ホスピス病棟にて | 【うずめカフェ】ikukoのブログ。身口意そろえて味わう人生を。

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父方の叔父が余命僅かとの知らせで

両親を迎えに行ってホスピス病棟へ
お見舞いにいった。

父の重たい車椅子を押しながら
迷路みたいな増築病棟を練り歩き
やっとたどり着いた個室へ。

叔父は父の会社の家業の一つであった
お守り卸業を担っていた。

20代の頃は歯科衛生士をしながら
この実家のお守り業を手伝っていたので
叔父と寺社仏閣をいくつも営業で回った。

だから、大きな有名神社さんの宮司さんから
小さなお寺さん、神社さんまで
寺社仏閣のなかにおられる
宮司さんや社務所の方、僧侶さん、といった
「人」との生々しい生業のお付き合いを、
たくさん見せてもらった。



若い私には全く理解できないような
こともたくさんあり、なんでこの
カタチとして納めるのに1円、2円を必死で
削るようなものが
寺社に綺麗な顔で並ぶときには
こんなに高額になるのかとか、純粋に
???がいっぱいだったけど、


おかげさまで本当にたくさんの裏側や
悲喜交々、人が作る神聖さの舞台のための
あれこれを見せてもらえた。


かと思えば、叔父は、地方の
若い熱意のある宮司さんと
美術大学の生徒といっしょにタイアップして
お守りを作って町おこし!みたいな
ほぼ利益どころか赤字満載な仕事も
持ってきた。

私が担当させてもらった件なので
よーく覚えている。

なんか文化祭みたいなノリで
徹夜で下請け使わずに手作業でお守りを300個
一つ一つ仕上げたり、何度もデザインを
やり直したり、若い宮司さんや生徒さんとの
打ち合わせも利益度外視で、思い切り熱く
楽しめたことはいい思い出だ。


おかげでその地方の街の若い人たちが
お守りをあっという間に買ってくれたようで
小さな神社が親しまれるきっかけになったことが
すごく嬉しかった。


「お金にならないけど、こういうのは
うちらのような小さなとこしか
受けてあげられへんからやってみ」


そう言いながら、宮司さんや
材料卸の業者さんとのやりとりの仕方など
教えてくれたのはすごく嬉しかった。



仕事って、利益を生むだけじゃないんだ
信用とか、経験とか、つながりとかを生むんだ
っていう経験をさせてもらえた。


お守りを営業する、ということが
そもそも??になってて苦手な私には
相談しながらデザインや製造できることが
楽しかったから、


それが全部、今の仕事に生きているのが
人生って不思議だなぁと思う。


叔父は倒れるまでのつい最近まで現職で
がんばっていたようだけど、
今も東大寺さんとか、大きな所との取引を
させてもらってたりしているし、
引継ぎも気になっているようで

病床で私の手をしっかり握って
「お守り業引き継いでくれ」
って伝えてきてくれた。


長年携わったこの仕事を大切にして
愛してきたんだろうなとわかる。

お地蔵さまを作る仕事、先達の仕事も含め、
わたしは、わたしなりに
この叔父の生業も、画家だった伯母の生業も
仏画を描いていた書道家の祖母の生業も
ミックスして継いでることになってると
はっきり自覚しているので、

「もう、別の形で継いでるでー」って
笑って話してきた。



父や母の手も交代で握っては
「家で死にたい」を連呼していた。
ボケてないし、ついこの前まで家で
独居でしゃんしゃん自立して生活して
いた人だから、切なかったなぁ。。。



人は必ずいつか死んでいく。
どんな人も、それだけが
約束されていること。


もう直ぐ死ぬってわかってる叔父。
その対面の時間のあいだずっと
私たちの手を握ってきて、
肌で伝わるものの方がうんと大きいなぁと
ぼんやり感じていた。



肌から伝わるもの。
きっとそれって
生きてきた全てが嘘なく伝わるんだろうな。


どう生きてきたか
どう生きるかが肌から伝わるなら
誰かを安心させてあげられる温度を
伝えられる私でありたいなと思う。