VTR1000F マスターとキャリパーの相性 | ガレージ 一狐亭

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どうもこんばんは、一狐です
そして前回の続き

前回ブレーキマスターをついにラジポンに変更しました
その状態でGWツーリング行ったり山にワインディングしてきましたので感想を

マスター径は同じφ19ですが、セミラジアルからラジアルポンプに変わった事で
やっぱりストローク増えました

3フィンガーのショートレバーから4フィンガーのロングレバーに変わった感じ
性能とかあんま分かりませんが、良く言えばコントローラブルとか握れば握っただけ効く
悪く言えばフワフワしてグッと握ると効き過ぎてちょっと扱いが難しくなりました
今までの握る力で制御から、ストロークでコントロールに変わったので慣れが必要

しかしこれでフロントブレーキは以前乗っていたDUCATI 92式900SLを超えられた様に思います
純正とは雲泥の差、強力かつコントローラブル

さて、かなり変わった事は変わったんですが、これがラジポンの力かと言うとそうでは無いような気がします
同じ力で握れば以前より効く分、ストロークが増えているので結局の所等価交換

マスター径が同じφ19なら変わったのはレバー比
そこで純正の横タイプ、セミラジ、ラジポンの3タイプを検証

水色が力点、赤色が支点、緑色が作用点
力点~支点:支点~作用点の比率が大きいほどピストンの移動量は減りますが大きな力になります


レバーを真っ直ぐ引いても、レバー自体は取り付けボルトを中心に円運動をする
円運動だとピストンに掛かる力も曲線に
ここでレバー比が小さいと、ピストンが真っ直ぐ押されている距離より、曲線で押されている方が多くなる


ピストンが真っ直ぐ押されないので力が横方向へ逃げてしまいロスが出る
ラジアルタイプはレバー比を大きくして、ピストンを大径化することで、なるべくピストンの移動量を減らして真っ直ぐ押されるようにするのがメリットらしいです
これが力ですかぁ? これが力ですよねー

詳しくはレバーレシオで検索してください


雑に計った結果
支点~力点までセミラジが125mm、ラジポンは130mm
支点~作用点がセミラジ19.5mm、ラジポン19mm
となり、レバーレシオはセミラジが6.4、ラジポンは6.8でした
ちなみに横タイプは4.5

わずかな違いですが、結構体感に差があります
じゃぁ、どれ位違いが出るのかマスター径とキャリパー径の油圧レシオとレバーレシオを合わせたトータルレシオを計算

↑に行くほど握る力でコントロール
↓に行くほどストロークでコントロール
赤枠は正直実用範囲外ではないかと

セミラジ19×30+32キャリパーからラジポン19×30+32変更は、マスターそのままでキャリパーを32+34へ変えたのと同じ位変化があると言う事が分かります

そしてこの表を見ると組み合わせるマスターとキャリパーがとても大事だという事
柔らかいタッチが好きな人が、固めの組み合わせをチョイスするとそれは効かないブレーキとなってしまいまいます
ストロークが大きすぎると移動距離が多くなり、握れば効くが反応が遅く急ブレーキで一気に握ると握り転けの危険があります

トータルレシオで見ればセミラジ19×30+32とCB400SFVはほぼ同じですが、実際乗ってみるとセミラジの方が遥かに同じ力でも良く止まるのはマスターの性能の差だと思うので、計算上だけは分かりません

φ17のマスターは27+30や30+30と言った小径ピストンでないと効力を発揮できないですね


そして巷でやたら評判の良いブレンボの19RCS可変タイプのラジポンを入れてみると

こうなりました
レバーレシオが可変できるので、ホンダでよくある3タイプどのキャリパーと組み合わせても固め、柔らかめ両方に変更できます
性能うんぬんを差し引いてもタッチの変更ができるのは強みですね
固すぎた!柔らかすぎ!ってなっても切り替える事ができるのでほとんどの人が良い評価をしているのはこれがあるからだと思います


キャリパーとラジポンをただいれるだけでは真価は発揮できません
組み合わせでそれぞれにメリットデメリットがあるのでそれを踏まえた上でチョイスするのがよろしいかと

固めの場合ツーリング等の長距離が楽です
フルブレーキの制御はちょっと難しいですが、少し握っただけで効き始めるので反応が非常に良く、雑に握ってもOKなのでパニックブレーキの心配が一番少ない
強くあたって後は流れでと言ったブレーキができます

ちょい固めの場合結構オールマイティに使えます
バランスが良いので全てにおいて問題無く使える反面、中途半端とも言えます

ちょい柔らかめはワインディングに強いです
コントロール幅が大きいので慣れるとフルブレーキが分かりやすく、弱い力で止まれるので疲れにくい
しかし慣れないと今までと質が違うので握りすぎて失速と言った場面もチラホラ

柔らかめはレーサータイプで結構採用されています
コントロール幅がかなり大きい反面、公道では扱いづらいです
柔らかすぎるとほんのちょっとの力で大きな制動力を得られますが、急ブレーキ時ちょっと握っただけでは効かず、タイムラグが出ます
止まらない!と思い更に強く握ると今度は効き過ぎてフロントロックの危険性が高くなります


自分が求める性能に一番近づけるには試してみる事も重要ですが、最初にターゲットを絞り込んでおくと出費を抑える事ができます
自分のバイクに友人2人ほど試乗したところ、柔らかすぎや固すぎと言ったネガティブな方向はありませんでしたので、トータルレシオ150~160が個人的にはお勧めです
軽快さが売りのVTR、せっかくの魅力が貧弱なブレーキで霞むのは勿体ないですからね


貧弱なブレーキを改善すればするほどサスペンションがついてこなくなりますけど・・・