘削船に乗り、水深 40~200メートルから既に死んだサンゴの化石を採取する。
 グレートバリアリーフは世界遺産であり、豪州当局から掘削調査の許可を得るのに長年かかった。研究チームの共同首席研究者を務める横山准教授は「最初で 最後の掘削かもしれない。将来の気候変動を予測する上で、熱帯域の過去の水温変化などのデータは非常に重要だ」と話している。
 深層掘削調査は、これまで南極大陸やグリーンランドなど極域の氷床が多く、熱帯域のサンゴ礁ではカリブ海のバルバドス島沖や南太平洋のタヒチ島沖でしか 行われたことがない。ドリルで掘削して円柱状の試料(直径約8センチ)を採取し、サンゴやプランクトンの化石などを化学分析すると、当時の海面水位や水 温、塩分などを推定できる。地球の気候は氷期と間氷期を繰り返しており、2万年前は前回の氷期のピーク、1万年前は終わりに当たる。当時の平均水温や比較 的近い南極氷床がどのように解けて海面が変動したかを、コンピューターの気候モデルと組み合わせて検討すると、現在の状況を判断し、将来を予測するのに役 立つ。太平洋の東西で水温がシーソーのように変動するエルニーニョ・ラニーニャ現象の過去の傾向や、二酸化炭素(CO2)排出量増加に伴う海の酸性化、グ レートバリアリーフの形成過程の解明も、今回の調査目的だ。研究チームの船は2月4日ごろに豪タウンズビルを出港し、3月下旬まで掘削航海を行う予定。掘 削や試料分析には東大のほか、産業技術総合研究所、名古屋大、岡山大、琉球大の研究者が参加する。