670-オレンジ色の侵入者たち | ikoma-gun(フリムン徳さん)のブログ

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モントレーの私の庭から眺められた夕日)

 

雨が多い年は消防署が忙しくなる。

今年は去年の2倍以上も雨が降ったから牧草や雑草が大きく育つ。

牧草や雑草が大きく育つと山火事が増えるのだ。

乾季の4月から10月の山火事はこの辺の年中行事みたいなもの。

夏は日中の直射日光の下では摂氏50度(華氏122℃)になることもある。

 

おまけに非常に乾燥している。

暑い日は車の排気口から出る火花が枯れ草に燃え移って山火事になることもある。

枯草の中に投げ捨てられた空き瓶にきつい太陽光線があたり、レンズの役割をして枯草に火がつき山火事になる時もある。だからこの辺は5月から10月までは外では火を燃やせないことになっている。

もちろん焚き火もできない。

 

11月から4月までは消防署の許可をもらったら外で火が燃やせる。

それも燃やす1日前に、いちいち消防署に電話をするのである。

煙を見つけた人が山火事と間違えて、

消防署に通報するからである。

難儀なところや。

 

先頭を歩いてきたお腹が大きくて、口ひげの黄色の消防士がボスのようだ。水を飲み終えるとすぐに彼が何かを指示した。

私は聞き取れなかった。

家の裏山に6人ずつ2列、縦に並んだ。

消防士のボスが大きな腹を前に突き出して、この6人ずつの

2列を後ろから見守っている。

オレンジの3人は庭に置かれた機械の入り口に立っ

た。何か軍隊の演習みたいだ。

 

ボスの「スタート」のひと声で、列の先頭の2人がチェンソーで人間の背丈ほどの雑木を切り倒し始めた。

後ろに並んだ人が順番に切られた木を機械へ運ぶ。

この機械は木の枝を粉にする「ストーム」という機械だったのだ。

その木の枝をストーム担当の3人が機械に投げ込む。大きなうなり声を上げて木は粉になっていく。

 

家の周りは、田んぼの稲刈りあとみたいになっていく。

だれもが無駄口をたたかずに黙々と木を切る、

その木を運ぶ、機械へ投げ込む。

木を切るのは速いが運ぶのがどうも遅れる。

ただでしてもらっていることやし、私も彼らの列に入り、

木を運ぶのを手伝うことにした。

 

足の悪い私の歩く鈍い速度と彼らの歩く速度がそう変わらない。

精悍な若者にしては遅すぎる。

その時、私の前を運ぶオレンジ服の後ろには大きく目立つ

大文字の英語で「プリズナー」と書いてあるではないか。

聞くことはあっても目の前で見たのは初めての英語の文字だ。

 

日本語に訳したら「囚人」や。

英語のプリズナーではすぐにぴんとこない。

少し時間がかかる。

これが英語に慣れん人の難儀なとこやネン。

日本語に囚人と訳してみてから、「オウ、これは怖い人達や」と

一瞬、警戒心と少し怖い思いが交差した。

 

フリムン徳さんは囚人のお手伝いをしているのや。

名前で呼ばれない、番号で呼ばれる人達の手伝いしているのや。

これはえらいこっちゃ。

フリムン徳さんが囚人の手伝いをしたらニュースにならんが、

警察官が囚人の手伝いをしたらニュースになるやろうなあ。

こんなこと誰にも経験できんこっちゃ。続く