ネットの情報に注意! | 医療法人社団 晴晃会 育良クリニック

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中目黒アトラスタワーにある産科・婦人科・生殖医療科の病院です。
病院のお知らせなどを載せていきます。

『お腹の皮膚は1度目の手術と同じく縦または横に切って回復しますが、子宮は皮膚と同じ切り方をしません。子宮は前回と同じ所を切ってはいけないので、「縦切り」「横切り」「逆T字切り」「J字切り」などの中から前回と違う切り方をします。』

びっくりしました・・・NETの情報サイトの帝王切開術に関連する文章です。

 


前のお産が帝王切開だった場合に、次のお産での帝王切開(反復帝切・・と言います)についてのコメントだったのですが、めちゃくちゃです。


皮膚は縦または横に切ってあれば余計に傷を増やす理由がなければ、「前回手術創に沿って開腹」と、いう具合に前のお産のときの傷跡で再開腹します。

そこからがいけません。まったくのでたらめです。

子宮は前回と同じところを切ってはいけません、だって。ではどこを切るのでしょうか。


帝王切開のときの子宮壁切開は横切開を基本とします。

腹壁は縦や横に切るのですが、子宮壁は「横切り」(横切開)が必須です。
「縦切り」(縦切開)は古典的帝王切開といって昔(私が産科医になるもっと前ですから半世紀以上前)のやり方で今ではよほど特殊な場合(妊娠週数が浅くまだ子宮壁下部が厚く横切開では十分な長さを得られない場合など)以外には採用されません。

次の妊娠の時に子宮破裂が多いからでしょう。


「逆T字切り」(逆T字切開)は通常の王切開に加えて、横切開の中央から上方へ縦に切開を加える方法です。

赤ちゃんが大きすぎて横切開では出てきそうもなかったり、妊娠週数が20週台だったりしたときに横切開では赤ちゃんが出てくるだけの十分な広さを取れないときに行います。この方法は現在でも行われますが、私の日赤時代にすら多くはしていない滅多に行わない方法です。


「J字切り」にいたっては聞いたことはあるものの自分でしたことも誰かがしたことがあると聞いたこともありません。

 

 

このようないい加減なことが書かれているサイトが多いと聞いています。
皆さん、疑問点はしっかりとしたサイトかどうか確かめた上で利用しましょう。

 

 

 

                                     理事長