連山遠望 | 水石 一刻亮のちょっとしたコダワリ

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水石の深淵なる美を見つめて

 

掛け軸を新調しましたので、今夜は三倉石を床の間に飾り付けて見ます。

 

この石も彼此20年以上前の自採石です。

台座では飾り映えがしないだろうと風化土の御掃除もしないまま屋外に放置してあった石です。

 

この度思い立って手入れをしました。

ワイヤーブラシやらふとん針やらを駆使してここまで仕上げるのは中々に大変な作業なんです。

 

 

 

原石の状態では判らなかったヌケが現れました。

 

三倉石でも稀にあるソゲ石で、底も天然です。

 

 

 

 

主石は遠山形で、添えに木彫の茅屋を配してあります。

掛け軸の絵柄は家菊にジョウビタキです。

 

里山の民家の庭先に秋菊が咲き、支柱の添え竹にジョウビタキがとまっています。

秋晴れの空に遙かにそびえる連山を遠望している・・・

そのような見立てです。

 

 

 

 

 

作者は今尾景年

1845~1924年に生きた日本画家ですから、ざっと100年程前に描かれた作品ですね。

 

 

 

土中石は水盤で飾るべからずと諸先輩方に教わってきましたが・・・

山水形状石で、いわゆるクツを履いていなく、裾が広がっている石は水盤が合うようです。

 

添配の茅屋は、青銅製がよかったのですが持ち合わせが有りません。

木彫なので地板は使用せず直に置いています。

 

 

通常三倉石は表面の風化を防ぐためと、特有の肌を味わうために油分を塗りこんで

ひたすら乾拭きして持ち込むのですが、水盤石で飾るために一切油分は使用していません。

 

水を打った景色も、中々味わいが有って良いかと思います。

三倉石でも水盤のほうが飾り映えがするケースがあるようです。

 

 

今一つ、裾の効いた遠山形の三倉石がありますので、

風化土を御掃除して仕上げて見ようかと思います♪♪♪チュー