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エノーラ・ホームズの事件簿 ①②
◯ワトスン博士と奇妙な花束
前の記事で、5巻刊行されてるうちの2巻しか手に取れなかったと書いたのに、3巻目の記事とはこれいかに。
実はふと思い立って、隣市の図書館の蔵書検索をしてみたところ、5巻とも所蔵されていたのだ。
しかも広域扱いで、居住していない私にも貸してもらえるとは、わぁお〜図書館すごい‼︎(歓喜)
2巻目を読んで思わず引き入れられてしまい、続きが気になっていたから嬉しかった。
さて3巻目は、ワトスン博士が失踪するという衝撃の事件が発生。それなのに警察は、「男性が数日帰ってこないのはよくあることだから」と言ってちゃんと捜査しようとしない。
優しいワトスンに好感を持っていたエノーラは、何とかして力になりたいと、ワトスンの妻に会いに行き情報を得ようとする。そこで、数あるお見舞いの花束の中から奇妙な取り合わせのものを見つけた。
花言葉から言うと、奇妙というより悪意を示し不吉な部類に入る、その花束を誰が送ってきたのか…?
その人物がワトスンを拐ったのかもしれない。
エノーラはそこから調べ始める。
花言葉は女性の嗜み以外のものではなかったが、このシリーズではこれを使った暗号が大活躍し、シャーロックたちを出し抜く。
花や植物の意味や、それらが暗示することは、女性の世界では常識となっているが、女性を気にもとめない兄達は知らないからだ。
しかし、出し抜かれた経験から学んできた兄達はさすがである。またしても兄からエノーラに対し偽の暗号が送られるが、偽物と見破る難易度が上がっている。
エノーラは今回それを見抜くことができたが、このままいけば今後はどうなるかなぁ…
エノーラの心の動揺と葛藤が激しいが、恐らくそれをも兄達は利用しているのだ。それは兄妹間の真剣勝負であり、その緊張感には毎度痺れてしまう。
ところでエノーラは、シャーロックを欺くためにすごい美女に扮装するのだが、美しくなることへの見解が面白かった。
「『自然な』美しさ、なんていうのは、まったくの幻想。見る者の目にどう映るかをこっちで計算して、各部のつりあいを調整し、ああ美しいと思わせる、けっきょくはすべてイリュージョンなのだ。」
これは14歳の少女のセリフではないだろう…多分著者の持論なんだろうな。
人に美しいと思わせるために必要なのは、自分の現状と相手に与える印象との計算、というような冷静すぎる見解は新しい気がする。
エノーラの並々ならぬ努力のおかげか、シャーロックは目の前の美女が自分によく似た相貌の妹だとわからないで見逃してしまう(笑)
全く、美すら戦いだとは。
現状、妹に対する辛辣すぎる認識が、少しずつ変化しているのではないかと期待している。