今回の緊急トークライブFarewellと銘打たれた来日公演を実施するし、このタイミングで新譜まで出すし、出演者に増田勇一さんの名前があるし… っていうことで、是非観てみたいなぁ聴いてみたいなぁとひと月ほど前に予約して、初めてお邪魔する「Rock Cafe Loft」に行ってきました。
会場はソールドアウトということでCheap Trickが大好きなんだろうなって方々で一杯になり、出演者もお客さんも飲んだりしながらのとても愛の溢れた素敵な空間になっていました。
前回の来日公演はリック・ニールセンの体調が芳しくなく、延期から中止に変わりそれから3年の年月が流れて、単に一回の来日が飛んだだけだとも思っていたけれど、そこから関係者の方々の状況も変わって前回ならば参加したり会えたはずの方が叶わなかったというお話も伺うことができ、なんかそういうところも含めて物語があったんだなぁって思ったりもしました。
イベントのスタートは司会の荒野政寿さんによる簡単導入のお話が始まったかと思えば、早速最初のゲスト増田勇一さんの登場でした。早速新譜に関するお話からで、『All Washed Up』のタイトルについて。すべて洗い流されたという直訳だけではなく、「落ちぶれた」という意味もあるそうでこういう普通であれば深く考えずにスルーしているようなことを聞くことができただけでも参加した甲斐があったと思えました。さらに洗濯機はメンバー個々を表現していて、ピックが回っていたり、Zが浮かび上がっていたり、千の声を表し、12弦ベースを表現しているなど、こういう意味のあるジャケットも珍しいそうで、これは実物を手にしたらじっくり観察しないとなって思えました。
肝心のアルバムの中身は…、ソングライティングも外部の関与率が極めて低くメンバー3人の純度が高いちゃんとしたニューアルバムで、LatestがGreatestを今回も更新しているとの評価だという事でした。ベテランバンドにありがちなベストパターン集ではなく、曲の偏り方もよく、ライブ向きの曲も多かったりのアップテンポが多いが故、聴いたときに盤を間違えたかもって思えるほどの出来だそう。若々しいスタートから後半のミドルな感じが良いという楽しみな評価を聞くことができました。
ここからCheap Trickを聴き始めたという人がいて欲しいというアルバムで、ツアーはフェアウェルでもアルバムは現役バンド感が強い作品だそうです。
ここでニューアルバムから「Twelve Gates」がかかってめちゃくちゃ良い音で初めて聴くことができて良かったと思えた瞬間でした。聖書の12の門にテーマでもあり、12の門が閉ざされても諦めるなという風にも取れる歌詞で、こんなところからもとても前向きな状態なのだということで、フェアウェルツアーを迎えてもなお楽しみなバンドなんだなって思えたりもしました。
ここからは増田さんのCheap Trickとの出会いについて。渋谷陽一さんのラジオであったり、MUSIC LIFEの誌面で音楽に関する情報を入手していてそこからCheap Trickとも出会ったそう。
この話の流れで荒野さんが貴重な渋谷陽一さんのソノシートの音声を聴かせてくださって、Cheap Trickは新しいタイプのハードロックでありリズムがしっかりしている印象で、類似するようなバンドはアメリカにもいなくて日本で人気に火が付いたというのは、日本のロックファンには新しいものに敏感な耳を持っていて、オールドタイプのハードロックには飽き飽きしていたことの証拠ではないかというような内容を時にラフな言葉も交えながら語っていてとても興味深いものでした。リアルタイムで実感することはできなかったけれど、ハードロックに対する欲求不満感とか、そういったところから生まれ人気が得られてきたCheap Trickというバンドの凄さの一因ってここなんだなぁと思えたりしました。
Oh BoyとHot Loveがかかってから、増田さんの初来日の時のエピソード披露で、平日の昼に武道館のチケット発売でしかも電話だけ…といった状況から、高校の一学年下の女子が学校に1台しかない公衆電話に列をなしていて、それが当時の人気の証明だったそう。さらに当日の武道館では音源化されているまんまで黄色い歓声がものすごかったということで、若い女性に人気があったバンドだというのをそういった観点からも追体験できたような気がしました。
増田さんの取材エピソードでは、リックによく弄られるというリックの印象そのまんまというお話を聞かせてもらいました。でも、サービス精神が旺盛で、さらりとチケットを売るために良い記事を書いて尽力してくれたのを知っているというような感謝の言葉を告げてくれたりとか、そういったエピソードもいいなぁって思えたり。増田さんパートの終わりには増田さん選曲のLookout。1曲に魅力がぎゅっと詰まった楽曲で、後にアルバムに収められなかったのも謎な曲ということでした。
増田さんは残ったまま、もう一人のゲスト稲垣達也さんが呼び込まれ、リックのシグネチャモデルのギターを抱えた稲垣さんがご登場。渋くてカッコよかったです。荒野さんの数少ないCheap Trick仲間という事でしたが、数少ないという理由はロックファンにCheap Trickが好きだというと軽視されがちだから… ということで、実感はないながらなんとなくわかるような気がする…って思えました。
