3
フリムン徳さんみたいに只の“ワインテイスティングの梯子”を
する者が増えたからに違いない。
ワインは、昼間も夜も飲まれるが、その原料のぶどうは夜収穫される。
赤々と明るい電球をつけたトラックター見たいな機械で収穫されている。
昼間は暑すぎてぶどうが傷むからだと聞いた。
”花は昼開く、”ぶどうは夜収穫”されるである。
「酒は、夜、飲むもの」と、日本に住んでいた頃から、
フリムン徳さんの頭のどこかに刻み込まれている。
それは仏様の教えかも知れない。ただ、67歳も過ぎると、
昼を夜と思うことにして飲む日もある。
「でも、ホンマこれはたまにでっせー」と強く
申し上げなければならない。
身体がしんどい時でんね。
赤ワインは血をさらさらにして身体にええから健康促進のために飲むんや。
でも、よく考えてみると、これはキリスト様の陰謀かも知れない。
フリムン徳さんが通っているカソリックの教会では
2週間に1回料理持ち寄りのミニパーティー“ポットラック”と
いうのがある。
11時に教会の礼拝が終わると、教会のキッチンホールで
持ち寄りの料理を食べる。
その時は必ず、ワインが並べられる。
飾りではない。
立派な紳士、淑女が、昼間から、これらのワインを飲む。
これは教会での飲み会だから、昼間の飲酒でもキリスト様が
許していると信じて飲んでいるようである。
誰も昼間からワインを飲むことをためらっている様子はない。
仏様は「酒は暗くなってから飲むもの」と教え、
キリスト様は「ワインは明るくても暗くても飲むもの」と
言っているようだ。だったら、「ワイン産業とワインブームは
キリスト様が創っている」ということになるではおまへんか。
フリムン徳さん
終わり
フリムン徳さんの家の近くのぶどう畑