これで納得した。彼らの歩くのが遅いのは彼らの逃亡を防ぐために、鎖の代りに重たい鉄の入った靴を履かされとるのやと、フリムン徳さんはそう推理した。
この推理を刑務所で働いている知り合いのアメリカ人に聞いてみた。「重たい靴をはいて、誰が逃げる?脱いで逃げるに決まっているがな。そんな靴いるかいな。」
の賢い答えが返ってきた。
後でトニーに聞いたら、彼らは模範囚で、凶器になるチェインソウを持つ2人はもうすぐ出所する2人だという。囚人を観察して、彼らの手伝いをして、ふたつ感じたことがあった。
* ひとつ、彼らはそろって男前だった。
女を騙して、刑務所に入った知能犯に違いない。
綺麗な花には刺がある、綺麗な男前には落とし穴がある。
別嬪さんよ、綺麗な男前には気をつけなはれよ。
* ふたつ、 誰一人肥満体がいない。
皆がっしりして、お腹がへこんでいる。
刑務所では過食が出来ないのや、ビールも飲めないのや。
それに比べて、消防士のお腹の大きい事、あれで梯子で
屋根に登って火事が消せまんのやろうか。
フリムンの私が病気で倒れたのもビールの飲みすぎ、ええもんの食べ過ぎ、無茶な生活だった。この男前の若者達の身体、働き振りを見て、刑務所の質素な食べ物、規律正しい生活が昔の徳さんに、今の社会の人間に必要と思いまんねん。
今の徳さんは刑務所の檻の中ではなく、自分の牧場予定地の柵の中で規律正しい生活をし、ぴたっと酒を止めてもう5ヶ月になりまんねん。
終わり