稲垣さんのCheap Trickとの出会いは、同じマンションの女子から借りた『Busted 』… だけど、当時パンクやハードロックを聴いていた稲垣さんにはピンとこなかったけれど、翌日こんなはずはないとユニオンに足を運んで『In Color』を入手して「Hello There」で今に至ったそうです。ピンとこなかったのに、その後すぐに聴き直すあたり感性が素晴らしいのかもしれないなぁって思えたエピソードでした。そこからは1-2週間でユニオンで入手して聴きまくったというくらいハマったというのは凄いなぁって思えました。稲垣さんが好きだという「Good Girls Go to Heaven (Bad Girls Go Everywhere)」を。
Cheap Trickの曲作りにおいては、リックの曲作りにおいて自分だと歌えないけどロビンなら歌えるから遠慮せずに書くことができると思っているのではないか、ロビンもここまで歌えると自分も思っていなかったけれどリックのおかげで声色が豊富になったのではないかという考察は興味深かったです。ロビンほど声をコントロールできる人はいないし、シャウトがあんなにきれいな人もいないという評価で確かになるほど、と思いつつ、武道館での聴き方にちょっと楽しみができました。
ロビンについては、声量が凄いというのが稲垣さん増田さんの共通認識で、稲垣さんもZeppでハードなギター演奏していながらマイクは使っていても感じられるボリューム感は凄かったそうです。増田さんも名古屋で写真撮影のためにスピーカーの内側に入っていた時に声量が凄かったこと、表情など気にせず歌う姿が凄いというのを実感したとのことでした。さすがに2階席からだとなかなかしっかり見えないだろうなぁと思いつつ、歌う表情にも気を配ってみたいと思った次第。
稲垣さんが大阪で観た「Borderline」が良かったということで曲がかかり、その後、稲垣さんの私物7インチの「Oh, Candy」のモノバージョンをかけてくださったのですが、音圧が凄かったなぁ。稲垣さん曰く音楽史上最高の楽曲であり、荒野さんも最初のキックから良いという評価の曲でした。
前半戦のまとめと稲垣さんのFRETBUZZの紹介、楽曲がかけられて前半の終了。
休憩の間に荒野さんが持ってきてくださった書籍『MUSIC LIFE Presents チープ・トリック アルバム・ガイド&アーカイヴス』を購入したり、増田さんともお話しする機会に恵まれてとっても嬉しかったなぁ。遠目では何度もお見かけしたことのある増田さんは、直接お話ししても印象変わらずとても素敵な方でした。増田さんと荒野さんにボールペンで申し訳なく思いつつ、サインをもらえたのも嬉しかったです。
後半に入ってCheap Trickも仲間は亡くなってきているが、やはり新譜を出しながら現在進行形のバンドであるのは凄いといったお話しなどが展開される中、スペシャルゲストとしてソニーミュージックの白木哲也さんがご登場。
ニックとの写真が飾られていた長谷部宏さんのお話しに。お名前を伺ったことはありましたが、ジミヘンやマリリン・モンロー、マリリン・マンソンなども撮った方であり、リックがロックゴッドだと言って土下座したエピソードなど改めて凄さを実感することができました。
来日記念盤として白木さんが手掛けた『LIVE 1979』の話題も。アナログ盤や配信盤はあれど、初めてCD化されて今までで一番音が良いとのことでした。冒頭の4曲はラジオ音源だが、リマスターしてより良い感じに仕上がっていると仰っていました。増田さんだったかなフィジカル盤を買う意味はここにあると仰っていたのは印象的でした。年越しの瞬間であったり、ちょうどバンドの絶妙な時期だったりとても良いタイミングのLIVEだという話に続いて、盤面から冒頭のラジオ音源「Hello There」をかけてくださいましたが、爆音で聴いても音質の悪さは全然感じられず凄く良い!って思えました。
ちゃんとした音源もということで「I Want You to Want Me」もかけてくださり、こちらもやはり音が良かったです。(まだ買ってなかったけど、これは買わねば…と終演後に新宿のタワレコへと向かったのでした)
Cheap Trickのライブ盤は本当に手を入れるところが少ないのでは?ということで、よくあるライブ盤は歌直しをすることが多いがそれもなく『Cheap Trick at Budokan』はほとんど直していないし、『LIVE 1979』はほぼ素のままではないかということで、こういうところもCheap Trickの凄さを再認識できました。
稲垣さんが元気のない時に聞くといい曲という「Little Sister」が収録されている『Standing on the Edge』は当時復活を感じさせる一枚という共通認識で、失速気味だったバンドが息を吹き返したのが感じられたということで、リアルタイムで体験できていたからこそのお話しは貴重でした。
ラス前には「Big Eyes」がかけられて、最後の締めに…
洋楽ディレクターの故野中規雄さんのお話しに。レコード会社のディレクターさんは、担当するバンドなども多くなるからこそ担当した瞬間こそ密接でもその後関係性は薄まるけれど、野中さんとCheap Trickはとても特別な縁だったそう。前回の来日が叶わなかったことで再び会う事はできなかった一つの関係だったそう。前回予定されていた来日前のイベントに寄せてくださったメッセージの主旨、皆さんは現役のCheap Trickを楽しめるのは幸せなことだという言葉が紹介されて、「Surrender」を合唱して閉幕となりました。
本当に素晴らしいイベントに参加することができてとても幸せでした。
10/1の日本武道館がこの上なく楽しみになりました。









